空知らぬ雨
それは、笑顔を知らない君のこと
凛央
凛央
6月、世の中は完全に梅雨ムーブ
毎日毎日雨が振り続けている
雨は嫌いだ 学校に着く頃にはびしょ濡れだし、髪の毛をセットしてもすぐ崩れてしまう
それに、頭が痛くなる
凛央
いくら嫌いでも学校には行かなければと、僕は体を動かした
時が過ぎて昼休み
基本クラスに友人が居ない僕は うるさい教室を出た
あんなうるさいとこで1人で飯なんて食ってられるか
凛央
廊下に、窓をあけて外を見てる少女が居た
この時間帯に廊下に出ていることは別に珍しくはないけど、こんな雨が大ぶりなのに窓を開けて空を見てるなんて、変わった人だ
無意識のうちにその子のことを見てると、その子は俺に気づいたようで さっきの僕のように見つめてきた
凛央
どうしよう、気まずい
その子は無表情で僕を見つめてくる
ずっと見てくるだけだと思っていたら、その子は口を開いた
凛央
突然の事で俺は間抜けな声を出してしまった
凛央
凛央
すると彼女はくるっと僕に背を向けて、去っていった
凛央
次の日の朝、俺は学校に行くために家を出た
今日も相変わらず雨が降っている
凛央
行くか…と家の門をあけた時
目の前を昨日の少女が通過した
凛央
つい声を出してしまった 僕の声に反応するように、少女は振り返った
凛央
凛央
やばい、恥ずかしい 今すぐ帰りたい
凛央
まさか一緒に行こうと誘われるなんて、全く想像してなかった
凛央
凛央
それから僕達は毎日のように話すようになった
彼女は優しくて面白くて
なにより、表情が凄く豊か 驚いたり、悲しい顔をしたり
僕のくだらない話に色んな表情で反応してくれていた
ただ
彼女が笑顔を見せることは
1度もなかった
凛央
紫野
凛央
「面白い」その言葉は沢山言うのに
何故か、笑わない
凛央
気になった僕は 思い切って聞いてみることにした
凛央
「どうして笑わないの?」
紫野
彼女は驚いたように目を見開いた
紫野
やばい、と思った
だって、彼女は涙を流し始めたから
凛央
紫野
凛央
紫野
紫野は涙目になりながら 僕の目をまっすぐ見て言った
紫野
紫野
凛央
雨が、強くなった
7月
今日は休日 僕は紫野と近くの公園に来ていた
本当は映画にでも行かないかと言ったんだけど、紫野は外がいいらしい
紫野
凛央
紫野
僕は今日、彼女に告白するつもりだ
たった1ヶ月くらいの付き合いだけど、この1ヶ月で僕は彼女に惹かれた
気が早いかな、とも思ったけど 早めに伝えたいんだ
凛央
改めて彼女と向き合う
よく見ると肌は綺麗で、まつ毛が長くてすごく可愛い
凛央
凛央
1呼吸おいて、また口を開く
凛央
言ってしまった ついに気持ちを伝えた
恐る恐る彼女の顔をみた
紫野はすごく驚いた顔をしていた
そして……
笑った
初めて、笑った
紫野
紫野
雨が、止んだ
雨知らぬ空
それはいつも笑っている君のこと
もしかしたら彼女は
梅雨の子なのかもしれない
コメント
27件
尊いです…これは…凄く尊いです 紫野さんの静かな笑み…美しすぎませんか😭
いいね1000越え、ありがとうございます。 正直初投稿でここまで伸びるとは思いませんでした。 フォロワー様外の方にも反応を貰えて嬉しです。 こんなに伸びるならイラストこんな雑絵じゃなくてちゃんと描けばよかったと今更ながらに後悔しております。