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紬に告白されてから
1週間が経った
あの日から紬は驚くほどにいつも通りだった
朝教室で顔を合わせれば
「おはよう」と声をかけてくるし
授業中にも隣からくだらない話を振ってくる
千夏も交えて3人で話してる時だって
何も変わらない
まるで
あの日のことが無かったみたいに
けれど
私の中ではそうはいかなかった
紬の言葉も
及川先輩との会話も
ふとした瞬間に思い出してしまう
〇〇は色々なことを考えながら
3年生の教室でスマホを眺めていた
今日はお母さんの誕生日
放課後
大我と一緒にプレゼントを買いに行くと
約束をしていたのだけれども
その本人がまだ来ない
『母親 誕生日プレゼント』
検索欄に文字を打ち込んでみる
お花は絶対毎日見ているし
洋服やアクセサリーも好みが難しい
せっかくなら
普段から使えるものがいいかもしれない
画面をスクロールしながら考えていると
聞きなれた声がした
及川徹
及川徹
顔をあげると
教室の入口に及川が立っていた
○○
及川徹
及川徹
○○
○○
○○
及川徹
及川徹
○○
○○
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
○○
○○
○○
及川は笑いながら
近くの椅子に座った
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
○○
スマホの画面を見せると
及川は少し身を乗り出した
及川徹
及川徹
及川徹
○○
○○
及川徹
及川徹
及川徹
〇〇はふふっとわらう
○○
○○
そんな他愛もない会話をしながら
しばらくふたりは過ごした
ふと、及川は〇〇の手元を見た
及川徹
及川徹
〇〇は及川の視線に気づく
○○
○○
○○
及川徹
○○
○○
○○
及川は少し黙る
及川徹
及川徹
○○
思わず聞き返した
及川徹
及川徹
○○
○○
紬が及川先輩に
私の知らないところで
そんな話をしていたことが少し不思議だった
及川徹
及川徹
○○
○○
○○
○○
及川徹
及川はそう言って
少しだけ視線を逸らした
いつもの笑顔と違う
何かを考えているような顔だった
○○
及川徹
○○
及川徹
及川徹
少し考えている
及川徹
○○
及川は少し呼吸を整えた
そしてゆっくり〇〇に向き直る
及川徹
○○
及川徹
及川徹
いつもと違う声に
〇〇の背筋も少し伸びる
○○
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
及川は少し困ったように笑った
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
胸がドクンとなった
及川徹
及川徹
及川は〇〇の目を見る
及川徹
及川徹
一瞬何を言われたのか分からなかった
頭の中が真っ白になる
○○
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
及川先輩は少し照れたように言う
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
私は何も言えなかった
紬から告白された時も
こんなふうに頭が真っ白になった
けれど今は違う
及川先輩の言葉が
何度も頭の中で繰り返される
好き
私のことが、好き
大我
大我
大我
突然大我の声が響いた
及川は思わずそっちを振り向く
及川徹
大我
及川徹
及川は立ち上がり〇〇の方を見た
及川徹
及川徹
○○
そう言って及川は教室を出ていった
私はその場から動けずにいた
返事をする前に大我が来てしまった
大我
大我の声にようやく我に返る
○○
大我
〇〇は大我を少し睨んだ
大我
○○
大我
なんもわかっていない大我に
思わずため息が出る
○○
大我
大我
○○
大我
大我は上機嫌で歩き出す
私はその後ろを着いて行きながら
あの言葉を何度も思い出していた
その後
〇〇と大我は母へのプレゼントを購入した
2人で悩んだ末
普段使いできる小物を選んだ
