TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

レンタル彼氏は笑わない

一覧ページ

「レンタル彼氏は笑わない」のメインビジュアル

レンタル彼氏は笑わない

1 - レンタル彼氏は笑わない

♥

373

2022年02月01日

シェアするシェアする
報告する

梵天幹部による会議の後、他の幹部たちが会議室を立ち去る中、三途と灰谷兄弟、マイキーの4人は会議室に残っていた。

__!___

竜胆

__?__!

春千夜

チッうっせぇんだよ!!クソ兄弟がッ

はるちゃん、どうちたの〜?

構ってもらえなくて寂しかったんでちゅか〜?♡

竜胆

ププッ

春千夜

ハァ?!?!

春千夜

っざけんじゃねぇぞ?!クソブラコン兄!!

春千夜

竜胆も笑ってんじゃねぇよッ!!

まあまあ、落ち着きなって♡

春千夜

お前らのせいだろがぁ?!

竜胆

あ!兄貴、三途にあれ見せてやろうぜ!

おー、それいいな♡

「はいっ」、と手渡されたのは1枚のチラシだった。 そこには、‘‘レンタル彼氏’’という言葉がでかでかと書かれていた。

春千夜

………?

春千夜

何だよコレ?

そのまんまの意味だよ?

竜胆

ハァ…兄貴、説明雑すぎだろ

竜胆

えっとな、レンタル彼氏っていうのは、自分の好きな男、指名して、恋人役になってもらうことだ

春千夜

、……

竜胆

(うわー、興味なさそ…)

春千夜

……俺は男だぞ?

いいとこに気づいたな!

ここのは珍しいやつで、利用者は男だけって決まりなんだぜ♡

春千夜

……俺は遠慮しとく

竜胆

……お前最近休んでないだろ?

竜胆

だから、いい息抜きになるんじゃねぇかなって思ったんだけどな…

マイキー

……三途、行ってこい

春千夜

?!

春千夜

ど、どういうことですか、マイキー?!

マイキー

俺もお前は一回休むべきだと思う

春千夜

俺は大丈夫ですよ?

マイキー

お前は明日から1週間休暇だ。

マイキー

……これは命令だ。

春千夜

………ウス

春千夜

(メンドクセェことになったな…)

じゃあ、俺たちが適当に相手決めてやるよ♡

そう言って、灰谷兄弟は三途の相手を選び始めた。

竜胆

…!兄貴、コイツとかいいんじゃね?

え、どれどれ?

おぉ、確かにいいな♡

はいっ、と見せてきた竜胆のスマホに写っていたのはボサボサの黒髪で暗く淀んだ青い目をもつ無表情の男だった。

春千夜

(コイツ、ホントに接待できんのかよ?コイツのこと指名する奴なんていねぇだろ…)

言っとくけど、この子、すげぇ人気らしいよ

竜胆

頼んだらなんでもしてくれるらしい

春千夜

……下僕かよ

春千夜

(……花垣武道か…、)

春千夜

(変なヤツ…)

明日の10時に予約したぜ♡

春千夜

………おう(明日?!急すぎだろ…)

春千夜

(コイツ他人事だと思って、ゼッテェ楽しんでやがる…○ね!!)

次の日の9時45分、待ち合わせ場所の公園で、三途は武道のことを待っていた。

春千夜

チッ早く着きすぎた…

その5分後、ダサい服を身に纏った武道がやって来た。 その顔は昨日写真で見たときと変わらず、無表情だった。

春千夜

……(クソダセェ)

春千夜

おい、ドブ

武道

………

春千夜

おい!聞こえてねぇのかよ!!

武道

もしかして俺のことですか?

春千夜

お前以外に誰がいんだよ?

武道

(この人、初対面だよな?失礼すぎだろ…まあ、仕事だしいいか)

武道

ご指名ありがとうございます。

武道

花垣武道です。

武道

今日はよろしくお願いします。

春千夜

ん…

春千夜

ちょっとここで待ってろ

武道

?わかりました。

武道

(どうしたんだろ?)

〜20分後〜

春千夜

おい、ドブ

そう言って、三途は武道の方へ紙袋を投げた。

武道

!わっ

何とか紙袋をキャッチした武道が紙袋の中身を確認すると、そこにはファッションに疎い武道でもわかる有名ブランドの服が入っていた。

武道

ど、どうしたんですか?これ?

春千夜

そんなクソダセェ格好で俺のそばにいられたら困るんだよ

春千夜

トイレでとっとと着替えてこい!

武道

!はいっ

武道

あの、着替えてきました。

春千夜

チラッ

春千夜

…ちっとはマシになったじゃねぇか

武道

センスいいんですね

春千夜

当たり前だろがぁ

春千夜

着替えたなら、早く行くぞ、

武道

あの、名前なんて呼べばいいですか?

春千夜

……なんでもいい

武道

じゃあ、三途くんで、

春千夜

…おう

武道

三途くん、キレイですね

春千夜

………そうだな

映画館に、ボーリング、高級レストラン、そして今来ているイルミネーション……どこに行っても、武道は相変わらず無表情のままだった。 話しかけたら、ちゃんと返事もするし、話も振ってくれる。ただ、アイツの本心はわからなくて、俺はまるで感情のない機械とデートしているように感じた。

その後は、特に何かをするわけでもなく、いつの間にか別れ、俺は自分の家にいた。

武道とのデートから3日後、三途はひとり、繁華街を歩いていた。 その日限りの関係を終えた三途と武道を繋ぐものはもはや何も残っていなかった。

春千夜

………

ドン

チンピラA

おい!

