※死ネタ※
ある日 親友が突然亡くなった
メンバーに聞いても 分からないと首を傾げるばかり
俺はちょうどその日 とある手術の日で その親友が何をしていたのか どこにいたのか 分からなかった
だから その親友の遺品整理をしていたら 日記を見つけた
なにか手がかりが書いていないかと 俺は直ぐにそれを開いた
俺はその日記を見て言葉を失った
俺の胸の中に その親友は入っていると 分かってしまったから
赤
これはきっと遺書になる
五月十七日
今日はちょうど親友の誕生日の 一週間前 でもその僕の親友が 心臓病だと リーダーから僕達に知らされた
だから今日、 赤くん以外の皆で 病院に心臓の適合検査に行った
適合したのは 僕と黄くんと紫くんの三人
もちろん二人は優しいから 進んでドナーになるって言った
でも、 黄くんは赤くんの相方だし 紫くんはリーダーで社長だから 僕が止めた
その代わり 僕がドナーになると言った もちろん僕も止められた
でも誰かが赤くんの 心臓にならなきゃ 赤くんが死んじゃうから 僕は自分から 赤くんのドナーになることを選んだ
赤
五月十八日
メンバーと LIVEの話や これからの活動の話をした
これからは 僕を抜いた五人で活動してもらう
僕は事故にあった ということにする
僕のお母さんもお父さんも 桃くんも、他の皆も止めてくれて 僕は改めて まだきっと活動を続けて 生きていた方がいいのかもしれない そう思ったけど でもそれは赤くんも同じで 僕だけが特別じゃない
それに特別な人なんて きっとどこにもいない
それにきっとこの世には 赤くんの歌声を待ってる人が 沢山いる
だからこそ 僕は赤くんのドナーになる
赤
五月十九日
今日は赤くんの誕生日プレゼントを 黄くんと買いに行った
他愛ない話で盛り上がって 死ぬことも考えて ゲーセンに行って遊んで 残りの人生を 全力で楽しむような
そんな時間が過ごせた
本当に赤くんに感謝してる
赤
五月二十日
とうとう赤くんの誕生日 四日前!!
一緒に迎えられないことが 心残りだけど でも赤くんの中で生きられるなら まぁいっか!!
きっと 楽しい光景がまた見れる
赤
五月二十一日
今日からとうとう入院生活
本当は昨日からなんだけど 動画とか 歌ってみたとかの収録で 遅くなっちゃって 先生に怒られちゃった
最後の三日間の動画投稿も 頑張らなきゃね!
赤
五月二十二日
今日は説明とか 色々された一日だった
でも説明が終わったあとは 自由にしていいって言われたから 病院内をめっちゃ歩き回って 疲れちゃったw
でも、LIVEに比べたら 全然だけど
赤
五月二十三日
正直怖い
昨日の夜から 体の震えが止まらない
でも、もう決めたことだから 後戻りはできないししたくない
赤くんが生きるためだから
赤
五月二十四日
今日は赤くんの誕生日!
