太宰は首の後ろを押さえ乍ら保健室へ戻ってきた。
其の表情は軽い疲労に塗られて居る。
太宰はふと気付いた。
__人の気配が無い。
太宰 治
昼休み。
体育館倉庫。
中原 中也
中原 中也
跳び箱、バット、柔軟用のマット…雑然とした景色を眺め、中也が服の裾を握り込む。
微かに足音が聞こえ、中也は振り向いた。
白瀬 撫一郎
予想通り__白瀬だ。中也は、先刻から考えて居た科白を淡々と告げる。
中原 中也
中原 中也
白瀬 撫一郎
中原 中也
中原 中也
白瀬 撫一郎
白瀬とて、大人を交えた問題に発展するのは好ましくないだろう。
太宰に、バレない様に。 中也は其れだけを頭に入れて居た。
中原 中也
中原 中也
白瀬 撫一郎
近くに柚杏と亜矢は居ない。 気配を感じないから、本当に居ないのだろう。
中原 中也
白瀬 撫一郎
白瀬はじりじりと中也に近付く。
白瀬 撫一郎
中原 中也
矢っ張り。 白瀬は亜矢に騙されては居なかった。亜矢と組んでいたのだ。
固まった中也に、白瀬が蹴りを入れた。 鈍い音が響く。
中原 中也
腹を押さえ、中也が蹌踉めく。
白瀬 撫一郎
中原 中也
白瀬 撫一郎
白瀬は二発、三発、と中也を蹴り続ける。
中原 中也
中也はただ、其れを受けるだけ。
決して、遣り返そうとも、殺意を見せようとも、
攻撃を避けようともしなかった。
白瀬 撫一郎
白瀬は舌を打ち、中也を睨み付ける。
白瀬 撫一郎
中原 中也
中也は襟首を掴み上げられ、苦しそうな声を上げる。
ぎりぎりと締め付けられる感覚に、白瀬の腕を咄嗟に掴む中也。
中原 中也
白瀬 撫一郎
中原 中也
白瀬 撫一郎
中原 中也
白瀬 撫一郎
中原 中也
白瀬の手に力が入り、中也の首へ掛かる負荷が大きくなる。
中原 中也
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
中原 中也
中也の其の言葉に白瀬は歯を食い縛り、傍に在ったバットを握る。
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
中原 中也
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
白瀬 撫一郎
中原 中也
御免。
中也がそう云った瞬間に、白瀬はバットを振った。
中原 中也
白瀬 撫一郎
バットが、中也の横腹を打ち続ける。
白瀬 撫一郎
中原 中也
罰。
其れ、は。
中原 中也
中原 中也
目の前がくらくらする。
白瀬が手を離し、中也は頽れた。
呼吸をするので漸と。
昼休みが終わる迄、後何分だろう。
昼休み終了迄に、保健室に戻らないと。 太宰を心配させる。
荒い呼吸を吐き、此方に憎悪を向ける白瀬が見えた。
白瀬の目元からは、何故だか涙が溢れ落ちて居る__
何故だか…。
コメント
41件
おい白瀬??泣いたからなんだよこの状況で泣いて良い立場なのは中也と太宰だけだぞ??あ??お前も私の実家送りな?
白瀬のことバットじゃなくて金属バットか、釘バットで打ってやろうどっちがいい?気持ちとかあるけれど中也にてぇ出して許されるもでも??(^ν^)