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ルカ
「月蛇の微笑」
夜の森は濃い霧に包まれていた
木々の間を流れる冷たい風が、まるで何かの囁きのように耳をかすめる
ルカとルナは並んで歩いていた
戦いを終えたばかりの二人の間には、まだ熱気が残っている
ルカ
ルカの紫の瞳が闇を見据える
魂視によって、奥に潜む存在の気配を掴んでいた
ルナは小さく息を呑み、姉の袖を引く
ルナ
そのとき、霧の奥から人影が姿を現した
月光のように白く透き通る肌
茶髪に赤い紐を結び、右紫の瞳が妖しく輝いている
首には白蛇の刺青が淡く光り、その足元には小さな白蛇が這っていた
セレーネ
ルカは牙をのぞかせ、肩のミケがピクリと動いた
その女は、冷ややかな笑みを浮かべて言った
セレーネ
ルナ
ルナが首を傾げると、セレーネは霧の中でゆらりと歩み寄る
セレーネ
その言葉にルカの警戒心が高まる
魂視で見ると、セレーネの魂は蛇のようにうねり、光と闇が複雑に絡み合っていた
善か悪か、簡単には測れない
ルカ
ルカの声は低く鋭い
だが答えるより早く、森の奥から異形の鬼たちが群れをなして現れた
影のように広がるその姿は、まるで何者かに操られているかのように無機質だった
ルナ
ルナが叫ぶ
セレーネは月光を反射させるように刺青を光らせ、冷たい声で言った
セレーネ
白蛇・シロが舞い上がり、鬼の視覚を幻惑する。セレーネの魔眼が輝き、敵の心に恐怖を植え付ける
同時に、木々の根が地面から伸び、鬼たちを絡め取った
ルカ
ルカは口元に不敵な笑みを浮かべる
ルナも負けじと影歩きで敵の背後に回り込み、鬼の爪で切り裂く
ルナ
ルカは鬼纏いを解放し、霊気弾を次々と撃ち込む
三人の攻撃は見事に噛み合い、圧倒的な力で群れを削っていった
やがて霧が晴れ、静寂が戻る
倒れ伏した鬼たちは光の粒となって消えた
ルカは荒い息を整えながら、セレーネを睨む
ルカ
セレーネは片目を細め、皮肉げに笑った
セレーネ
ルナは目を丸くし、思わず一歩近づいた
ルナ
セレーネ
セレーネは背を向け、月明かりの差す方へ歩き出した
その後ろ姿を見ながら、ルカは心の奥で妙なざわめきを感じていた
敵か、味方か
だが確かに、この世界で共に戦うべき存在のような気もしていた
夜明けが近づく森の中、三人の少女の運命は静かに絡まり始めていた
続く