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幽也
た、ただいま…
幽也の義母
…………
幽也
(無言で部屋へ上がる)
幽也の義母
…ねぇちょっと
幽也
な、なに？
幽也の義母
この間のテストはどうだったの？
幽也
まだ帰ってきてないよ
幽也の義母
……そう
幽也はくしゃくしゃになったテスト用紙を握りしめた
幽也
……おかあさん
そう言ったって戻ってくるはずもないのに
涙は止まらなかった
あの日の事は昨日の事のように鮮烈に脳内に刻まれていた
幼少期の幽也
おかあさん！見て見て！
幽也の母
あらあら泥だらけじゃない一体どうしたの
幼少期の幽也
みて！四葉のクローバー！おかあさんにあげるんだ！
幽也の母
ほんと？嬉しいわ
幼少期の幽也
あ！見て見て！
幽也の母
今度はどうしたの？
幼少期の幽也
ふうせんくばってる！とってくる！
幽也の母
じゃあおかあさんトイレに行ってくるわ！風船貰ってきなさい
幼少期の幽也
はーい
幼少期の幽也
ふうせんください！
風船配ってる人
はいどーぞ
幼少期の幽也
ありがとうﾆｺｯ
風船配ってる人
ふふふ…可愛いお兄ちゃんにはもう一個あげちゃうね
幼少期の幽也
ほんと？ありがとう！
幽也の母
あら2つ貰ったの？よかったわね
幼少期の幽也
あっ！1個とんでっちゃったぁ！
道路へ飛び出す
幽也の母
危ないっっ！！！！！
車のｷｷｷｰというブレーキ音が耳に縫い付けられる
幼少期の幽也
いっててて……
幼少期の幽也
…………へ？
幼少期の幽也
おかあさん？
幼少期の幽也
なんでねてるの？
幽也の母
ゆ、うや…
風船配ってる人
君！こっちへ来なさい！危ない！
幼少期の幽也
おかあさん！おかあさん！
幼少期の幽也
おかぁさん…！おがあざん！ゔぅ…
風船配ってる人
今救急車呼ぶからな！
幼少期の幽也
ぼくの…せい？
風船配ってる人
え？
幼少期の幽也
ぼくがふうせんはなしちゃったから…ぼくがふうせんなんてもらったから…
ぼくがとびだしちゃったから…
ぼくがとびだしちゃったから…
幼少期の幽也
ぼくがうまれてきたから…？
気づけば救急車のサイレンが聞こえてきた
救急隊員
君！離れて！
幼少期の幽也
嫌だ！おかあさん！行かないで！
救急隊員
……離しなさい
幼少期の幽也
嫌だ嫌だ！
幼少期の幽也
なんで……嫌だよ…
救急隊員
…誰か！この男の子を抑えてくれ！
幼少期の幽也
ゔぅぁぁああﾞ
救急隊員が幽也を抱き抱え救急車に乗り込む
幽也
……夢か
幽也
胸糞悪い
幽也
んっぐ…ぷは…
幽也は水を飲み干すとベットへ倒れ込んだ
とうに終わった事じゃないかと自分に言い聞かせたが吐き気は治まらない
幽也
あーあ
幽也
あの時死ねていたら
幽也
雨さえ居なかったら…
だが『雨』は憎めなかった
あいつの言ってることは上っ面だけじゃなかった
よく分からないやつだったがそれだけは分かった
ピーンポーン
幽也の義母
あら？幽也ー友達みたいよー
幽也
はーい…
幽也
誰だろう？
扉を開けるとそこには
雨
よォ
幽也
……は？
相変わらず八重歯を光らせていた
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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