大我は途中で自分の買い物に移りそうになり
〇〇は止めた
そしてそのまま花屋へ
店を閉めている母の元へ向かった
プレゼントを渡すと
想像以上に喜んでいた
母
母
母
○○
大我
母
母
母
お母さんはニコニコわらっていた
そのあと
大我はシフト上がりの美晴さんを
家へ送りに行くと言って
さっさと店を出ていった
〇〇はカウンターに頬をつけ
店内の片付けをする母を静かに見ていた
○○
母
母
お母さんが笑いながら言う
○○
○○
母
母
お母さんは手を止め、私の隣に腰を下ろした
母
○○
母
母
私は一瞬口を開いて、また閉じた
少し考える
○○
○○
○○
母
○○
○○
お母さんは少し驚いたように目を丸くして
ふわっと笑った
母
母
○○
母
母
母
お母さんは片付け途中の花を見て言った
母
母
母
母
○○
母
母
母
母
母
母
お母さんはそっと〇〇の頬を撫でた
母
母
母
母
母
母
私は返事をせず
黙って聞いていた
信じること
失敗してもいいこと
その言葉がゆっくりと胸の奥に染みる
窓の外は
いつの間にか夕暮れになっていた
及川先輩に告白された
けれど、私はまだ何も答えていない
まだ何ひとつとして整理ができていなかった
〇〇はそっと膝の上で手を握った
次の日
放課後の教室には
掃除当番の〇〇と紬だけが残っていた
千夏はネイルを変えるとか何とかで
先に帰っていた
窓から差し込む夕日が
机の脚を長く伸ばしている
私は教室の後ろを掃き
紬は黒板の下を掃除していた
野田紬
○○
野田紬
○○
野田紬
野田紬
○○
野田紬
野田紬
そんな、いつも通りの会話
紬は相変わらずで
いつも通り接してくれている
だからこそ
私はずっと言い出せずにいた
箒を動かしながら、何度も紬の方を見る
今、言わなきゃ
そう思う度に喉の奥が詰まった
○○
野田紬
紬は箒を止め〇〇の方を見た
〇〇は深く息を吸い込んだ
○○
○○
○○
野田紬
紬は箒の柄に顎を乗せたまま
私の言葉を待っていた
○○
○○
その瞬間紬の表情が少し変わった
野田紬
〇〇はぎゅっと箒を握った
○○
1度目を伏せた
○○
紬は何も言わなかった
○○
〇〇は深く頭を下げた
少しの沈黙
それから小さく紬が笑った
野田紬
顔をあげると、紬はいつものように笑っていた
野田紬
野田紬
野田紬
○○
野田紬
野田紬
野田紬
紬は箒に顎を乗せたまま、天井を見た
野田紬
○○
野田紬
野田紬
ふっと笑う紬
○○
野田紬
野田紬
野田紬
紬は箒を持ち直し〇〇の方を見た
野田紬
野田紬
野田紬
野田紬
野田紬
その笑顔はどこまでも優しかった
私の返事に傷ついていないわけがない
それでも
気まずくならないように
いつも通りで居てくれてる
○○
〇〇は小さく頷いた
○○
○○
野田紬
紬は笑って箒を動かし始めた
野田紬
野田紬
野田紬
○○
その後はまた
他愛もない話をしていた
けれど
帰り道に1人になると
さっきの会話が何度も頭の中を巡った
紬は最後まで優しかった
だからこそ
胸が軋んだ
校門を出て
家の方に向かってとぼとぼ歩いていた
夕方の風がスカートを揺らす
色々なことが頭に浮かんでいた
そのとき
気がつくとスマホを取っていた
画面には及川先輩の名前
私はほとんど考える暇もなく電話をかけていた
数回の呼び出し音のあと
聞きなれた声がした
及川徹
及川徹
○○
及川徹
電話の向こうは
随分賑やかだった
笑い声や誰かの大きい声が聞こえる
3年生のみんなで集まっているのだろうか
少しだけ息を吸った
○○
言った瞬間
顔が熱くなった
自分で言っておきながら恥ずかしくなる
及川徹
○○
○○
及川徹
慌てたような及川先輩の声
及川徹
及川徹
○○
○○
及川徹
及川徹
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
その声は
いつものふざけた声とは違っていた
〇〇は今いる場所を伝えた
及川徹
及川徹
電話が切れる
私はスマホを握りしめる
その場に立ち尽くした
…どうしよう
自分から会いたいなんて言ってしまった
急に恥ずかしさが込み上げてきて
今すぐ帰ってしまいたくなる
けれど
