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第1話 - あ

2023年04月16日

#恋愛

結城真矢

カイ

夕飯ねぇの！？

カイ

どうすんだよ！

チョウ

ごめん、今日も残業でさ…

カイ

また残業！？

カイ

遅くなるならラインとか入れとけよ！

チョウ

ライン出来るタイミングなくて…

カイ

そんなの言い訳じゃねぇ？

チョウ

言い訳なんてしないってば。

チョウ

しょうがないじゃない。

カイ

どこかでこっそり連絡ぐらいできるだろ、銀行員なら。

チョウ

こっそりとか、就業中なんてダメに決まってるでしょ。

カイ

こまけぇｗｗ誰もなんも言わねぇだろ、ド真面目過ぎ。

チョウ

それが私なんです。

チョウ

あ、夕飯、冷蔵庫にあるもので適当に何か作ってくれる？

カイ

はぁ？

カイ

俺がやれって？

チョウ

今時間あるでしょう？

カイ

めんどくせぇことやらせるなよ…

チョウ

それで、あともう少しかかりそうだから、家事頼んでもいい？

カイ

は？やるかよ。

チョウ

え、いいじゃんそれくらい。

カイ

俺、明日から出張だから。

チョウ

え！そうなの！？聞いてない！

カイ

その支度やらで忙しいわけ。

チョウ

出張、最近多くない？

カイ

アパレル業界では普通なんだよ。

チョウ

普通ですか…

カイ

なんだ、なんか言いたそうだな？

チョウ

いや、だって…

カイ

はっきりしろ！

チョウ

いつも出張出張って、内容は教えてくれないじゃない。

チョウ

前までは、どんな内容とか話してくれてたのに…

カイ

面倒になったから。

チョウ

面倒って…そこまで？

カイ

色々話したって、分からんことが多いからな？

チョウ

なに、その見下す感じ。

チョウ

で、話し戻すけど、その出張はいつまであるの？

カイ

3日間だけど、また次の日は別の場所で出張だから。

チョウ

え、ちょっとハードじゃない？

チョウ

それはいつ帰ってくるの？

カイ

5日くらいはいないわ。

チョウ

一週間以上もまたいないのね。

カイ

いつも家にいたって、俺と話さねぇし、いいだろ。

チョウ

何言ってるの？

チョウ

ゆっくり話す暇がないくらいに、家事はほとんど私がやってるからでしょ！

カイ

そうだったっけ？

カイ

すまねぇすまねぇｗ

チョウ

ほんと、それ反省してる？

チョウ

あ、そういえばなんだけど、出張先ってどこなの？

カイ

海外に行くことになった。

チョウ

海外にしては、短い出張期間ね。

カイ

ま、用が済んだらすぐ帰省ってことだな。

チョウ

そういう出張って、今後も何回か続きそう？

カイ

んだよ、なんか問題でも？

チョウ

いや、その、私たちそろそろ結婚して2年経つけど…

チョウ

子供欲しいなぁって…

カイ

はいはいｗ

カイ

チョウちゃん、子供欲しい？ｗ

チョウ

そりゃ…30代半ばっていう年齢もあるし…

カイ

まぁ、駄目ってことじゃねぇけどよ？

カイ

今、チョウも仕事順調で、上司に褒められたって嬉しそうにしてただろ？

チョウ

まぁ、任されてた大きな仕事だったからね。

カイ

そんな絶好調のときなんだし、もう少し後でも大丈夫だろ。

チョウ

うーん…

カイ

それと、俺はちょっと

カイ

今仕事が忙しいから、そういうこと考えられねぇんだわｗ

チョウ

そ、そう…

チョウ

いつ頃とか、私としても時期をそろそろ決めたいんだけど、いい？

カイ

あー、そういうの俺無理。

カイ

その時の気分とかで決めたいからさ。

チョウ

気分って、それは勘弁してよ！

カイ

チョウも銀行員の仕事、ここずっと生き生きした感じじゃん？

チョウ

ま、そうなんだけどさ…。

カイ

じゃ、そういうことだしさ、もう少し頑張ってやろーぜｗ

チョウ

私たちの将来については？

カイ

まだそんな焦らんでも大丈夫だろ？ｗ

チョウ

焦ってるわけじゃないよ？

チョウ

私たち、もうお互いのこともわかってきて、次のステップに進みたいだけ。

カイ

ステップですか。

カイ

いやぁ、俺は今の時間をもう少し楽しみたいからはんたーい

チョウ

今の時間って、私たちそんなゆっくりした時間無いじゃない。

チョウ

最近出張ばっかで。

カイ

あーあー、うるせぇな。

