苺王子団体 兄弟パロ 赤メイン
ガタ…ガタガタ… ドアの向こうから聞こえる音に目を覚ます 重たい瞼を擦りながら片手に体重をかけて起き上がる 自分の部屋で寝ていた愛犬たちはもう気づいていてドアへ視線を向けていた ベッドから降りてドアを恐る恐る開けると母さんと父さんがダンボールを持って行き来していた 「………ど、どうしたの…?」 「あ、莉犬。今すぐ支度しなさい」 「え……?」 「いいから早くしなさい…っ!」 俺の声に気づいた母さんは少し焦り気味で俺に怒鳴った 思わず肩が震えてしまいその場から逃げるように部屋に戻った 部屋に戻れば不思議そうに俺を見つめるペット達 まだ十歳という歳の俺でも分かった これは夜逃げだ 返せないと分かっていても借金をしまくって借金取りが何かが家に来たのだろう そして明日返すと言って今日ここから離れる もう慣れたものだ 俺達の学費も、家族の生活費も考えずに遊びに使う愚か者 3歳年上の兄は中学の校長に自ら頭を下げてバイトを許可してもらい寝る時間を削ってまで俺たちのために頑張ってくれている あらかじめ用意してあるダンボールを広げてクローゼットから少ない服を詰め込む 俺の荷物は少なく10分もすれば全て片付いてしまう ベッドに腰掛けるとペット達が擦り寄って来て頭を撫でる ゴロゴロと喉を鳴らしたりお腹を出したり とても可愛いのだ 「………つーちゃん少し痩せた?」 お腹を撫でているといつもよりもちもちではなかった ………もうちょっと増やそう そんな事を考えているとカチャッと遠慮気味にドアが開くのが視界の隅に入りそちらに視線を移す ドアからチラッと覗く紫色に桃色と水色、橙色に黄色の髪色をした弟達がいた 「どうしたの?」 「…に、兄ちゃん………」 優しく怖がらせないように言うと皆んなは泣きそうになりながら近寄って来た 少し目に涙を溜め俺の裾を弱く握る水色の髪色をした四男のころちゃん その後ろにはるぅちゃんがころちゃんに抱きつきながら涙を流していた きっと母さん達に何か言われたのだろう 「…………………逃げよっか」 普段強がって人前では泣かないさとみと兄ちゃんが今にも泣きそうになっていた 不意にでてしまった言葉 皆んなは目を見開いていた 少しの沈黙が流れ最初に遮ったのは兄ちゃんだった 「………そうしよ」 「皆んな早く荷物まとめて」 兄ちゃんが指示を出すと皆んなはおぼつかない足取りで各部屋に戻っていった 「莉犬くんはもう終わってる?」 「うん。兄ちゃんは?」 そう言うと兄ちゃんは待ってましたと言わんばかりにドヤ顔をして「実はね……」と話し始めた 「俺のバイト先にはもう許可とってあって荷物も置いて来てあるんだ」 ………………………… え? 「いやぁビックりしたよ〜俺が言おうとしてた事莉犬くんが言っちゃうんだもん」 そうやってニコッと笑う兄ちゃんは中学生とは思えない大人な表情だった まともな大人も知らないけど なんて心の中でツッコミを入れる それぞれ荷物がまとまってベランダに出る まず兄ちゃんがベランダから飛び降りて1人ずつ兄ちゃんに向かって飛んでいく 俺も行こうと手すりに手をかける 下を見ると俺を見て不安そうに見つめる兄弟とペット達 覚悟を決めて手すりに寄りかかる がここから先に進まなかった さとみに抱きしめられたから 「………兄ちゃん…そんな細いのに危ないよ」 驚いた いつも兄ちゃんのおさがりで、大きめの服を着ていたのにバレていた 「………………俺は大丈夫だよ」 いつもみたいに笑った いつもの言葉と一緒に でもさとみは泣いた 「………っ、大丈夫じゃないじゃん」 「さとみ…………」 「……………ー!!」 「「!!」」 遠くから親の声が聞こえる だんだん近づく気配がしてさとみを抱きしめ返した 「…さとちゃん、一緒に跳ぼ」 「…っ!」 さとちゃんと目を合わせ下を見る 兄ちゃんは2人同時に来いと言うように両手を広げている 「………いくよ」 ドアの開く音と同時に俺たちは跳んだ
~ end ~
コメント
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神😇ぶくしつです(*・ω・)*_ _)ペコリ✨
つてちゃんたちはどしたん?