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坂嶋 慶太

君は…

坂嶋 慶太

10年前君の家族に何があったか気になるかい?

墨田 恵子

……え?

墨田 恵子

…10年前……?

唐突によくわからないことを言われ混乱した 相手がこちらを誑かしているのかと相手の表情を確認してみるが、いたって真面目な顔をしているのがさらに混乱を呼ぶ

墨田 恵子

待って…何の話をしているの?

坂嶋 慶太

君が覚えていなくても不思議じゃない…きっと記憶を処理されている筈だから

坂嶋 慶太

君が知りたいなら、僕が知っていることなら全て話すよ

いったい何を言っているんだ? 10年前はかのパンデミックが起きて…そして… お父さんが死んでしまった年だ それ以上の意味が含まれているわけでもないのに

墨田 恵子

話が全くつかめないわ…一体貴方は誰なの?

その質問に彼は少し顔を曇らせた

坂嶋 慶太

僕は…僕は君のお父さんの…

そこまで言いかけたところで校内放送が始まった

放送委員

皆さんこんにちは。
お昼の放送の時間です。

放送委員

きょうは生徒議会専門委員会が放課後に開催されます。
委員会の皆さんは放課後にそれぞれの委員会の教室に集まってください。

放送委員

それでは今日の一曲目です。

結構な音量で校内放送の音楽が校内に響いた この学校のスピーカーは若干ボロが来ており、音量が大きすぎるか小さすぎるかの2択なのである

それはそうとこの放送が開始されるのは昼食時間の半分過ぎた頃だ いつも昼飯を食べるのが遅い私はこれ以上遅くなると確実に授業中にまで突入してしまうだろう

墨田 恵子

坂嶋君

墨田 恵子

話の続きまた別の場所でしてもらってもいいかしら?
そろそろお昼ごはんを食べないと間に合わないのだけど…

坂嶋 慶太

…分かった

坂嶋 慶太

じゃあ放課後にまた声をかけるよ

そうして一旦話を終わらせた後、2人で教室に戻った すると案の定靖宮から色々問いただされた

靖宮 遥

恵子~?
一体なんの話をしてたの~?

ニヤニヤ笑いながら問いかけてきた

墨田 恵子

別に…大したことじゃなかったし、貴方が思っているような事でもなかったわ

靖宮の「えー!?なんで!?」という喚きをスルーしながら私は弁当を開けて食べ始めた。

そして昼飯時間が終わり、睡魔に襲われながらも何とか午後の授業を乗りきって帰りのSHRの時間になった

里田 真由美

明日は今日みたいに早く来なさいなんて事はないから朝はゆっくりしてても大丈夫だけど、それにかまけて朝遅れないようにしてくださいね

里田 真由美

それでは連絡は以上です
さようなら~

SHRが終わり、教室の空気が一気に緩んだ

クラスメイト

ねぇねぇ帰りにビックストップよろうよ!

クラスメイト

いやー昨日神引きしちゃってさぁ

各々が今後の予定や昨日あったことなどを話し合ったりしている中、私は坂嶋君の所へ行った

墨田 恵子

坂嶋君
今日の放課後の話なんだけど…

坂嶋 慶太

うん

墨田 恵子

どこで話せばいいかしら?

坂嶋 慶太

そうだね…

坂嶋 慶太

じゃあ帰り道にある神社で待ってるよ
用事が終わったら来てね

そういうとせっせと帰りの準備を済ませて「じゃあまた後で」といった後に彼は教室から出ていった。

そういえば今さらだがなぜ皆は転校生の彼に興味を示さないのだろう 編入してこれる学力の持ち主なら皆からの注目も放課後になっても続きそうなものだが…?

墨田 恵子

…まあ気にしても仕方ないわね

そう呟くと私は既に帰る準備を済ませて話し合っている親友の元に鞄を持ち近付いていった

靖宮 遥

恵子じゃあね~

滝川 修一郎

気を付けて変えれよー

2人が自分の家方面の道に行ったので一人になったのでイヤホンを取り出し、今夢中になっている作曲家の曲を聞く

墨田 恵子

あ…そういえば…
この近くの神社で彼と待ち合わせだったかしら

坂嶋君と交わした約束を思いだす そういえば神社で会おうといっていたなと思い出す

墨田 恵子

ちょっと遅くなりすぎたかも…

墨田 恵子

待っててくれていると嬉しいのだけれど…

若干の罪悪感を感じながら帰り道を変更して神社へと向かった この道はかなり久しぶりに通る道だ

そのまま歩みを進めていると目の前に神社が見えてきた

墨田 恵子

随分と寂れた感じになっちゃったわね…

ここは以前家族とよく初詣に来ていた神社だ 当時はかなり有名で平日でもご老人達の立ち話スペースになっていたりもしたのだが今はその面影はなく境内にはまばらに人が居るのみだった

そのうちの一人は私が知っている顔…坂嶋君だった

墨田 恵子

ごめんなさい坂嶋君
かなり遅れちゃったわ…

坂嶋 慶太

大丈夫だよ
僕は時間がたくさんあるから

坂嶋君は微笑みながらそう言った

坂嶋 慶太

ここじゃ少し目立つから…場所を変えよう
ついてきて

少し目立つ事とはなんなのだろうか…と疑問に思いながらも私は坂嶋君についていった

坂嶋 慶太

よし
ここなら大丈夫だね

坂嶋 慶太

じゃあ早速話を始めようか

その言葉と同時に彼は本題を話し始めた

坂嶋 慶太

君は…国際企業アポロジクスを知っているかい?

墨田 恵子

ええ…というか今生きている人でその名前を知らない人の方が少ないと思うけど…

国際企業アポロジクス 正確には株式会社の形態であるこの会社は農薬化学研究を主な活動として、ワクチン作成や風邪薬などの医療品を手掛け、今や全世界に支店を抱える日本発の大企業だ そして 10年前のパンデミックを終息に追い込んだ救世主でもある

墨田 恵子

それで…アポロジクスがどうしたの?

坂嶋 慶太

…君は不思議に思ったことはないかい?
なぜパンデミックが終息したと言っているのにまだ「治療」の前哨基地があるんだい?

坂嶋 慶太

そして…なぜ元々は農薬開発専門の中小企業だった会社がパンデミックに対する対策をいち早く講じることが出来たんだい?

それを言われた瞬間はっとした なんで今まで気付かなかったんだろう… よく考えたら分かることじゃないか でも…なぜ皆はこの事実に気がついてないんだ?

坂嶋 慶太

それは…

彼は私の思考を読んだかのように話を続けた

坂嶋 慶太

あの会社が後々情報を付け足ししたからさ

坂嶋 慶太

パンデミックの最中だったんだ
データ改竄なんて普段の数十倍簡単だったし、人々の目にも元々写っていなかった企業だ
なおさらデータを改竄しても気付かれないだろう

墨田 恵子

でも…なんで?
なんでそこまでする必要があるの…?

墨田 恵子

そこまでしてやりたかった事ってなに?

坂嶋 慶太

それは…あの会社が…

坂嶋 慶太

あのパンデミックの元凶になったウィルスを作ったからだ

墨田 恵子

……え

坂嶋 慶太

そして…君の亡くなったお父さんは

坂嶋 慶太

そのウィルス開発の主任研究員だった

一度終わった世界で再び君と

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