チョウ

ちょ、そんな言い方ないでしょう！？

カイ

あ、それともう一つ言い忘れてた。

チョウ

なに？

カイ

出張後、そのまま飲み会にも行くからよろしく～

チョウ

え、直帰しないの！？

チョウ

ご飯とか作っておこうと思ったのに！！

カイ

そんなんいらんいらん。

カイ

ちょっと同僚と久しぶりに行こうって話をしててな！

チョウ

あ、そう…

カイ

何か困ることでもあるのか？

チョウ

私との時間は、そんなにいらないんだって。

カイ

あらあら～ごめんよチョウちゃん。

カイ

その飲み会が終わったら、構ってあげるから♡

チョウ

ま、とりあえず仕事頑張ってね。

カイ

おい、スルーすんなよ。

チョウ

他に予定はないよね？

カイ

今のところな。

チョウ

了解。

カイ

あのさ、そんなに子供が欲しい？

チョウ

そりゃそうよ？

チョウ

女性にはタイムリミットとかあるわけ。

カイ

タイムリミットですかｗ

カイ

俺にだって、人生通してやりたいこととかあるわけよ。

チョウ

やりたいことって、子供ができたら困ること？

カイ

今こんな忙しいときに、子供できても困るってんだよ！

チョウ

ちょっと、それ本気で言ってるの？

カイ

ああ、本気だね？

チョウ

ありえない…

カイ

あり得ないでも、なんとでも言えよｗ

カイ

とにかく、この話はまた今度にしろ。

カイ

俺は、明日の出張で忙しいんだ、じゃあな。

～翌日～

チョウ

あのさ、前に話してた子供の件なんだけど、

チョウ

ちょっとここ最近考えてて。

チョウ

やっぱり子供欲しいなって思うの。

カイ

なに、また子供の話？

カイ

しつけぇな！

チョウ

仕事は順調で何も問題ないし、むしろここ最近は絶好調なの。

カイ

じゃあ、それでとりあえず良いじゃねぇか？

チョウ

だけど、貯蓄だって十分すぎるくらいにあるじゃない？

チョウ

私はむしろ今がチャンスと思ってて。

カイ

何度も言わせるなよ！子供は作らねぇって！

チョウ

どうしてだめなの？

カイ

そういう気分じゃない。

チョウ

じゃあ、いつならその気になるのか教えてくれる？

カイ

それはわからん。

チョウ

話にならないじゃない…

カイ

お前は、とにかく仕事に没頭してたらいいんだよ！

チョウ

扱いが雑じゃない…

カイ

あ、そういや出張先でいろいろ買い物したからよろしく～

チョウ

え、まさかだけど、またたくさん買った！？

カイ

たくさん買ったぞ～

チョウ

カード使い過ぎには気を付けてよね！？

チョウ

前に使い過ぎて止められたことあるんだから！

カイ

あれー、そうだっけ？

チョウ

金銭感覚無さ過ぎて困るよ…

カイ

いいだろ！？俺のカードなんだからどう使おうが！

チョウ

そういう問題じゃないでしょ？

チョウ

支払いの時に足りなくなって、私に貸せっていうのはやめてってことよ！

カイ

そんなことしねーしねー

チョウ

何回そういうことあったかしら？

カイ

ぐちぐちうるせぇよ。

カイ

俺の好きなように使わせてもらう。

チョウ

あ、それとひとつ質問してもいい？

カイ

なに？

チョウ

最近だけど、その出張以外にカード使ったりした？

カイ

通販で使ったけど、それがなんだよ。

チョウ

その請求書、今自宅に送られてるの。

チョウ

不在票で入ってて。

カイ

あー、それ対面受け取りだね。

カイ

俺がまた帰ったときに再配達するから、放っておいていいわ。

チョウ

それでいいんだろうけどさ。

チョウ

あなた、変なの頼んでないよね？

カイ

は？ｗ

カイ

なんだよ、変なのって。

チョウ

口紅とか書いてあるけど、あんたそんな趣味だった？

カイ

今時は、男性もメイクするっていうだろ、それだそれ。

チョウ

口紅もー？

チョウ

女性ものっぽい色なんだけど？

カイ

そういうのも流行ってるわけ、バカにはわからんか？

カイ

そりゃそうだよな、仕事熱心過ぎてブームには乗れねぇってか？

チョウ

うっさいわね、一言多いのよ。

カイ

その不在票は捨てといてくれ、俺の携帯から再配達指定しなおすわ。

チョウ

私へのプレゼントだったりして～？

カイ

勝手に想像でもしてな。

チョウ

は、違うの！？

カイ

しらねぇ。

チョウ

じゃあ誰だっていうのよ？

