花を贈る人

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赤の心の中

※ここは花屋です ※ここは花屋です

花を買う人は、皆優しい顔をしている

誕生日を迎える恋人

連れ添って30年になる妻

年に1度の母の日

一世一代のプロポーズ

誰かを思う人が、フラワーショップに集まる

この方は若いのに紳士といった雰囲気が特徴で、すぐに覚えれた

その時々のオススメの花を俺が適当選んで小さな花束にして差し上げている

送る相手は奥さまだとうかがった

これは2年前

これが彼との出会い

このフラワーショップの曲がり角には病院がある

このお客様もいつも病院の方に歩いていく

俺はこの方と話す事が楽しみになって言ったが

いつしかか彼は来なくなった

そんなある日店長に呼ばれた

そのお客様は俺と同じ年齢で優しそうなお方だった

そのお客様は「黄」という名前だった

ぴん、と頭の中に張った記憶の糸が弾かれた小さな音を立てた

慌てて頭を下げる

不思議そうに首をかしげている。ここまで来たら話さないと失礼な気がすると思い、全てを話すことにした

黄さんがハッ吐息を飲んだ見開かれた目が震えていて今にも泣きそうな顔だった

桃というのが奥さんの名前なのだろうか？

だからお店に来なくなってしまったのか

～end～