完璧な兄と完璧な＿

初兎

いふ

今日はテストが返ってくる日

この日が一番嫌いだ

兄の解答用紙には100。

自分の解答用紙には58。

点数の差がかなり大きい

母さんはいつも兄を褒める

もううんざりだ

するとまろが近寄ってきた

太陽のような笑顔で呼ぶ

ダメ人間

それは俺

世の中不公平だ…

そう思ったことは何度もある

だけど…

世の中が悪いんじゃなくて…

俺が悪いんだ

全部全部

忘れたいよ…

今でも泣き出しそうな震える声

俺の冷たい態度なんて

いつもの事なんに…

俺が悪い時

全部まろは…

笑って誤魔化す

まろがどんな気持ちなのか

どんな感情なのか

わからない

初兎が嫌いな訳では無い

泣き出しそうになったのは

自分が悪いからだ

初兎が触れてほしくないことを 無理やり聞き出そうとして、

初兎を怒らせてしまった

昔は仲が良かったのに…

いつからか初兎は変わってしまった。

俺がいることでストレスなのだろう

初兎には幸せになって欲しい

だから…

俺が死ねば──。

ニコニコした笑顔

うまいって言ったことが嬉しかったのだろう

初兎は俺に背中を向けている

見られたくないんやな…

顔は見えないけど…

今多分まろは

泣いてる

初めて初兎が俺の手を握った

初兎の手の温もりは

寂しそうだった

散らかった部屋

ベッドの上にあるものは

全部まろの方に

俺を優先してくれる

『完璧な兄と完璧な＿』 end