〜あれから数日経った朝〜
流霞
バンッ
流霞
はあ、夢か…
流霞
もう、泣いてないよ
流霞
大丈夫、大丈夫って…
流霞
ごめん、やっぱ無理やわ
流霞
ねえ、なんで兄貴じゃないと駄目やったん?
流霞
私じゃ駄目やったん?
流霞
こんなこと言ったら、きっと怒るよね
流霞
ごめん、兄貴
私は兄貴の写真を眺めた
流霞
貴博も、智宏もすっごく優しいよ
流霞
ねえ、一日だけでも、戻ってこない?
流霞
やっぱり、いくらまわりに人がいても
流霞
孤独を感じてしまう
流霞
兄貴のせいじゃないんやけど
流霞
ごめん
流霞
謝ってばっかで
流霞
使い物にならんくて
流霞
兄貴がおったら…
流霞
いっつもそばにいてくれたのに
流霞
もうすぐ3年経つんやな
流霞
気づいたら3年
流霞
もうすぐ、兄貴と同い年になるんだよ
流霞
そしてお酒も飲めるようになる
流霞
一緒に飲みたかったな
流霞
ほんと、今日に限ってなんでこんな夢みたんやろ?
〜今日の夢〜
流霞
おはよう
流霞
って、誰もおらんのやけど
照
え、なに言ってるん?
照
俺がおるやん
流霞
は??
流霞
え、待って
流霞
なんでここに兄貴がおるん?
照
俺、おらんことにされてた?
照
悲しいなぁ
流霞
夢やろ
流霞
待って、覚めないで
照
ほら、朝ごはん作っといたから一緒食べよ
流霞
う、うん…
流霞
美味しい…
流霞
久しぶりに兄貴のご飯食べた
照
久しぶり?
照
昨日も一緒に食べたやん
照
大丈夫?
照
なんかあった?
流霞
ごめん、寝ぼけとった
流霞
これが夢じゃなくて、今までが夢やったんやな
流霞
すごい悪夢見てたわ
照
そう、ならよかったけど…
照
ってか、なんで泣いてるん?
流霞
え、泣いてないよ
流霞
目が痒いだけ
照
はいはい、そういうことにしてあげる
流霞
だから泣いてないって
流霞
あ、今日お仕事は?
照
お休み
照
一緒どっか行く?
流霞
え、行こ行こ
照
どこ行きたい?
流霞
兄貴と一緒に行けるならどこでも
照
もう、じゃあ買い物行くか
流霞
よしっ!そうしよう
照
そういえば、悪夢ってどんな夢?
流霞
思い出したくないくらい辛い夢
流霞
苦しくなって、消えてしまいたくなる
流霞
まわりに人がいるはずなのに
流霞
自分だけが別の世界というか…
流霞
孤独に感じる
流霞
内容は…
流霞
ごめん、やっぱ無理
照
ごめん、それは辛かったな
照
よしよし
流霞
ありがとう
流霞
ずっと続けばいいのにな
照
ん、なんか言った?
流霞
いやなにも
照
ならいいけど
照
次悪夢見たら兄貴が絶対流霞を守るから
照
もう二度と流霞が苦しまないし
照
辛くならないし
照
孤独にならないようにする
照
俺はそれしかできないけど…
流霞
ううん、それだけで十分
流霞
そう思ってくれてありがとう
照
準備したら行こうか
照
大好きだよ
照
これからもずっと変わらないから
流霞
急にどうした?笑
照
いや、流霞を守れてるかなって
流霞
大丈夫、届いてるよ
照
よかった
そう言って兄貴は笑った
そこで、夢が覚めたんだ
兄貴のあの笑顔が、忘れられない
流霞
忘れるわけないじゃん
流霞
もう…
流霞
泣かないからね
プルプルッ
流霞
電話?
流霞
こんな時に誰?
〜電話での会話〜
流霞
もしもし
流霞
どうかしましたか?
貴博
いや、なんでもないんだけど…
貴博
ってか、涙声?
貴博
なんかあった?
貴博
大丈夫?
流霞
大丈夫ですよ
流霞
心配されなくても元気なので
流霞
用事は?
貴博
そう、俺たち今日早く出勤する日やん
流霞
あ、貴博さんと智宏さんですか?
貴博
そうそう
智宏
俺もいるよー
流霞
笑
流霞
朝から元気そうで何よりです
貴博
ところで質問だけど
流霞
はい
貴博
今日夢見た?
流霞
…見ましたけど
貴博
何の夢?
流霞
……
貴博
言いたくないんだったらいいんだけど
流霞
兄貴の夢です
流霞
兄貴が朝ごはん作ってくれて…
流霞
…っ、ごめんなさい
貴博
思い出させてごめん
智宏
実は俺たちも同じ夢見たんだよね
智宏
照と一緒に仕事する夢だけど
流霞
…それがなにか?
貴博
俺が、気になって智宏に聞いたら照の夢見たって言うから
貴博
しかもそれだけじゃない
貴博
俺たちには共通すること言われたんだよね
流霞
兄貴がなにか?
貴博
流霞を頼む、って
流霞
私を頼む?
智宏
なんかの前触れかなって
智宏
流霞も照の夢見たようだし
貴博
要は、これから一応気をつけてねって
貴博
会社来るときも
流霞
わかりました
流霞
もうそろそろ出るのであと30分くらいで着くと思います
智宏
了解ー
貴博
気ぃつけてね
流霞
はい
流霞
あ、あと30分って言っちゃった
流霞
行こー
流霞
(前触れ?)
流霞
(なんやろ、兄貴がそんなこと言うかな?)
私が階段を降りようとした
…その時だった
ドンッ
後ろから強く押された感覚がした
誰かを確認するまもなく、階段から落ちた
そして、意識を失った