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君でおれを縛って

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君でおれを縛って

13 - 第13話 すれ違い

♥

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2025年05月12日

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おれは昔から空気が読めるタイプだった

自分で言うなって感じだけど、 読めてたせいで全て自分の意思じゃなかった

女の子

私と付き合ってください!

天摩

…うん、いいよ?

ダッ

モブ

やったじゃんみさ!

女の子

…うん!断られてたら気まずかったもんね〜笑

屋上に呼び出されて 告白された時、扉の向こうに友達がいるのに気づいていた その後は大盛り上がりで 人気者だった俺と、人気者だった女の子 お似合いだって話題になってた

俺は好きなんて気持ち、一切ないのに

断ったらどうなるか…わかってたから

モブ

あのっ!

モブ

私、天摩さんのこと、好きです…。

天摩

……うん

期待に応えなきゃ 大人になってもそれに応えているうちに もっと期待されていって 自分で自分の首を絞め、勝手に苦しくなっていた

そんな時 少し自分に重なって見えていた碧葉、 それと気まぐれであおを家に迎え入れた

天摩

どう?おいしい?

碧葉

……おいしいです

初めのうちはずっと敬語で、 天摩さん、だなんて呼ばれて ろくに感情も出さず線を引かれていた

気付いてたけど、気にしてなかった

でもある日

碧葉

……あの

碧葉

天摩って、呼んでもいい?

天摩

…?

天摩

当たり前だよ

天摩

俺もあおでいい?

碧葉

…うん

碧葉

……嬉しい

ふわっ

天摩

…!

唐突に心を開いてくれた日があった 嬉しくて心臓が高鳴って この頃からもうあおが気になっていた

ガチャッ

天摩

ただいま…

天摩

疲れた〜

一緒に住んでから1年が過ぎたその日 早くに仕事が終わってあおの声が聞こえていた 誰かに電話をしてたみたいだった

トッ

碧葉

〜〜?

ふと会話が耳に入って その内容に驚いた

碧葉

好きだなんて言えないよ

碧葉

天摩はきっと気遣って断ったりなんて出来ないもん

天摩

……!

碧葉

俺、天摩と住めてるだけで幸せだし

碧葉

それ以上求めたら

碧葉

きっと天摩が疲れちゃう

天摩

……。

両想いと気付いた時、嬉しかった 俺が無理にでも承諾すると思って 言わないでくれていた

俺が気持ちに応えるべきだったのに

天摩

……。

怖かった

両想いと知っても尚 俺の考えや全てを受け入れてくれるのか 世間の目に耐えられるのか 若いのに年上と付き合って後悔しないか

結局、大切にしてくれてる気持ちを傷付けるのが怖くて 今度はこの気持ちから逃げた これ以上あおのことを好きにならないように ただの弟だと思って生活するようにって

そうしてたのに

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