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「今回の件は……多分。桃ちゃんは悪くないよ…」
「桃くん、なんで……っ、俺、桃くんはそんなこと…ポロポロッ」
「最低じゃないですか……っ、」
うるさく響く
既視感のある声たち
夢であればあるほど辛くて
現実であればあるほど苦しい
「___が___の時に限ってなんでおらへんねん……っ!!」
その中でも1番重みが___
桃
桃
夢
夢だ__
はぁはぁと 異様な息を繰り返す
現実ではないような、ふわふわとした謎の感覚
7月半ば
ふとカレンダーに目を止めてみれば
桃
その西暦に謎の違和感
桃
桃
青
桃
桃
いつも通りの彼が
いつも通りの声色
姿
笑顔で声をかけてくる
それは俺にとってずっと脳内に焼き付いて残っていて
それほど愛おしい
青
青
桃
ちらりと顔を覗かせて
俺の名前を呟いた
青
彼は心配げな顔を隠せぬまま少し、無理して笑った
青
桃
桃
多分
きっとあれは夢
青がいない、夢___
変な声 聞いたことあるような声がただ響いてた
青
わざと
明るく笑って誤魔化した
桃
青
桃
青
青
桃
何言ってんだろうか
ずっとおかしい
夢を見てる時のように頭が回らない
青
青
隣に立っていた君が無邪気に言った
桃
黄
赤
桃
「青の事知ってるの?」だとか言う意味のわからない疑問が口から出るところだった
いや、おかしすぎる、今日の俺___
紫
橙
桃
橙
桃
「へーんなの」なんて容赦なく言い捨てながらキラッとした笑顔で言った
橙
紫
桃
青
黄
赤
そっか、俺らは6人で
青
海でよく遊んでた
桃
青
桃
桃
謎に頬を火照らせながら 何気なく言い返してみた
青
青
桃
青
少しくせのある愛おしい笑い方を見せながら
青
桃
そそくさと席に座る青を見送りながら
何故か目が離せない
桃
明るくて雰囲気を作れるタイプ
なんだろうと恋してる
いつからだっけ、この日々も
青
すぅっと息を吸い込んで
潮風に青い髪を揺らした
君は誰よりもずっと、海が似合ってるよ
だから俺も、この海が大好きなんだろうね。
橙
紫
紫
赤
黄
高校1年の4月初め
受験なんて遠い未来の話のよう だからこそ 窮屈じゃない
赤
赤
黄
桃
暑さに吹く熱風も、愛おしく感じる
全ては君が隣にいるから?
青
桃
桃
青
昨日も
一昨日も
俺らは放課後、海にいた
嗚呼、そうだ
限りなくこの場が楽しいから___
青
桃
両耳に
真珠の模造品のイヤリング
青
桃
青
なんて
愛おしい日々の一欠片
紫
橙
橙は帰るのを惜しむ幼子のように紫くんに抱きついた
そんな姿に笑う黄と赤も
横で輝いてる青の笑顔も
日常の一環で 懐かしい感覚になる
黄
橙
赤
青
桃
桃
こんな日々は
明日も明後日もずっと続くから
惜しいものなんてなにもない
桃
目の前にあるものが 消えるなんてこと きっとない
失う必要なんて___
桃
青
桃
青
桃
少し落ち着いたトーンも
何か惹かれるものがあった
青
桃
青
目を逸らして 静かにそんな言葉を発した
青
夕陽は海へ沈んでゆく
眩しいくて目が離せない
黄昏時、という時間か。
黄昏れるとはこういうこと
青
桃
もういちど
間を置いてから
青
そう、叫んでた
桃
青
あまりにもさらりと出てきた言葉に
ただひたすら困惑する
桃
青
ぱっと顔を上げて
しっかり俺を捉えていた瞳には
何故だか涙が溢れてた
桃
そんな彼が
ひたすらに愛おしく思えて
青
めちゃくちゃに抱きついた
青
どんな言葉を放とう?
俺の肩で、こうやって泣きじゃくってる君に
この愛を
どう証明すればいい?