そして僕の人生最後の動画は 「 ドナーソング 」 の歌ってみた
MIXは黄くんがしてくれた
昔、赤くんの歌ってみた聞いた時は 驚いたなぁ
表現力凄いんだもん
でも歌ってみたに一番も二番もない
全部が凄くて美しい 歌という人の想い
そう思いながら 収録した
赤
赤
俺の涙は日記兼遺書を読んでいる時 涙は止まることを知らなかった
黄
黄
黄くんは焦った表情をした
赤
赤
だから俺はそれに 追い打ちをかけるように問い詰めた
黄
黄
黄くんは俯いて笑った
苦笑いじゃないけど近い笑い方
赤
赤
俺はそれに対して黙ってしまった
黄
黄
難しい質問をされた
黄
赤
あんな事実を知ったばっかじゃ 気持ちの整理が全くつかない
黄
黄
「 幸せになったら 」
「 このページに書き込んで 」
青ちゃんの日記には そう書いてあった
黄
赤
黄
黄くんは重々しい表情と声色で言った
僕は無理にでも 今すぐ書いて欲しかった
でも約束だから
約束破ると 青ちゃんに怒られちゃうので、
言われた通りに 赤に伝えた
これで いいんだよね
青ちゃん。
黄
青
青
青
いつもと同じように笑ったのに いつもと違う笑い方
黄
黄
僕は申し訳なくなった
僕自身も知りたくないような 答えは分かりきったような質問をして 自己嫌悪した
青
青
黄
青ちゃんは天井を見上げながら 僕に問いかけた
青
青
けどすぐに僕の顔を覗き込んできて いつもの意地悪な笑い方になってた
黄
黄
だから僕も同じ笑い方をした
青
青
黄
青
青
さっきから膝の上に乗せてた 日記帳らしきものを僕に手渡してきた
黄
青
黄
黄
僕は青ちゃんの目を見て 訴えかけるように言った
青
青
青
この言葉だけでも深いけど もっと深いところには 青ちゃんが生きた証を 残しておきたいんだと悟った
黄
涙が止まらなくなるから 気づきたくなかった
青
黄
僕は目を擦りながら 青ちゃんが何かをしているのを見た
青
僕の膝に置いていた日記を いつの間にか取ってて 最後のページに何か書き加えてた
青
黄
「 幸せになったら 」
「 このページに書き込んで 」
黄
単純に気になった
青
青ちゃんのポケットから出てきたのは 四つ折りにされた写真
黄
その写真を見た僕は 泣きそうになっていた
青
青
けど元気そうな青ちゃんを見たら そんな気持ちは吹っ飛んだ
黄
青
青
寂しそうに笑った
黄
けど元気が出た僕は いつも通りに笑いながら悩んだ
青
黄
数十秒経って出した答えは 「 僕なら受けとりません 」 逆を言えば僕と似つかない赤なら きっと受け取るってこと
青
けどその意味は 分かってなさそうだった
医者
そして無情にも時は過ぎて 青ちゃんの時間が来てしまった
青
青
僕の目の前に小指を出してきて
黄
僕はその小指に自分の小指を絡める
ボロボロに泣きながら
青
青
そう、手を振って ご飯の帰り道で別れる時みたいな 手の振り方をして
青
そう一言、大きな声で言った
いつも天邪鬼だった青ちゃんは 死ぬ前に本心を見せてくれて 僕は嬉しいのに、その嬉しさは 寂しさと悲しさの裏返しだった
黄
黄
あの後、僕の涙は小一時間 止まることを知らなかった
赤
黄
俺が目覚めたのは病院で ベッドの隣には黄くんが笑顔で 椅子に座ってた
赤
俺はあの日記を思い出して 黄くんの腕を思いっきり掴んだ
黄
黄くんは大きく目を見開いて 戸惑っているのが分かった
青
けど黄くんの隣には 見慣れた服の青ちゃんが立ってて
赤
俺は夢だと安心しきって 黄くんを掴んでた腕の力が抜けた
黄
赤
また戸惑っている黄くんに 俺は笑いかけた
青
青
赤
赤
青
俺がベッドに座ってるから かもしれない 隣にいる黄くんが座ってるから かもしれない
青
けどその身長は明らかに高くて 俺の心は、一瞬で 不安な気持ちで埋め尽くされた
青
赤
俺は自分のだと思う心臓が 強く脈を打ってることがわかった
不安と緊張から来てるだろうな
黄
青ちゃんは黄くんには見えてなくて たぶん、ほんとに死んでて
