君に贈る最後の花を。

ゆずちゃんからの忠告

涙もろい人は注意してね。

約束したんだ。

何があっても君を守るって。

絶対約束だよって。君は僕とそんな会話をして

すごくうれしそうだった。

僕も君の笑顔を見るのが好きだった……けど……

ある日をきっかけにどんどん君は僕のことを忘れていったんだ…

最初は冗談だと思ってた。

だってあんなに好きって言って抱き着いてくれてたのに

朝起きたら誰？って。

最初はすぐ思い出してくれたけど

徐々に思い出さなくなって。

メンバーのみんなは覚えているのに……

僕のことだけ忘れてしまって。

遂には僕を拒否するようになってしまった。

何度も何度も、誰なの？こないで‼ってね。

みんなが病院に連れてったんだ。そしたらね。

忘愛症候群って。

みんな僕に、死なないでねって言っていた。

忘愛症候群。調べてすぐ出てきたよ。

愛する人が日がたつにつれて最も愛してる人だけを忘れてしまい、次第に拒否して嫌がって、最終的にその人のことを頭から消し去ってしまう………

治し方もちゃんとあるんだな笑

その人が忘れている人が死ねば思い出してくれるんだって笑

そんなの……僕たち二人が笑って過ごせる日はもう来ないって言われたのと同じじゃん………

みんな言うんだ。

絶対死なないでねって。

無理だよ…

すべて忘れられてるんだよ？

好きになった日、付き合えた日、初めてデートした日、初めてキスをした日、

初めて君と一緒に夜を過ごした日。

君だけ忘れてるんだよ……。

僕に見せてくれたあの笑顔も。すべて。

もう見れないなんてさ。

僕約束しちゃってるから。無理なんだよ。

絶対に守るって。

僕は生きていたいけど、君に忘れられたまま生きていくのは無理だよ…

あんなに拒否されたらメンタルも限界だよ。

僕を最後に抱きしめてほしかったな…。

僕があと一歩踏み出したら

きっと君は僕のことを思い出してくれるんだよね。

……ずっと隣で笑いたかった

でも君が笑顔を保つためには僕が逝かなくちゃ。

君の入院している病院での屋上で。

君のいる最後の世界で思い返す。

結局最後に顔を見たのは一週間前。

みたこともないおびえた顔で

こないでって言いながら

僕に花瓶を投げてきたよね。

僕がお見舞いで持っていったオオデマリの花も床に散らばってたね。

ほんとは君に直接渡したかったけど……

もう無理だろう…

最後ぐらいまた僕にしか見せない笑顔で笑ってほしかったな……

今までありがとうございました。

僕は君を守ります。

君には笑っていてほしいから。

僕は最後に愛する君の名前をつぶやいて

飛び降りた。

足元にオオデマリの花を添えた手紙と

君と、メンバーと僕でたくさん撮った思い出の写真とともに。

僕の思いが……届きますように…と。

僕しかいなかった屋上にオオデマリの花が風になびいていた。

一瞬で頭の中にるぅと君の顔がよぎる……

どこも悪くないのに入院している俺。

ずっとメンバーはお見舞いに来てくれた…のに……

なんでるぅと君だけいないの……？

意味が分からない。みんなが泣いている。

俺、なにかしちゃったの…？

？どういうこと？

直接何かを渡された。

それを見た途端とてつもない頭の痛みに襲われた。

さっきまでとは違い何があったのかすべてが頭の中に入ってきた。

思い出した……

俺は病室を飛び出した。

屋上に向かって。

頭が追い付かない……

さっきまで君がいたであろう場所にはオオデマリの花びらが散らばっている。

後ろからみんなの声が聞こえる。

頭の中でるぅと君の声が響く。

あんなに好きだった人を俺が……

さとちゃんがそういった途端、俺の中にるぅと君の声が入ってきた。

大好き

愛してる

天国で待ってるから……生きて

君に抱きしめてもらいたい

好きって言ってもらいたい

また笑顔で隣に立っていてほしい…

俺はなーくんが持ってきてくれた花束を抱きしめた。

君がいなくなってから3年がたった。

正直ずっとさみしい。けど

君が俺を守ってくれたから

ちゃんと生きるよ。

持ってきたシオンの花を添える。

俺は前を向いて生きるよ。

見守っててね。

るぅとくん‼

俺たちの後ろでシオンの花が

静かに揺れていた。

いつも静かににこにこ笑う

るぅと君みたいに。

るぅと→莉犬

オオデマリ

意味：華やかな恋、約束を守って、天国

莉犬→るぅと

シオン

意味：君を忘れない、遠方にいる君を想う。

また来世でね。