シャッター音が鳴り止まない部屋で、俺…天乃絵斗はインカメで自分がいかに盛れる角度で撮れるか悪戦苦闘していた。
こんな事をしているからナルシストだと思われるかもしれないけれど、少し違う。僕は……
天乃絵斗
僕は、女装の趣味がある少し変わった ごく普通の男子高校生なのだ。
天乃絵斗
僕は女装した自分をSNSに上げており、自慢じゃないけど結構な人数からフォローされている。ざっと…30万人くらい。
天乃絵斗
たまに本当に僕のことを女性だと思って口説いてくる人がいるけれど、丁重にお断りしている。こんななりだけど、普通に恋愛対象は女性だし。
天乃絵斗
天乃絵斗
性格が悪いだとか思わないで欲しいんだけど…昔からこういう秘密を抱えているキャラが好きだったから、それも影響してるんだと思う。
天乃絵斗
天乃絵斗
天乃絵斗
今日は幼馴染であるらっだぁと遊びに行く約束をしていたのだ。それをすっかり忘れていて……
急げば着くかもしれない、けれどこの服だしメイクも落とさなくては…
天乃絵斗
少し上手くできた目元も、メイク落としで一瞬で消え去った。少し心苦しい…
天乃絵斗
忙しくなく手を動かし、クローゼットから適当に持ってきた服を雑に着こなし家を出た。
猿山らだ男
駅前で待たされて約20分。待ち合わせ時刻はとうに過ぎている。まあいつも遅刻してくるからある程度予想はしていたことだが。
猿山らだ男
呆れてSNSを見ようと、スマホを取りだした。
特に目に留まるものも無く、スクロールを繰り返しているとふと目にとまった投稿があった。
そう言って1枚の写真が貼られており、そこにはとんでもない美少女がいた。
猿山らだ男
思わず口に出てしまい、自分でも驚く。 こういう女の子とかそういうのに興味が無いと思っていたから。
猿山らだ男
彼女のプロフィールから、今までの色んな投稿を見まくった。普通の女子っぽい投稿もあれば、イマドキの女子なら珍しい仮面ライダーのオタクだという投稿だとか。
体型を気にする様子もなく、美味しいものをすごく美味しそうに食べる様子とか。「推し」を作る人の気持ちが今まではよく分からなかったけど、ようやくわかった気がする。
猿山らだ男
運命の出会いを果たした俺は、アイツが来るのが遅いだとかを気にせず食い入るようにスマホを眺めていた。
天乃絵斗
なんとか次のバス停でバスに乗りこみ、遅刻は最小限に済ませられた…と思う。 が、当の本人は心ここに在らずといった様子でスマホを見ていた。
天乃絵斗
正面から近づき声をかけると、慌てた様子で意識が俺に向いた。
猿山らだ男
猿山らだ男
動揺した様子で、先程まで見ていたスマホをサッとポケットの中に入れた。何やら怪しい…
天乃絵斗
猿山らだ男
なんだ、幼馴染の俺にも教えてくれない何か…?
天乃絵斗
猿山らだ男
猿山らだ男
天乃絵斗
さっきまでそこのベンチで座ってたくせに、よく言うわ。…まあ、逆にそんだけ言いたくないなら無理やり知りたくもないけど。
天乃絵斗
猿山らだ男
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
僕も正直なところまだお腹は空いてない。だからいいにはいいのだけど、釈然としない。
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
値札を見ながら丁度いい冬服を探していると、ひとつの女性物の服が目にとまった。
天乃絵斗
白いシルクの生地に、首元と袖元に特徴的なフリル。付属品としてループタイも着いており、まさにロリータ、のような服だった。
天乃絵斗
その洋服は残り1着しかなく、OPEN記念ということで10%オフの値段で買えるようだった。
近くでよく見てみよう、と思い惹かれるようにそちらへ向かうと、後ろから声がした。
猿山らだ男
天乃絵斗
ビクッとして振り返ると、らっだぁが不思議そうな顔で立っていた。
そうだ、今はひとりじゃない…らっだぁといるんだ。危ない…
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
冗談だよ、と言おうとしているとらっだぁからは想像と真反対のことを言った。
猿山らだ男
天乃絵斗
天乃絵斗
猿山らだ男
そう言って、俺の頬を人差し指でつく。 …男なら可愛いと言われて煽っていると思うかもしれない。
けど、趣味で女装をしている 俺の場合は……
天乃絵斗
──すごく、褒め言葉になる。
猿山らだ男
猿山らだ男
───なんだろう。
今のぺいんとの顔が、すごく……
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
…今の感覚は一体……
…いや、気にし過ぎだな。相当えびなちゃんに脳焼かれてんだな…
天乃絵斗
特にメイクもウィッグもない今の状態で着ても、洋服だけが浮いてしまうのでは無いだろうか…
天乃絵斗
天乃絵斗
天乃絵斗
ループタイの位置を調節していると、カーテンの向こうかららっだぁの声が聞こえてきた。
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
俺が止める前に、カーテンは勢いよく空いてしまった。
天乃絵斗
猿山らだ男
猿山らだ男
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
天乃絵斗
猿山らだ男
なんだかお互い気まずい空気になったあと、普通にあの服は「妹にあげる」という名目で買うことにした。…店員さんにはバレてるのかもしれないけど。
その後もいくつかの店を見て周り、お互い満足したので今は帰路についている。
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
分かれようとした時に、俺はハッとしてらっだぁの至近距離まで詰め寄って小声で言った。
天乃絵斗
猿山らだ男
天乃絵斗
猿山らだ男
いつものような別れを告げたあと、俺は帰り道ずっと思い悩んでいた。
猿山らだ男
猿山らだ男
そういえば、ぺいんともえびなちゃんと同じく仮面ライダーが好きとかなんとか…
猿山らだ男
猿山らだ男
…変なことを考えるのはよそう。 邪念を打ち消すように、俺は鼻歌を口ずさみながら夕焼け色に染まる街並みを横目に家へと向かった。
久しぶりにチャットノベル 書きました!!!! ぴよです!!!!!!
さて、新しい連載を始めてみました
女装男子が好きなのでぜひそれをテーマに書きたい、という所存です
……失踪はしません、多分
ゆっくり亀投稿なのは変わりませんが どうぞ最後まで付き合ってくれると嬉しいです…!!
それでは、またの機会に…
コメント
3件
ぴよさん様?!神ですか??!私が探し求めてた女装です!(?)もう〜好き!最高!