暗闇の中から見覚えのある足が出てきて、僕の脇腹を蹴る

僕はそれを見て

何度も何度も見た

夢だと思いたかった

そんなことない

全身に痛みが走り、目の前が真っ暗になる

そんなことを僕の父が大声で言う

僕は人間だ

道具なんかじゃ…

この人は何を言っているんだ？

合意で僕を産んだんじゃないの？

普通は、僕が生まれて喜ぶはずなのに

この人はなんなんだ、？

外の、僕ぐらいの子達は、

笑ってて、親とも仲良いんだよ、？

うるさいのは、お父さんじゃん。

僕は何も出来ないんだ

ご飯もろくに食べてない子供が

こんな大人に勝てるわけない

殴られれば痛いし、

お腹を蹴られれば吐いちゃうし

気持ち悪いし

痛いし

辛いし

チュウヤは何処、？

僕の、チュウヤ

たすけて

そんな言葉が届くはずもない

必死に玄関から出ようとする

あかない

なんで？

もうすぐお父さんが来るのに

ねえ

やだ

早く開いて

もう痛いのは

痛いのは

嫌なのに、！！！！

ぴんぽーん

インターホンが鳴り、部屋から出て玄関へ行く

インターホンを押した人物は

まぁ到底予想はできるだろう

オサムの母だ。

迎えが来たのだ

言葉が詰まった

俺が誘拐犯として掴まっても

オサムをこのまま引き渡しても

辛い未来しか残っていない

どんどん、とドアを叩く

オサムには申し訳ないが

、

渡すしかない。

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