それから私たちはあっという間に仲良くなり、お互いの家を行き来するようになっていた。
わたしは一虎のことが好き。
それは結婚を約束したあの日から 変わってない。
でも一虎は友達のように接してくる。 よく"大切だよ"って言ってくれるけど 女の子としてじゃないのかな。
最近はそんなことばかり 考えてしまう。
一虎
音!聞いてる?
音
え?あ…ごめん
音
なんだっけ?
一虎
だーかーら
一虎
次観る映画どれにする?
音
うーん、何でもいいよ
一虎
………
一虎
音ってさー
音
うん?
一虎
まだ男怖い?俺も怖い?
音
……一虎は怖くないよ
わたしは父親から性的虐待を受けていて、小さい頃一虎だけに打ち明けた。
一虎
え!?
一虎
まじ!?
音
うん、一虎は全然怖くないよ
一虎
じゃあチューしていい!?
音
え!?
一虎は目をキラキラしながら わたしを押し倒してきた。
音
ちょ…
一虎
目閉じて
キスできる嬉しさと恥ずかしさで 顔を背けると首元を掴まれ 一虎と目が合う。
一虎
目開けたまましたいの?
ぎゅっと目を閉じた。
心臓が出てきそうなくらい ドクドクしている。
一虎の唇が当たると さらにわたしの心臓が鳴った。
一虎
うわー俺死んでもいいかも
一虎はふふっと笑いながら わたしを抱きしめてくれた。
音
わたしもそれくらい幸せ!
一虎
このまま音を殺して
俺だけの物にしたいなー
俺だけの物にしたいなー
音
一虎が言うと冗談に聞こえない!
一虎
冗談じゃねーもん
そのあとも何度も何度もキスをした。
気づけば 外はすっかり明るくなっていた。
その日の学校は眠くて仕方なかったけど、それ以上に幸せだった。
一虎は寝不足と集会の疲れもあって 学校には来ていなかった。