背景、あの春の君へ。
君が私にかけた呪いの名前、 思い出したんです。
君
アキナ
君
君の言う"良いこと"は いつも私にとっての悪いことだ。
アキナ
君
アキナ
私たちは高校生。 こんな歳になってまで 秘密基地を作りたいだなんて 君くらいだろう。
まぁでも、 私はいつも君に従うしかない。
アキナ
君
ニヤニヤしながらこちらを見る君。
何故君のお遊びに 付き合っているかなんて___ 本当は分かっているくせに。
君
アキナ
ホコリが被った本たちが ずらりと並んでいる。
本当に誰も立ち寄っていないのだろう
君
君はニコニコと古い椅子に座っている ……折れないといいけど。
此処は街から少し離れた森にある、 "図書館だったもの"
図書館と言ってもそんなに大きくない そのため、一階には簡易的な机に椅子 そしてその横には小さな窓がある。
2階は全部本棚で、 それから屋上。 とても眺めがいい。
なんでこんな所に入れたか。 此処は図書館が潰れたあと 取り壊されなかった。
だから今でも簡単に入れるし 森の中だからか人も来ない。 来るとしたら健康志向な御年寄だろう
君
君
アキナ
心底楽しそうに笑う君を見て、 不覚にも心が満たされていくのを 感じる
アキナ
スマホで時間を見ると 時刻はもう既に19時をまわっていた
焦って君の顔を見ると 君はむふふ、と笑いながら
君
と、今日1番の笑顔で笑うのだった
そんな言葉を聞いて 素直に喜んで良いのか分からなかった
君
アキナ
スマホの光で照らした君の笑顔は 少なくとも私にとっては 幸せな笑顔に見えた。
その日、私は走っていた。 少し肌寒いこの季節に、 汗を流して走っていた。
君はスマホを持っていない。 だから休日に連絡をしたい時には 直接君の家に行くしか無かった。
その日、君は学校を休んだ。
今まででも君が学校を休んだときは勿論あったが、 それら全てが
君になにかあったときだった。
君が学校を休んだときの 1番記憶の新しい日は 3ヶ月前。 そしてその前も、 その前も。
アキナ
インターホンを押して出てきた君の 右足には包帯がぐるぐると巻き付けられていた。 君は松葉杖を使って、 細々と立っていた。
ドアの隙間から見える、ゴミで溢れた 薄暗い部屋の中。
君
そう言って笑う君に、 私は何も言えない
数ヶ月置きにある、君の大怪我。
君
君は。
君は。
必死に絞り出そうとした声を、 すぐに飲み込んだ。
今の君に、そこらからテキトウに 寄せ集めた綺麗事をかけたって、 君が救われるわけじゃない。
私の一言が、 君を傷付けるかもしれない。
私の無責任な言葉で、 これ以上君の心を壊したくなかった
もしも、もしも。 こんな言葉が永遠と流れてきて。 なんで自分はこんなに 不器用なんだって とにかく自分を責めて、 君を抱きしめた。
何も言えなかった。 君をこの場所から救い出せたら なんていくら考えたって 良い方法は思いつかなくて。
君
君は、泣かなかった。
アキナ
君
アキナ
分かってしまう。
ずっと一緒に居たからさ、 分かっちゃうんだよ。 そんな笑顔、 何度も見てきた。
なのに頭から出てくる言葉は 「無理に笑わなくていいんだよ」 とか 「私が居るから」 とか。
なんの責任も、持てないくせに。
私がもっと強かったら。 もっと頭が良かったら。 もっと、何かあったなら_____
私達は放課後、時間があると 必ず秘密基地に来ている。 そして今、その屋上に居た。
この時間のこの場所は 笑っちゃうくらい綺麗で、 こんな私達には合わないなぁ、 なんて場所。
アキナ
君
アキナ
君
君
消える____________?
予想外の言葉に、君の方へ顔を向ける
君は今も、茜色の空の中にいる
今の君だけ切り取ったら、 ごく普通のありふれた女子高生だ。
きっと今日も遅くなる前に家に帰って 家族みんなで暖かいご飯を食べて、 ふかふかのベッドで寝るのだろうか。
君
君の言葉が私の妄想を貫いて、 いつの間にか消えていく。
気付くと君はこちらを見ていた
君の瞳が、私を掴んで離さない
アキナ
頬に伝った何かを急いで拭う。、え?
景色が美しすぎた? 君が綺麗すぎた?