桃
桃
桃
愛の証明にしては重すぎるだろうか
今までの感情なんてもん 抑えきれるわけない
桃
青
青
離れる時はないなんて
根拠なんてなんも無い馬鹿な思惑
今後の結末なんて
何も知らないくせに
青
嗚呼
ずっとこのままでいいのに
卯月の半ば
___4月。
ひたすら君に恋をした
桃
青
窓側の席
遠くの海を見つめていた君
桃
青
桃
青
少し空いた窓の風に髪を揺らして
消えてしまいそうな横顔を眺めた
青
桃
桃
キレイで青くて
白い波と白い砂浜
桃
青
桃
青
桃
海みたいで綺麗だねなんて
気障ったらしくて恥ずい
桃
橙
桃
青
桃
橙
いや、ほんとだよ
___なんて言い返そうとも 正直なんだっていいや
青
青
桃
青
思わず出た彼の言葉に
彼の口をぎゅっと塞いだ
青
桃
桃
橙に顔が見られないように、青に ぐいっと顔を近づけた
青
青
橙
少し引いたように後ろからの橙の声
桃
桃
橙
紫
橙
何かを察した紫くんが
俺らから橙を引き剥がした
青
それを遠目で眺めて呆れる青
そのままちらりと俺の顔を覗き込む
青
桃
目を合わせてみたら
照れたように真っ赤になって目を逸らした
桃
青
桃
青
桃
そういうとこも
愛おしいんだ
桃
青
桃
青
少し弱く
手を握ってみたら
君はこっちを見てはにかんだ
青
桃
好きって感情は
どうしようもなく抑えきれなくて
苦しいって、君のおかげで学んだ
それでも
桃
ずっと大好きなんだ
青
髪をなびかせて飽きず美しい海を眺める横顔が 愛おしい
桃
青
青
青
唐突の祝福に混乱でもしたのか
やけに動揺して目を逸らした
桃
青
すっと 「それ」を取り出す
桃
青
青
真珠の模造品のイヤリング
太陽に照らされきらりと光る
青
桃
桃
青
バレてたことに対して少し照れながら
それを手にして 疑問を口に出す
青
桃
桃
桃
以前まで付けてたやつを拒むかもしれないと
一瞬不安になりながら問い詰める
でも
君はにこっととびきりの笑顔を見せて
青
青
桃
俺の左耳には青とおなじ真珠のイヤリング
そして青にも……
青
右耳に
太陽に照らされ輝いた真珠のイヤリング
桃
青
桃
桃
青
青
俺が急に素直になれば
君は照れて目を逸らすのだって知ってる
そしてすぐ
俺の方を見つめる
青
青
桃
青
皮肉なのか素直に言ってるのかは分からないが
多分、彼は心の底から嬉しかったんだろうな
青
桃
桃
桃
桃
彼の耳元のイヤリングにそっと触れて
ぎゅーっともう片方の手で手を握る
桃
青
君が顔を真っ赤に染めるのをしっかり見た
そんな顔を見られないよう誤魔化すようにか
珍しく 青からぎゅうっと抱きしめてきた
青
桃
手を彼の背中に回して
離れないように強く抱き締めてみた
青
ちょっと苦しいけど
それが幸せだ
青
君の声が
優しく響いた
桃
桃
瞳から1粒の涙が零れた事も
その涙が砂に落ちて染み込んだことも
君は知らないんだ
知らなくていいよ。
コメント
19件
時差コメですm(*_ _)m 桃くんが忘れていた右耳の真珠のイヤリングを渡した相手、青くんだったんだ…!! このお話、桃くんの夢の中…なのかな、?夢と現実を行き来してるのかな… めっちゃ考えてるんですけど正解に行き着けなさそうです笑 散りばめられた伏線も回収できずに落としまくってますw 今回も神作品ありがとうございます拝みますね(??) 毎回心が締め付けられるような作品で尊敬です✨✨
先程のコメントの追記です!! 夢の中のような描写が多く、実際にそう思わせるワードがたくさんあるから、夢の中なのかな?とはおもったんですが、現実の桃くんは右耳のイヤリングをだれかにあげたと言ってたので……どう繋がるんだろう、🫶🏻💭
みくさんの書き方丁寧で繊細で綺麗で……ほんとにすきです😭💞 ここからの展開が気になる……!! 前の話で誰に右耳のピアスをあげたかを忘れていたシーンがあったんですが、青くんだったんですね……!!😭