カイ

うるせぇよ、誰でもいいわ。

チョウ

話し戻すけどさ、

チョウ

3日間の出張先から戻ったとき、一瞬家に来たでしょう？

カイ

それがなんだ

チョウ

女性用の香水の香りがしたんだけど、気のせいよね？

カイ

気のせいじゃね？

チョウ

じゃあ、この写真は何？

カイ

え、ちょ、どういうこと？

チョウ

あなたと、この女性は誰？

チョウ

まさかだけど、不倫なんてしてないわよね？

カイ

してるわけねぇだろ！？

チョウ

じゃあ、この写真はどう説明する？

チョウ

道のど真ん中で、大胆にハグとチューしちゃってるんだけど…

カイ

あ、いやぁ…これは事故で…

チョウ

それと今ホテルなのかもだけど、

カイ

え？w何言ってるんだよｗ

チョウ

あなたの今持ってるクレジットカード、私のだから使えないわよ？

カイ

へ？

カイ

な、何言ってるんだよ。

チョウ

一回家に帰ったときに、私とあなたのカード、入れ替えといたの。

カイ

う、嘘だろ！？

カイ

っていうか、なんで俺が今いる場所わかるんだよ！？

チョウ

そういうっていうことは、やっぱ海外に出張なんて言うのは嘘ってことね？

チョウ

探偵を雇って、あなたの素行を調べてもらって、正解だったわね。

カイ

探偵とか…卑怯な！

チョウ

やめてよね、そんな言葉。

チョウ

クレジットカードの履歴も調べさせてもらったよ。

カイ

は、ちょ、まじかよ…

チョウ

女性用ブランドのバッグやアクセサリー、ホテルやレストランの支払いとか…

チョウ

お金を使いまくる日々じゃない？

チョウ

私にはこんなものくれたことないのに…

カイ

お前って、欲しいものとか言わねぇからわかんねぇんだわ。

チョウ

それを聞いて、すっきりした。

チョウ

私のことを、全然見てくれてない証拠ね。

カイ

本当のことだろ？

チョウ

今ホテルなんでしょう？

チョウ

女性とイチャイチャしてる最中にごめんね？

チョウ

早く帰らないと、あなたの荷物がどうなることやら…

カイ

は？ど、どういうことだよ！

チョウ

私、このマンション出てくから。

カイ

は？なんで？え、展開が追い付けねぇし

チョウ

あんたみたいな不倫男のために、私は残業をしてたわけじゃねぇんだわ。

チョウ

将来の子供のためになるならって考えてたのに…

チョウ

離婚決定ね。

カイ

ちょ、チョウ、落ち着こうか！

カイ

最近、俺もたまってて…チョウとどうしてもコミュニケーションが…

カイ

上手くとれなくって…

チョウ

もう遅い！

チョウ

今更そんなこと言われても響きやしない。

チョウ

私がどれだけ寂しかったか…

カイ

す、住まねぇって！許してくれ！

チョウ

詳しいことは、弁護士通して話しましょうか。

カイ

べ、弁護士まで用意済みなんか！？

チョウ

きっちり制裁してもらわないと。

カイ

勘弁してくれ…

チョウ

そして、チェックアウトするときどうするのかしら？

チョウ

私のクレジットカード、ストップかけさせてるから使えないわよ？

カイ

嘘だろ！？

カイ

俺が支払うっていうのに、どうしてくれるんだよ！

チョウ

知らないわ。なんとかして支払うんだね？

カイ

最上階でVIPルームっていうのによ！

カイ

どうやって支払うんだよ…

チョウ

どうにかしな。

～後日談～

チョウ

その後、彼は支払いができないことで、警察に通報される始末。

チョウ

クレジットカードを止められて支払えなかったやら、

チョウ

色々話したが、上手く聞いてもらえず。

チョウ

最終的には、不倫だっていうことが警察の耳に入った時点で…

チョウ

会社にもその情報が流れ、退職というかたちになったらしい。

チョウ

私は、その後引っ越し先を実家にすることにした。

チョウ

不倫されたっていう経緯を話し、初めは怒りがすごかったけれど

チョウ

不倫してくれたことで、我が家に帰ってきてくれたから結果オーライらしい。

チョウ

家を出ていくときから、両親は過保護だったから、大喜びなの。

チョウ

ま、喜んでくれてるから、こっちまで嬉しくなるし、いいんだけどね。

チョウ

勤務地は変わったけど、銀行員としてまた静かに暮らすことにします。

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