大森元貴side___
昔から誰も悲しまないように
微笑むことがうまくできなかった
誰も傷つけたくないくせに
不器用だから何もできなかった
結果的に一番大切な人を傷つけた
花を自分から枯らし、捨てた
なのに、また逢いたいと思う
終わるにはまだ早い
走り、ただ影をばら撒いた
自分の本音は隠すくせに
誰かに気づいて欲しかった
自分の存在を。
___
虚な目は初めてあった日と同じだった
初めて会った人から大好きだった
きっと今でも好きなんだろう
俺はあなたがいないと、もう生きていけないんだ
それが気づけなかったことも
きっと俺はすごく馬鹿だったんだろう
wki.
掠れた声に、震えた呼吸
もう冬が近づく秋、駅のホームはひんやりしていた
wki.
omr.
ふ、と若井が息を漏らす
その口角は泣きそうなほど歪んでいた
泣くのを我慢した、そんな顔
ずっと変わらない、貴方の癖
wki.
心の奥にずっと潜んでいた
繊細で、脆くて
それでも強く根付いていた若井への感情
それに名前をつけることができなかった
けれど、今更気づく
この感情こそが、
『愛』だったんだと
wki.
omr.
wki.
omr.
omr.
若井に一息で伝える
若井の顔はわかるやすく薄く輝く
虚な目に光が宿り
綺麗な頬に涙が伝う
あの日、出逢った時と同じように
ゆっくり若井の隣に腰掛ける
冷たい冬のはじめ
駅に木枯らしが吹きつけ、俺たちの体温を奪う
握った手だけが、暖かい体温を孕んでいた
そのまま
二人で静かな時間を過ごす
何もかも全部忘れて
ただ凍えるような秋の空の下
互いの冷たい手を握り合って
omr.
もう一度呼ぶ
若井じゃないと駄目だと
何度も何度も、その花の名前を
張り裂けるくらいに
鼻先が触れる
ゆっくりと唇に熱がこもっていく
呼吸が止まる
胸に残った痛みは
まだ消えないままでいい
こんにちは
これにて『馬と鹿』終了となります
いままで♡と💬してくれた皆様、ありがとございます
♡と💬よろしくおねがいします
それではまた
コメント
9件
涙腺大崩壊案件だよぉ… 小説書くのうますぎる…
一気読みしました…!! 比喩やばいね… すんごいよもう… 最近涙腺ぼろぼろになってきたのかみのりちゃん(みのりちゃん呼び失礼致します🙇🏻♀️)のお話読むと泣いちゃう🥲 馬鹿ってそういうことなのね… さすがみのりちゃん…!! お話一つ一つがすごく凝ってて読んでて描写がすごく分かりやすいの!!!✨✨ 素敵なお言葉がたくさん入ってて、すごいなぁって毎度思ってる😌💕
思わず涙が…2人とも、逢えて良かったな。