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1憧れの制服 私には、2つ年上のいとこがいる。名前は、岩本すみれちゃん。私が憧れる私立のお嬢様学園に通っている。私、水森りせは、この春中学三年生になり、せわでいうところの受験生になる予定だ。志望校は、今のところ、近くの公立高校をふたつ考えている。この場合の考えているっていうのは、あくまでママと先生が考えていることであって、そこに私の意志なんかは、ミジンコほども入っていない。私はすみれちゃんと同じ光丘学園に行きたいって言ってるのに。あの制服を着て「あの子お嬢様なのかな?」なんて思われながら、悠然と駅を歩くのが夢だって言ってんのに、、、。ママってば頭が固い。違った、財布こひもがかたい。私立高校なんて、お金がかかるから、ぜったいだめなんだって。理由は簡単。うちには、パパがいないから。ママと パパは、私が小学校2年生の時に離婚した。それから私はママと二人でそれまで家族で住んでいたマンションから、古い木造のアパートに引っ越した。今でもそこで親子ふたり、暮らしている。古いアパートの部屋は畳で古い。階段の手すりも錆びているし、隣に住んでいるのは、1人暮しのおじいさんだったりして、私が憧れるお嬢様っぽい雰囲気とはかけはなれている。それでもアパートの隣には、昔ながらの住民が並んでいたりして、下町のほっこり人情みたいな空気が、実は、嫌いじゃない。ただ私が憧れる光丘学園の雰囲気とは違いすぎるっていうだけで。手が届かないものって、余計に欲しくならない?私の光丘学園への憧れは、届かないって思うほどに、強いものになっていた。
りせ
そういって週末にアポなしで家まで突撃しても、すみれちゃんは嫌な顔ひとつしないできたいとこだ。子供の頃は一緒に遊んだりもしたけれど、おたがい中学校にあがってからはすっかり疎遠になっていたというのに。小さい頃はおもちゃ部屋だったすみれちゃんの部屋も、今では、すっかり女の子らしい可愛い部屋になっていた。本棚の上にかざってあるかわいいディフューザーの瓶からは、花のようないい香りがただよっている。常に散らかっている私の部屋とは、大違い。私部屋は、畳だから、フローリングだけで、もう十分にうらやましい
すみれ
小さい頃は、頭ひとつ違った私たちの身長は、今までほぼ同じになっていた。すみれちゃんは背が小さいほうだったんだけど、今になって私は知った。
すみれ
光丘学園の制服を着たいと言ったから、、すみれちゃんはそんなふうに理解したみたいだ。
りせ
すみれちゃんのお母さんと、うちのママは、姉妹だ。それなのにすみれちゃんは光丘学園でよくて、うちはダメだなんて、世の中ってなんで不公平なんだろう。私がうらやむと、すみれちゃんは困ったような笑顔をみせた。
すみれ
りせ
続く