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神だ✨ありがとうございます
好きです……ありがとう
神様、?
トレイ
それは、思っていることが そのまま口に出てしまう、 言わばそういう類の魔法薬であるらしい。
ケイト
ケイト
そう説明しながらカラカラと笑う ケイトは普段通りだった。 とてもそんな薬を被ったとは 思えないほどに。
伊達に長く付き合っていないのだ。 今目の前にいるケイトが ユニーク魔法であることなんて 安易に分かった。
トレイ
トレイ
トレイ
夜中になると決まってケイトは俺の部屋に訪れるのだ。 まるで呼吸するみたいにベッドに 潜り込んできて眠る。 きっと夜中までは保てないだろう。 舞い散る手札は本人の精神を削るし ブロットも貯まりやすい。 その時に俺は賭けようと 思っていた。
ケイト・ダイヤモンドのことが ずっと好きだった。 自分を殺して他人には決して 開かれることのない心の扉を いつか ぶち壊してやりたかった。
この、絶好の機会を なんとしてでも 逃す訳にはいかないのだ。
ケイト・ダイヤモンドは トレイ・クローバーが好きである。 それはきっと相手にだって 伝わっているだろう。
けどそれを認める訳には いかなかった。
世の中の倫理が、自分自身が それを赦せないと思っていたし、 墓場まで持っていくつもりだった。
ケイト
ケイト
ケイト
だからこんなことになってしまうと 大いに困るわけだ。 自分でも否定したい気持ちが勝手に口から出るからだ。
ケイト
ケイト
困ったなぁ、なんてボヤきながら ゴロリと寝転がるのは ハーツラビュル寮自室のベッドだ。 適当に副作用で 体調が悪いと誤魔化して その後の授業は丸々休み、不満を垂れている。
きっと今頃は、手札が彼の相手をしている頃だろう。
ケイト
器用を取り繕って生きる身の 唯一呼吸を出来る時間が トレイくんの部屋で眠る 合間だった。 ただ傍で心地のいい距離を 測ってくれる彼を踏み込ませる ラインは いつからか曖昧になっている。
深夜寝静まった頃合を見計らって 部屋に忍び込んで、 彼が起きる前の明け方には 部屋を去る。 それが最近の日課だ。
不思議なことに、彼は 絶対に目を覚まさないし 狸寝入りを疑ったが それをおくびにも出さないから それに甘えてしまっている。
ケイト
絆されているなんてことも 絶対に認めたくない。
深夜
ケイト
ケイト
魔法薬のせいか いけないと思いつつも身体は 勝手に隣室に向かっていた。
ケイト
たった数時間の効果と 聞いていたのに全然話が違う。 クルーウェルに不満を向けながらも ケイト・ダイヤモンドは トレイ・クローバーの部屋へと 入った。
トレイ
深夜一時。 トレイクローバーは 部屋前の気配で目が覚めた。 彼のことならきっと 来ないだろうと思ったが、 存外癖になっているのか 身体は正直だったらしい。
いつも通り、狸寝入りを続ける。
ケイト
ケイト
密やかな声がするが、 問いかけのようなニュアンスでは ないから薬の効果なのだろう。 口が滑って止まらないとは 少し可哀相にも思える。
ケイト
ケイト
ケイト
珍しく布団に入ってこないで ベッドに腰掛けるだけだから 傍を開けるように寝返りを 打ってやった。
ケイト
ケイト
ケイト
普段では出さないような 微かに震えた声が あまりにもグッときたが 耐えてじっと待つこと15分ほど。
ケイト
ケイト
ようやっと布団に潜り込んでいた ケイトは 懐かない野良猫のようだ。
ケイト
ケイト
ケイト
ケイト
トレイ
ようやっと見たケイトは 諦めたような 辛いような 愛おしさの滲んだような、 顔をしていて。
ケイト
ケイト
トレイ
トレイ
ケイト
ケイト
ケイト
ケイト
トレイ
惨めで、人に甘えることを知らない 今にも泣きそうな眼が 心底愛おしくて。 ぐっと身を寄せた。
ケイト
ケイト
ケイト
トレイ
トレイ
ケイト
ケイト
ケイト
薬効が薄れているのか、 それとも本当はとっくに切れていて 情緒不安定な今だけ見せる 揺らぎなのか 耐えかねた末に開いた口から 言葉が零れる。
トレイ
トレイ
トレイ
ケイト
ケイト
トレイ
ケイト
トレイ
トレイ
トレイ
ケイト
トレイ
ケイト
それからはもうトントン拍子で、 うっすら開いた扉を 強引に割開いてしまえば 若干拍子抜けするくらいに あっさりとケイトは俺を許した。