どうしてヒトは、海の近くに住みたがるんだろうか。
昼は太陽に照らされてきらきらと輝く海。
夜はただ静かに月を映し出す、海。
それぞれは、本当に美しい。
けれど、私たちヒトに、
その美しさを凌ぐほど、
恐ろしさを見せることがある。
雨に荒れ狂う、白波が立った海。
大地が揺れて大きな波が連なった海。
そのまま、街を、まるごと飲み込んだ海────
でもそれは、きっと自然の全てに通じることだと思う。
山の中でも、
雨が続けば地が緩んで滑り、
水の中には、
何も無ければ長く居られない。
私たちヒトは、
そんな美しさと恐ろしさを兼ね備えた自然に、
とてつもない力を感じずにはいられない。
言えば常に危険と隣り合わせだが、
いざとなれば何も敵わない大きな力だから、
抵抗することを諦めているのかもしれない。
…それでも人は、逃げる。
大いなる力から。
生きたいと足掻いて、走る。
それは馬鹿馬鹿しいことだろうか。
───否、
それが、当然のことである。
もっと多く世界を見たいという欲望。
そうであるべきだと思う。
だって、
これほどまでに強大な自然を、
新鮮に、
多彩に感じられるのは、
“ヒト”だけだと思うから。
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