美沙
…ちゃん
おにいちゃん!
バッ
惺太
……美沙
惺太
ごめん…怪我してないか?
母親
惺太…ごめんなさい
母親
もっと早く帰っていればよかったのに…今日来るなんて
惺太
……いいんだよ母さん
母さんはいい人だ あんな父親と結婚したのがおかしいくらい
俺は気絶するまで殴られていて 美沙を守ろうと抱き締めたまま気絶していたらしい 帰ってきた母親は泣いている美沙と気絶した俺を見て 全てを察していた
その時にはもう父親はいなかった
当たり前だけど痣と傷だらけで 服で隠しきれなかったせいか 殴り合いの喧嘩をしているだとか 他校の生徒に喧嘩を売っているとか そんな噂はすぐに増えていった
ギギッ
惺太
……いっ
少しの振動でも身体が痛い
次の時間は保健体育なのに
誰もいない早い時間に1人で早く着替える
…はずだった
緋勇
…。
惺太
……!
バサッ
緋勇
こんなに痣ができるって
緋勇
どんな喧嘩したの?
緋勇
それとも一方的にやられたの?
惺太
…お前には関係ない
緋勇
家族?
惺太
……なんで
緋勇
図星なんだ
緋勇
…僕も似たようなものだから
緋勇
そこまで酷く殴られたことなんてないけどね
緋勇
みんな僕の顔を使うから
緋勇
傷はつけたくないんだよ
惺太
……!
笑顔でそう答えたこいつが 深い傷を抱えているようで怖かった それ以上は聞く必要も無い