青
その言葉を聞いて、青ちゃんは 俺の中にいるのがわかった
赤
黄
絶句するように泣く俺を見て 黄くんはまた戸惑ってる
戸惑わせてしまった
青
青
青
青ちゃんはそう言って笑うと 下半身から薄くなっているのが 分かった
赤
俺は青ちゃんに触ろうとしたけど 触れなくて俺の手は空を切った
黄
黄くんは空を切った俺の手を掴んで 俺の顔をのぞき込む
赤
そんなの、答えは分かりきってる 青ちゃんがいなくて 俺が生きてるんだから そんなの分かってる
でも、わかんないよ
黄
黄
黄
黄
淡々と話す黄くんが恐ろしく思えて 酷く鳥肌が立った
黄
黄くんは泣いていた
子供のように泣いていて 本当に最年少らしくて、弟みたいで
赤
赤
それにつられて 俺も子供みたいに泣きわめく
赤
本当にみっともない
黄
黄くんは残酷なことを言ってきて 日記に乗ってたもう一人の適合者
赤
紫くんの名前を出した
黄
黄くんが口を開いた瞬間 病室のドアが開いた
医者
赤
俺だけじゃなくて 紫くんも昏睡状態なら 黄くんと桃くんと橙くんしかいない
そんな状態で、活動なんて
黄
黄くんは寂しそうに 悲しそうに言った
桃
お医者さんの後ろから 桃くんも出てきて悲しそうに 俺の名前を呼んだ
赤
赤
桃くんは青ちゃんの相方
お互いにお互いのことを信じあって 背中を預けあって そんな関係だったのに、どうして
桃
桃
桃
桃くんは悔しそうに言った
桃
桃
青ちゃんが言いそうな事だ
意外と怖がりで、踏み込むのが苦手で 基本的に安定を望むのに たまにかっこいいこと言う
赤
桃
桃ちゃんは涙を流さないように 上を向いた気がした
赤
俺は悔しくて、寂しくて 涙が止まらなくなった
桃
桃
慰めの言葉を吐きながら 桃くんは俺の頭を撫でる
赤
その手は暖かくて もっと涙が止まらなくなった
桃
桃くんは珍しく泣いてた
黄
橙
橙くんはそんなこと言いながら 黄くんの背中をそっと撫でてた
黄
けどそんな発言に黄くんは少しだけ 頬を膨らませて怒ってた
そのいつもの光景に安心した俺は
赤
黄
赤
黄くんは目を擦りながら聞いてくれた
黄
そして笑ってくれた
赤
赤
赤
赤
俺は俺の気持ちを言葉にして 笑って黄くんに届けた
この場に紫くんがいないのが 本当に寂しいけど それでもこの思いを 言葉に出来て良かったと思える
そのくらい、大切な事だから
黄
赤
黄
黄
俺は写真を貰って確信した
赤
赤
赤
青ちゃんからたくさんのものを貰った
赤
俺が持っていないと思ってたもの 全部を青ちゃんが拾ってくれた
黄
黄
赤
俺はガッツポーズをして見せた
桃
橙
そして横からツッコまれた
赤
赤
赤
連れてきてもらった場所は あまりに綺麗で見とれていた
黄
黄ちゃんは子供っぽく笑った
黄
雪に足跡をつけながら 本当に子供みたいに楽しんでた
赤
黄
元気よく返事をして 鈴のようにケラケラと笑ってる
だから俺もそれに応えるように
赤
黄
赤
全力で精一杯笑う
黄
黄
黄くんが目をつぶって笑ったから そのすきに雪を丸めて
赤
黄
黄
赤
黄
赤
桃
紫
橙
紫
赤
ねぇ青ちゃん、見てる?
きっとこれが 俺の 『 いきかた 』 なんだよ
桃
桃
青
桃
青
これが 僕の 『 いきかた 』 なら
これは
元々死ぬはずだった俺が 親友に心臓を貰って 生きて幸せになった少し悲しい話
赤
青
赤
青
「 大好きだったから。 」
赤
赤
赤
「 大好き。 」
青
赤
青
赤
青
「 赤くん 」
これは
元々生きるはずだった僕が 死ぬはずだった君に 心臓をあげた少し寂しい話
これはきっと
二人が自分の 『 いきかた 』 を見つけるためにできた 短いようで長い話
僕はこれから どんな風に生きていこうかな
追記 2024 / 6 / 30 に 色々改変しました
コメント
3件
最高過ぎます泣いた、、 ブクマ失礼します!
久しぶりに嗚咽出るくらい泣きました… 本当複雑すぎて…
最高です(。´Д⊂)泣きました!(..)