テラーノベル
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名前には
"力" が有る。
呼ばれ、記され、繰り返されることで
其れは形を保つ。
だから私は
名前を呼ぶことを
" 恐れている "
異能力者の世界では
名は刃 だ。
名を知る事は
相手を縛る事と同義であり
名を呼ぶ事は
力を解き放す
" 合図 "
と成る。
私は今日も
" 形代 " を手に取る
真新しい和紙。
未だ、何も
書かれていない。
其処に式を書くことは出来る。
けれど、名を書くことはしない。
__書いてしまえば、呼んでしまえば。
もう、戻れなく成る気がした。
私の異能力は
多くの式を従える。
数えきれない程の
影
守る為のものも有れば
壊す為岳のものも有る。
其れ等は皆、名を持っている
私が与えた名。
或いは
" 呼んではならない名 "
夜になると、ときどき夢を見る。
闇の中で、何かが私を呼んでいる。
声は低く、重く、――甘い。
其の名を、私は知っている
けれど、決して
口にしてはいけない。
もし呼べば
全てが、変わる。
世界も、私自身も。
『 … まだ 。 』
無意識に呟いていた
此れは綺譚だ。
そうであって欲しいと
願っている。
奇譚に成るのは
名前を呼んでしまった其の先の話____
だから、今は未だ
名を呼ぶまで。
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