春千夜

あ’’?

チンピラB

いってぇ、コレ絶対骨折れたわ

チンピラA

ちょっとお兄さん、どう落とし前つけてくれんの?

チンピラB

慰謝料払えよ!

春千夜

チッ(めんどくせぇッ)

難癖をつけて絡んできた二人組の男をボコボコにした三途は、頬についた返り血を指で拭いながら、賑わいを見せる夜の繁華街を後にした。

春千夜

あ’’あ’’

春千夜

久しぶりに人殴ったわ

春千夜

仕事してないとホントに何もすることねぇな…

家へ向かう途中、路地裏の前を通り過ぎようとしたとき、聞き覚えのある声が耳に入り、三途は足を止めた

モブおじさん

デュフフ

モブおじさん

武ちゃん♥この後ホテル行かないかい?ニヤニヤ

武道

……ハイ

モブおじさん

あ!その前に僕にキスしてくれる??

武道

……ハイ

モブおじさん

クチュクチュヂュ…ジュパッ

武道

ンッ…ンアッ……ハァハァ

モブおじさん

そんなに感じちゃって♥

モブおじさん

やっぱ“僕の”武ちゃんは可愛いねぇ///

武道

………

男の手が武道の服の隙間に入り込もうとした瞬間、武道の視界から男が消えた

武道

…?

武道

!三途くん??

春千夜

ハァ…気持ちワリィ

春千夜

おい、ドブ!

春千夜

早く行くぞ!!

男を殴り飛ばすと、三途は武道の腕を掴み、歩き出した。

武道

……ッどこ行くの?

春千夜

……俺ん家

春千夜

お前に聞きたいことがある

武道

………

春千夜

おい、ドブ

武道

…………

春千夜

お前、なんで抵抗しなかった?

春千夜

俺が来てなかったら、お前自分が今頃どうなってたかわかってんのか?

武道

…ん…………ろ

春千夜

あ’’?

春千夜

聞こえねぇよ

武道

三途くんには関係ないだろ!!

武道

あの人は俺のお客さんだ

武道

勝手なことしないでよ!!

春千夜

うっせぇんだよ、クソがッ

春千夜

なんで自分を大事にしねぇんだよッ

春千夜

仕事だからか?

武道

当たり前だろ?!

春千夜

お前、この仕事してて楽しいと思ったこと一度でもあんのかよッ?!

武道

ッ……あるよ

春千夜

嘘つくな!!

春千夜

だったら、なんでお前今泣いてんだよ??

武道

……!

武道

(ホントだ……あれ、俺なんで泣いてんだろ?)

武道

(感情なんてとっくの昔に捨てたはずなのに…)

ポンポン……

武道

春千夜

辛い思いしてまで、無理して続けなくていいだろがぁ?

春千夜

お前の人生、自分の好きなように生きろ

武道

ッ…

武道

(なんで、なんでそんなに優しくするんだよッ……)

武道

ウッ、ヒグッ……

今まで堪えてきたものが一気に溢れ出した。一度溢れてしまったそれはもう歯止めがきかなかった

子供のように嗚咽を漏らす武道を三途は何も言わずに優しく包み込んだ

春千夜

落ち着いたか?

武道

…ハイ…ありがとうございました。

春千夜

もう今日は遅いから泊まってけ

武道

え?気にしなくていいですよ

春千夜

………俺が気にする

武道

………じゃあ、よろしくお願いします

武道

あの…

春千夜

あ’’?

春千夜

まだなんかあんのか?

武道

………俺に何もしないの?

春千夜

チックソビッチがっ

春千夜

他の奴と一緒にすんじゃねぇ

春千夜

お前みたいなドブに手出すわけねぇだろ

春千夜

わかったら、とっとと寝ろ

武道

武道

フフッ…そっか

春千夜

……?!

春千夜

今お前笑っ、て

武道

ん?

初めて見たアイツの笑顔は太陽みたいに暖かくて、優しくて、綺麗だった。

武道

………俺、

武道

レンタル彼氏辞めるよ

武道

もう自分自身を欺きたくないんだ。

そう言って、アイツは閉じていた目をゆっくり開いた。月明かりに輝らされたその瞳はもう淀んではいなかった。決意を固め、まっすぐこちらを見つめる蒼く透き通ったその目には三途の惚けた顔が映っていた。

春千夜

……そうかよ

武道

三途くんのおかげだよ…

武道

ホントの俺を見つけてくれてありがとう

一体、どちらからしたのかはわからない。 静かな部屋の中、俺たちはそっと唇を重ね合わせた。

‘‘レンタル’’という偽物の恋しか知らなかった男は、優しい不器用な男と出会い、初めて‘‘本物’’の恋を知った

この作品はいかがでしたか?

373

コメント

6

ユーザー

はぁ、幸、、大好きです❣️

ユーザー

とりま、灰谷兄弟(''∇^d) ナイス☆!!

ユーザー

え、待って最高

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