ティグ🐋
その日は、暑さがいつもより厳しい一日だった。
ほたるは少しふらつきながら、静かに横になる。
眠ったはずなのに、不思議と「眠れた」という実感はない。
夢と現実のあいだを、ゆっくり漂っているようだった。
猫シェルターでは、七匹の保護猫たちが静かに寄り添い、十匹のシェルター犬たちも、まるで何かを感じ取ったかのように落ち着いて過ごしていた。
その静けさの中で、ほたるはそっと目を開ける。
「ここは……。」
景色は変わっていないはずなのに、どこか空気が澄み、世界が少し違って見えた。
まるで、新しい世界へ一歩踏み出したような感覚。
ほたるは、その場所を「五次元」と呼んだ。
音は遠くなり、耳には何も届かない。
けれど、不思議と怖さはなく、代わりに心の奥が静かに満たされていく。
言葉ではなく、ぬくもりや優しさが、その世界では静かに伝わっていた。
猫たちも犬たちも、そっとほたるのそばに集まり、何も言わず寄り添う。
その温かな気配だけが、「ひとりじゃないよ」と語りかけているようだった。
ほたるは小さく微笑み、静かに目を閉じる。
今日という日は終わる。
そして明日は、また新しい朝がやってくる。
その朝が、みんなにとって穏やかな一日になりますように。
