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助けて欲しい。
何度自分の心の中で願ったか。
忘れてしまうほど願った。
でもある時、プツッと音がして、
その願いを忘れてしまった。
目を開けるのも億劫なほど、
深海のような暗さの中が、
少し明るくなった気がした。
その光に触れたかった。
でも、手を伸ばすと消えてしまった。
あれは一体なんだったの?
眩しいような、
それでいて暖かいような。
自分の体さえも暗くなってしまう。
助けて欲しい。
そんな気持ちを
思い出したような気がした。
だけれど、
私はどんどん暗闇に消えていく。
まるで、閉じこもるかのように。
だけど、知りたいとも思った。
あの光の正体がなんなのか。
昼も夜も分からないほどの暗闇。
それなのに眠れない夜は続く。
自由になりたい。
『光』の正体。
彼にあったから。
『自由の羽』を広げて過ごす、
そんな貴方が素敵だと思った。
そして、私にまた光が降り注ぐ。
「綺麗だ」と見とれていたら
目が合った。
気づいたのかこちらを振り返る貴方に
嘘つきな私は目を逸らしてしまった。
わざわざ暗闇に向かっていく私。
暗闇でもわかってしまうのではないか
という位、赤く染まってしまった頬。
ホントの気持ちを伝えるのを、
この暗闇が許してくれやしない。
綺麗だった服も、汚れてしまった。
笑顔さえも醜く歪んでしまった。
美紅
美紅
声にならないような気持ちが、
口から溢れて、暗闇に溶けていった。
そうしていたら、今まであった、
『貴方』という光が消えてしまった。
それだけで心配になってしまうほど、
彼が好きだった。
暗闇が貴方を隠してしまって
ひとりきりになってしまった。
限界だった。
だから、たとえ手が届かなくとも、
手を伸ばした。
悠真
私は手を引かれる。
暗闇なんてなかった。
暗闇だと思い込んでいただけ。
海が祝うように漣を打つ。
もっと知りたいと思った。
心を惹かれる、貴方を見つけたから。
暗闇を出て、今、飛び立つの。