この作品はいかがでしたか?
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あゆみ
あゆみ
あゆみ
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星屑コンテスト!
あゆみ
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あゆみ
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あゆみ
あゆみ
あゆみ
・この作品は、曲パロとなっております。苦手な方は、閲覧をお控え下さい。 ・irxs、nmmnの要素が入ります。知らない方、地雷の方は引き返して下さい。 ・青黒、白水、赤桃前提です。
あゆみ
あゆみ
ターン、という小気味良い音が響いた。
悠佑
そう呟き、大きく伸びをする人影。
歌い手活動をしているいれいすの「悠佑」その人である。
ちょうど今、歌ってみたを投稿した所のようだ。
悠佑
ぶっ通しで作業していたパソコンの前から離れ、スマホを取り出す。
投稿してまだ数分しか経っていないのに、動画には大量のコメントが寄せられていた。
その一つ一つを愛おしそうに見ていく。
どうやら、今回も好評なようだ。
悠くんのこの曲、待ってました〜!
声の良さが引き立ってます…!
そんな声が目立つ。
声気持ち悪い
綻んでいた彼の顔が、固まった。
痛みに耐えるような、そんな表情に変わる。
悠佑
そんな言葉が漏れる。
彼の歌い方は、少し独特だ。
好きな人は好きだが、合わない人には合わない…必ずしも万人受けするものではない。
アンチをぶつけられることもしばしばだった。
また、彼は明るい性格と見なされることが多い。
そのせいで彼は、強靭な精神力を持っている、と誤解されやすかった。
本当は誰よりも繊細で、傷つきやすいのに。
特に、歌に関しては。
悠佑
ため息がこぼれる。
アンチコメントは、仕方ないことだと思っていた。
有名になるにつれ、増えるのも覚悟で飛び込んだ世界だ。
でも。
悠佑
自分が1番自信がある「歌」を否定されることは、自分の存在意義に直結する。
だからと言って、歌うのを止めたいとは思わない。
歌うことは俺のすべてで、俺の人生そのものだから。
でも、たまに苦しくなる時がある。
歌へのこだわりが強過ぎて、そのこだわりを手放したくなる時が。
ねぇ、もしも すべて投げ捨てられたら
でも、その葛藤を表に出してはいけない。
俺はみんなのあにきだから。 最年長が揺らぐことは、許されない。
笑って生きることが楽になるの?
左手に持ったスマホには、大量のアンチコメントが表示されている。
悠佑
また胸が痛くなるから
もう何も言わないでよ
音楽活動で得た「慣れ」を、アンチがゆっくりと確実に、削り取っていた。
悠佑
意識がゆっくりと浮上する。
どうやら、眠ってしまっていたようだ。 スマホを付けると、寝起きには眩しい程の液晶に夕方の時刻が表示された。
悠佑
布団を被り直す。
日が落ちると、気温は一気に下がる。 そして当然、人恋しさも芽生えてくる。
悠佑
愛しい恋人の姿が思い出される。
確か、今日は仕事だったはずだ。
ふと、迎えに行ってみようかという考えが頭をよぎった。
まろの勤務先は、ここからそう遠くない。
それに、この寒さだ。 外を歩くのは、相当こたえるだろう。
悠佑
布団から起き上がる。
…いつもの彼だったら、ネガティブ思考が先立って、行動には移さなかっただろう。
行動に移したということは、それほど彼が恋人を求めていることに他ならない。
彼が思っているより精神的に弱っているということを、示していた。
悠佑
ビルの前で足を止める。
外は風があって思ったより寒く、指先は完全に冷えきっている。
左手に抱えた紙袋には、この前衝動買いしてしまった青いマフラー。
上着の方が寒さはしのげるだろうが、いかんせん身長差がある。
自分のものでは小さすぎるだろう、とむくれながら選んだ結果だ。
悠佑
息で手を温めながら、恋人を待つ。
悠佑
なかなか出てこない。
仕事が忙しいのかな、とぼんやり考えたその時。
視界に、青色が映りこんだ。
悠佑
ろ、と言葉が続かなかったのは。
恋人が、自分の知らない女の人と、歩いているのを見たから。
そこからどう動いたのか、覚えていない。
気がついたら、家のベッドの上にいた。
悠佑
そっと呟いてみる。
こんな時でも、考えるのは恋人のことで。
霞みがかった、未だ現実感のない頭で、さっきの光景を思い返す。
…やっぱ、女の人の方がええんかな。
そんな考えが、ちらりと顔を出す。
だって、俺は体はごついし可愛くもないし、孕むことだってできない。
まろの幸せを考えたら、身を引いた方がいいのかもしれん。
…俺、冷静やな。
俺にとって、まろってそんな軽い存在やったんやな。
やっぱり、別れた方がええんやろな。
まろの事なんて、忘れてしまった方がいいのかもしれない。
ねえ、もしも すべて忘れられたなら
悠佑は知らない。
深く、暗く潜っていく思考の中で、自分の頬が濡れていることを。
泣かないで生きることも楽になるの?
でもそんなこと出来ないから
もう何も見せないでよ
そしてそれに気づく心の余裕も、彼には残されていなかった。
…にき、
あにき、
悠佑!
悠佑
自分を呼ぶ声で、目が覚めた。
目を開くと、そこには。
悠佑
If
待ち焦がれた、恋人の姿。
悠佑
If
名前を呼ばれる。
If
悠佑
If
If
なんか?そんなの、お前の事だよ。
そう言えたら、どれ程良かっただろう。
でも、まろを縛ることは出来ない。
だからせめて、最後に。
悠佑
If
悠佑
悠佑
If
悠佑
何が起きたのか、分からなかった。
ただ、彼の匂いに包まれて。
悠佑
早く身を引きたいのに。
酷いよ、酷いよ もういっそ僕の体を
If
その声が、嬉しくて。 自分は消えるって、決めたのに。
壊して 引き裂いて 好きなようにしてよ
If
わけがわからない。 なぜ、謝るの? なんで、俺は、抱きしめられて。
If
If
そんなことない、そう伝えたいのに。
喉から出てきたのは、嗚咽だけだった。
叫んで 藻掻いて 瞼を腫らしても
まだ君は 僕のことを
抱き締めて離さない
If
思ったのは、そんな事だった。
仕事が終わって、久しぶりにあにきの家に寄ってみようかと思ったのが20分前。
合鍵を使おうと鍵穴を回すと、やけに軽くて。
胸騒ぎがして部屋に駆け込んだのが、5分前。
部屋には電源がつきっぱなしのパソコンと、涙と隈が酷い兄貴がいて。
それだけで、何があったのか。 分かってしまった。
きっとアニキのことだから、自分を否定する言葉を受け流せなかったのだろう。
この人は、まっすぐだけど変に不器用な所があるから。
それに、俺に頼らなかった、ということは。
何か、不安にさせてしまったのだろう。
自分はいらないんじゃないか、とか。
If
今は、俺の胸で泣き崩れる愛しい人を抱き締めることしか。
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
あゆみ
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