瑠愛
!!

瑠愛
ちょっと!あれ!あれ見てよ!

茉海
そんなにバシバシ叩かないでよ。何?またヒロくん?

瑠愛
うるさいわよまたじゃないわ!

茉海
何で口調変わってんのさ

瑠愛
いやいつものことでしょ?

瑠愛
てかそんなことはどうでもいいの!世界一どうでもいいの!

茉海
そんな簡単に世界一つけられてもこま……

瑠愛
だああああ!そんな細かいことはいいの!ね!?

茉海
はいはい

瑠愛
あれ見て!

茉海
うん

瑠愛
彼は誰だと思う!?

茉海
ヒロくん?

瑠愛
そりゃあそうだ!

茉海
瑠愛一回落ち着いて?

瑠愛
だって!

茉海
だって?

瑠愛
クラス考えてみてよ!

茉海
私達が二年六組で、確かヒロくんが……一組だっけ?

瑠愛
そう!会いたくても会えないのが事実なの!

瑠愛
すなわち簡単に拝めないということ!

茉海
会いたいも何も、瑠愛ヒロくんと喋ったことあんの?

瑠愛
断じて無い!

茉海
……まあそうだよね

茉海
そりゃクラスが遠いからね

瑠愛
そんな不幸のどん底にいた私達に奇跡が起きたの!

茉海
うん

瑠愛
この学校の王子様が私達の目の前に君臨なさったと!

瑠愛
何を話しているのであろうか真剣な表情です!

茉海
そりゃうちの先生と話してるからね

瑠愛
え……?

茉海
ほら、あれうちの担任じゃん

瑠愛
はああああああ!?

瑠愛
クッッッソ羨ましい!!!!

茉海
そんなに言うなら話しかけに行けばいいじゃん

瑠愛
そんな簡単に言うな!

瑠愛
それに茉海は去年同じクラスだったから言えるんだってば

茉海
まあそうかもしれないけどね?

瑠愛
あ!見て!いま少し微笑んだよ!?尊すぎるって!

茉海
そうね

瑠愛
もっとリアクション!

茉海
ないわ。それに多分これだけ過剰に反応してるのも瑠愛だけだよ

瑠愛
そんなことない!

瑠愛
学校の王子様と呼ばれるのにも理由があっ……

茉海
あ、こっち来た

瑠愛
いやうっそでしょ!?!?

茉海
いや、嘘じゃないって。多分先生との話が終わったのかな

茉海
確かうちの担任ってヒロくんの部活の顧問だったっけ

瑠愛
んなことどうだっていいでしょうが!!

茉海
うちのクラスに何か用でもあるのかね

瑠愛
ちょっと待ってほんとに無理だから!

瑠愛
し、心臓がっ!

茉海
瑠愛、今だよ今。行けばいいじゃん

瑠愛
待って至近距離になってきてる!

茉海
会話がなってない件

謎のキラキラオーラがでてるし、何より全てが美しい!尊い!
瑠愛
待って今なら死ねる……

茉海
死ぬな死ぬな

茉海
てかどんだけオタクなのさ

瑠愛
ヒロくんが最推しですっ!

茉海
ほら、そのヒロくんが目の前まで来てますよ

瑠愛
待って苦しいっ!

茉海
物理的に?

瑠愛
気持ち的に!

ヒロ
あの、水河さん

茉海
ん?どしたのヒロくん

小さな声で待って嘘でしょ!?と嘆きながらも、私は茉海の後ろに隠れる。
ヒロ
佐藤って六組だよね?

茉海
ああ、男の佐藤?

ヒロ
そう

茉海
いるよいるよ。呼んでこようか?

ヒロ
うん、お願い

茉海
はーい

そう言って茉海は颯爽とクラスの中に行ってしまった。
瑠愛
そう、つまりは彼と一対一になってしまったわけだ。正直発狂しそうだ

ヒロ
……?

瑠愛
(待って今小首かしげませんでしたかもう本当にキツい)

心の中とはいえ、当然のように早口になってしまう。だって憧れの推しが前にいるんですもの
ヒロ
君、大丈夫?

瑠愛
へ、え……?

ヒロ
いや、なんか少し顔が赤いから……熱でもあるじゃないのかな

瑠愛
いいえ断じて違います!

ヒロ
ああ、ほんと?

瑠愛
は、はい

ヒロ
ならいいんだけど……

ヒロ
君は水河さんのお友達?

瑠愛
いや、まあ、はい、そんな感じです

瑠愛
(いやマジで茉海早くしてくれ!)

ヒロ
えっと、瑠愛さん……だっけ

瑠愛
え、ちょ、ま

茉海
はい佐藤お待ちどー

佐藤
ちょ、水河痛えよ!

ヒロ
ありがとう、助かった

茉海
全然いいよ……ってうわあ!
