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百目真は戦闘が終わり報告に向かっている。"影特殊部隊(シャッテン・コマンド)"の第三部隊に所属する彼女にとっては普通のことだ
影特殊部隊―彼らに与えられた使命は"影"の討伐である
人間の負の記憶・それにまつわる感情から生成されるそれは、ガワを見つけて繁殖する
もちろん人間も対象だ。それを未然に防ぐのが部隊だ
真
真
真
百目真(ヒャクメ シン) 影特殊部隊第三部隊に所属。半人半影
隊員すべて異能力者で構成されている第三部隊は、全部隊の中でもトップの功績を保持する
その分身体頭脳ともに優れているため戦闘や面倒事を引き受けやすい部隊だ
もはや何でも屋の状況だ
ふと足を止める
真
彼女の視線の先には一人の少年がいた
人混みにもまれているが、交差点の中央から動かない
真
真
脳内フォルダから今までの事例を思い起こす
彼が影である可能性は低い…となればやっぱり"異邦人"か?
時折、こちらの世界とは別の世界を繋ぐ空間―時空―に亀裂が入り時空の歪みが生じる
それに巻き込まれてしまうものも少なくはない
無傷で来た異邦人とは興味がある。思わず真は知的好奇心をあおられ、少年へと近づいた
真
少年
少年
真
少年
真
2人の話がかみ合わない。影が多くすぐい、影特殊部隊の本部が置かれるニビイロシティを知らぬ者はこの日本にはほぼいないであろう
そして極めつけは彼の瞳だ
灰っぽくくすんだブルーの中に橙色の光が揺らめく
瞳の色が混ざり合うのは影や異邦人の大きな特徴だ
ここがどこかすらもわからないような状態で野放しにするわけには行かない
真
真
勇也
矢城勇也(ヤシロ ユウヤ) 別の世界から来た異邦人の少年。ネガティブで強がり。
彼は一言、不安げな表情で答えた。濃紺の髪はふんわりと巻かれ(おそらく天然だろう)、目にかかるほどに伸ばされた前髪の隙間から警戒に満ちた瞳がのぞいている
真
勇也
彼は影の存在もよく知らないのだろう。『職場』と聞いても一般的な会社を想像しているようだ
真
真
少年は納得がいかなかったようだが、そうするしかないと判断したように頷いた。空は雲で覆われ始め、太陽の光が遮られていた
ダークウッドを基調とし、金で縁取られた重厚感のある扉を開ける
真
真
総隊長と呼ばれる者に呼びかける。しかし、彼女に加え先客2名と見たことのない少女がいた
界人
彼のアンバーの瞳には呆れの色が宿っていた。いつにも増して疲れて見える
雨
ミルクティ色の毛髪をしきりにねじりながら雨が言う
真
寿雨(コトブキ アメ) 影特殊部隊第三部隊所属。真の恋人を名乗る女性。自分の利益重視でミステリアス
九条界人(クジョウ カイト) 影特殊部隊第三部隊長。冷静沈着で冷たく思われがちだが、不器用なだけで仲間思い
真
雪
雪(ユキ) 影特殊部隊総隊長。隊員全員に慕われる高いカリスマ性を持つ
小柄な体躯ながらも威圧感と厚みのある声で雪は言う。しかしそんな声すら彼らの耳には届かなかった
勇也
美羽
少女は慌てた様子で制止に入る。しかし彼らの勢いは収まらず、いがみ合いは更にヒートアップし始める
界人
雨
それを見かね流石に真もまずいと思い口を開いた
だが、それより先に矢城が声を発した
勇也
真
一瞬、時が止まった。4人は言葉を止め、驚いた顔で彼を見る
美羽
園崎美羽(ソノザキ ミウ) 誰に対しても明るく優しい純真無垢な異邦人の少女。幼馴染である矢城に好意を寄せている
美羽のぱっちりと開かれた桃色の瞳には模様が刻まれていた。彼女も確実に異邦人であろう
美羽
勇也
界人
勇也
矢城らの話を聞き、一同興味深そうに唸った。知り合いと会うことができたからか、2人の表情の強張りが薄れた
雨
雨
雨
真
真
雪
雪
その時、デスクに置いてあった電話から着信が鳴った。けたたましい声で繰り返し呼びつける
慣れた手つきで彼女は受話器を取った
雪
はい、はいと相槌をうちながら話を聞く。彼女の顔つきは徐々に険しくなっていった
やがて、「すぐ向かわせますので安全なところへ避難してください」とだけ言い受話器をおく
雪
一呼吸置いてから、告げる
雪
真