アキナ
君
君がこちらを見る
その瞬間、急に生暖かい風が通った 私達に見向きもしないで。
君
アキナ
アキナ
アキナ
少し名残惜しいけれど これ以上長居すると お母さんに怒られる。 そして君も、早く帰った方がいい。
そうしてその日はすぐに、別れた。
次の日起きたのは朝の7時。 今日も学校だった。 朝の支度をして少し時間が出来たので ポストの中を見に行く。
そう、いつもの日課。
いつも通りではなかったのは、 ポストの中身だった
アキナ
____________ アキナへ 永遠に、私を忘れないで。 ____________
アキナ
この手紙を見た瞬間、 私の体は動いていた。 全身が私に教えていた。
"怖い"って。
走って走って走って。
行かなければならない所はもう分かっている。
アキナ
やっと着いた。 私達の秘密基地。
当たり前の静けさが怖くて、怖くて。 早く、君を探さないと______
アキナ
大きな岩の横、 黒い液体が流れている。
心臓の鼓動が、 周りの音を完全に消した。
耳に何か詰まっているようで、 すごく気持ち悪い。
近寄る度に見えるナニカ。
次第に呼吸が荒くなっていくのが分かる
アキナ
目の前に映るもの
君じゃない。
君じゃない。
いや、君なんだ、。
綺麗だった。
木の葉を流れる赤い液体
ふわりと流れた黒い髪
足の爪先から頭まで 急に糸が切れた糸繰り人形みたいで。
鳥が、鳴いて。
陽の光が差して。
人の声はしなくて。
木々が揺れて、涼しくて。
目覚めたときは夕暮れだった。
いつか君と見た、茜色の空
あれ?今日は何日? 此処は、どこ?
お母さん
声のする方を向くとお母さんが居た。
いつもと同じ、不機嫌そうな顔をして
どうやらあの日、 私はあの場所で倒れていたらしい。
お母さん
あぁ、夢じゃ、なかったんだね
君はどこに行ったのだろうか
もう、会えないのだろうか
何かの手違いで、 何かのバグで、 朝起きたら 君が笑っていたりしないだろうか
君
とか言って、 いつもの顔で。
アキナ
そのまま笑顔を作ってみたりして
綺麗すぎる夕暮れを見た。
このまま眺めていたら、 いつか君の声が聞こえる気がして。
多分、私の頬が熱すぎたんだと思う。
頬を伝った何かが冷たくて、 気持ちが悪い
あぁ、だめだ。
1人は久しぶりだ
1人だと、 君がいなくなったことを 実感してしまう
君を、思い出してしまう
だからといって 全てを忘れてしまうには、
一緒に居た時間の思い出が美しすぎた
窓から流れる生暖かい、 夕陽に照らされた風が私を誘う。
助けられなくてごめん
誰よりも一緒に居た私なのに 本当は誰よりも、 君のことを知らなかったのかもしれない
知ろうとしなくて、ごめん
きっと、お互いが依存しすぎたんだ
大丈夫。
君を1人にできるほど、 私は強くない。
さて、ここまで読んでくださった 読者の皆様、 この度はご愛読、誠にありがとうございました(*ˊᵕˋ*) "君"と"アキナ"の人生は、 私の全てです。 ここで急ですが…… "私はこの作品に色々な仕掛けをしております。" ここからはcurseをもっと面白く ご理解頂くために、いくつかヒントをお書きさせていただきます💡 あくまで著者の設定です。 一人一人、物語が違って見えるように書きましたので、是非、考察を直接教えに来て下さると嬉しいです😭
ヒント1 "君"の家庭内環境 ヒント2 "君"の言葉の心情、意味 「今のアキナ、消えちゃいそうだよ」 ヒント3 "アキナ"の家庭内環境 ヒント4 "君"の手紙の意味 「永遠に、私を忘れないで」 ヒント5 "君"と"アキナ"の関係 「知ろうとしなくて、ごめん」 ヒント6 物語中での"アキナ"の最後 ヒント7 "君"のかけた呪いとは? 大きくまとめるとこの7つになります 私ならどうするかなぁ、などと 沢山想いを込めて書きました。 是非、もう一度、考察を含めて読んでみて下さると嬉しいです(*ˊᵕˋ*)
読んでくださった皆様には 一人一人物語があります。 いつか貴方の物語を教えに来てくださいね(*´ `*) では、次回の物語でお会いしましょう
「 curse 」 ー完ー
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!