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さくら

お母さんとれんは?

おばあちゃん

れんくんが週末から修学旅行だからって、お弁当に入れるもの買いに行ったよ

おばあちゃん

じきに帰ってくるよ

おばあちゃん

ねぇさくらちゃん

おばあちゃん

大福食べる?

さくら

いらない

おばあちゃん

どうしたんだい?

さくら

(私はレギュラーからはずされた)

さくら

(たしかに最近は3ポイントシュートを外すことが多くなっていた)

さくら

(だからといって何も知らないおばあちゃんに言われたくない!)

おばあちゃん

さくらちゃんは大丈夫だよ。

おばあちゃん

また頑張ればいいんだから

さくら

何もわからないクセに、知ったようなこと言わないでよ!

私はコートだけを掴んで家を飛び出した

10分後

さくら

(あと少し、もう少し、おばあちゃんに顔を合わせるまでは、もう少しだけ時間と心の準備がいる)

お母さん

通話終了

通話
01:16

お母さん

もしもし

さくら

はい

お母さん

さくら、今どこ!?

お母さん

おばあちゃんが倒れたの!

お母さん

すぐに帰ってきて!

さくら

おばあちゃん!

おばあちゃんは答えてくれなかった

そして、

そのまま、帰らぬ人となった

3日後

さくら

何で!?

さくら

(今私の前には死んだはずのおばあちゃんが私の隣に座っていた)

さくら

(おばあちゃんは私にしか見えないようだ)

さくら

(おばあちゃんは死んでしまう前の生活と全く一緒だ)

さくら

(そのことが、やがて、私の胸をゆるやかに締めつけはじめた)

さくら

(おばあちゃんを死なせたのは私だから)

さくら

ねぇ…私を、うらんでいるの、おばあちゃん……

おばあちゃん

…………

おばあちゃんは答えなかった

さくら

ごめんなさい……

さくら

おばあちゃん、ごめんなさい……!

ようやく、おばあちゃんが目を向ける

さくら

(無言で責められることが怖くて、あの日と同じように、私は逃げた)

それから2ヶ月

さくら

(結局、部活のレギュラーに戻れないまま、2年の3月も終わろうとしている)

さくら

(おばあちゃんはまだ家にいる)

さくら

いいよ、おばあちゃん……

さくら

私こと、ずっとうらんでも

さくら

本当にごめんね……

おばあちゃん

『さいた』

さくら

えっ

おばあちゃん

『ほら。さいた』

さくら

(あぁ、咲いたということか)

さくら

(古い桜の木の、てっぺんに近い枝の先に、今年最初の花がついていた)

さくら

そっか、桜……。もう春だもんね

おばあちゃん

『その時期が来たらね。桜は、ちゃあんと咲くものなの』

さくら

え……

おばあちゃん

『どれだけ厳しい冬が続いても、桜の花は必ず咲くの。だから、たとえ今がつらくても、さくらちゃんも花咲くときは、きっとくるのよ。』

私は言葉を失った。

責めるためじゃなかった。

うらんでいたのでもなかった。

おばあちゃんが私のそばから離れずにいたのは、この桜が咲くのを待っていたから。

桜が咲いた時、私に言葉を伝えるために。

さくら

(私は、なんて思い違いをしていたのだろう。)

さくら

(「さくらちゃんなら、大丈夫だよ。また頑張ればいいんだから」そう慰めてくれたあの時も、理不尽に怒鳴って飛び出した。)

さくら

(その事を、後悔したはずなのに…。)

さくら

(私は結局、何も分かっていなかった。また、おばあちゃんの気持ちを受けとろうとしない、かたくなな気持ちのまま、今日まで誤解していたのに。)

さくら

おばあちゃ─

顔を見上げて、絶句した。

そこにおばあちゃんの姿はなかった。

私は、わたしだけの花が咲くときを、信じて待っていようと思った

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