足は動かなかった
それから五分くらい経った頃
及川徹
遠くから聞こえた声に〇〇は顔をあげる
及川先輩が走ってきている
髪が少し乱れ、額には汗が滲んでいる
○○
及川徹
少し息を整えている
○○
○○
○○
及川徹
○○
及川徹
及川徹
及川徹
シャツをパタパタ仰いでいる
及川徹
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
及川先輩は笑った
及川徹
その言葉にまた顔が熱くなる
目の前の及川先輩を見つめた
走ってきてくれたこと
電話越しに、すぐ場所を聞いてくれたこと
お母さんの言葉がふと浮かんだ
━━信じることが大事だよ
━━失敗してもいいじゃない
私はずっと悩んでいた
及川先輩のことも、自分の気持ちも
でも今は
○○
思わず声がこぼれた
及川徹
及川先輩が目を丸くする
私は少し顔を上げた
○○
及川徹
○○
今度はちゃんと伝えた
及川先輩は数秒間固まっていた
及川徹
及川徹
○○
及川徹
○○
及川先輩は片手で口元を覆った
及川徹
及川徹
○○
及川徹
○○
その瞬間
及川先輩の顔がパッと明るくなる
及川徹
及川徹
思わず笑ってしまうほど
嬉しそうな顔だった
及川徹
及川徹
〇〇は頷く
○○
及川は思わず〇〇に抱きついた
それから少し照れくさそうに笑った
及川徹
及川徹
及川徹
○○
そう答えると嬉しそうに及川も笑った
そして〇〇の手を取った
及川徹
及川徹
及川徹
○○
○○
繋がれた手は
少しだけ暖かかった
それから月日は流れた
気づけば卒業の日
3年生の教室には
いつもより大きな声が響いていた
廊下には花束を抱えた生徒たちが行き交い
校舎のあちこちで写真を撮る音が聞こえる
〇〇と千夏は校舎の外で並んでたっていた
○○
○○
そう言った私の目にも
涙が止まっていく
笛田千夏
笛田千夏
○○
笛田千夏
笛田千夏
千夏の声が震えた
すると3年生たちが外に出てきた
千夏を見ると久世は苦笑いを浮かべている
久世夏都
久世夏都
笛田千夏
久世夏都
久世はそういいながら
千夏の頭を軽く撫でた
その様子を見て〇〇は少し笑った
けれど
またすぐに涙がこぼれた
大我
大我
大我は笑いながら〇〇の顔を覗き込む
○○
大我
大我
美晴
大我の肩をぽんと叩きながら言う
〇〇も頷く
○○
大我
大我
美晴も隣で微笑ましそうに笑っている
大我の手には美晴さんから貰った花束がある
美晴
美晴
大我
大我は照れくさそうに
花束を大事そうに持ち直した
〇〇も花束を及川先輩に渡した
○○
○○
及川徹
及川徹
及川は花束を受け取り
〇〇の顔を見る
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
そう言いながら及川は〇〇の頭を撫でた
涙が止まらなかった
及川先輩は1週間後にアルゼンチンへ行く
わかっていたことだった
それでも
いざとなるとどうも悲しい
○○
○○
及川徹
及川徹
○○
及川徹
○○
○○
ボロボロと涙がこぼれる
及川先輩は困ったように笑いながら
〇〇の背中を撫でた
及川徹
及川徹
○○
及川徹
及川徹
及川徹
〇〇の涙を拭う
及川徹
及川徹
及川徹
私は何度も頷いた
それでも涙が止まらない
その時お母さんが花束を持ってやってきた
母
母
お母さんの声にみんなが集まる
大我
大我
大我たちが笑顔で〇〇を呼んでいる
〇〇は涙を拭いながら
及川の隣に立った
千夏はまだ泣いていて
久世が隣で慰めている
大我と美晴は体を寄せて笑っている
及川先輩も私の隣で優しく笑っていた
母
母
お母さんがスマホを構える
○○
笛田千夏
母
母は笑っている
母
シャッター音が鳴った
写真の中の私は
目を真っ赤にして泣いていた
千夏も泣き、久世はそんな千夏を見て笑っている
大我と美晴も幸せそうで
及川は〇〇の肩にそっと手を添えていた
みんなで過ごした日々が
そこに詰まっていた
この人なら信じてもいい
そう思えた人だった
コメント
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もう少しで最終話来そうでちょっと寂しいです、笑