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この作品は、私が前に出した小説の「ぬけない」の登場人物である、ムツキの過去と未来の物語になります。

そちらを読むとより本作をお楽しみ頂けます。

昔から、男が好きやった。

昔からその事の異質さには気づいていて。

ただただ、自分の中にずっと閉じ込めてた、隠し事だった。

友達

ムツキ、はよぉ

ムツキ

おー、はよ

ムツキ

…今日はなんかえらいにぎやかやな

友達

あー、転校生が来るんよ。
それがごっつイケメンらしくてなぁ

ムツキ

ほぉん…

友達

なんや、興味なさげやな。
あ、もしや女子のキャーキャーポジ取られるて思っとるん?

ムツキ

はぁ?

友達

だいじょーぶだいじょーぶ、お前はカワイイ系やから

ムツキ

おまえに言われてもうれしないわ

男女問わず、歓声は嬉しかった。 それが、なんだか、中途半端な気がして。

イケメンは嫌いだった。 筋肉モリモリマッチョマンが好きだった。 流行りのアイドルより、ボディービルダー見てる方が、興奮した。

先生

この騒ぎ方、みんな知っとると思うが、転校生や。

先生

入ってこい。

ホクト

…ホクトです。

ホクトと出会ったのはこの時だった。 本当にイケメンで、なんだかそれが嫌で、絶対関わらんとこって心に決めていた。

せやけど、その決意は、数時間後崩壊する。

友達

まーた変なことやってるやん。ムツキぃ

ムツキ

どうや、俺が新開発したペン回しや

友達

それはもうただの腕回しやで

まーたウケなかったと、ガッカリした時、後ろにたまたまいたホクトの姿が見えた。

ムツキ

…は!?

ホクトは、床に蹲って

苦しそうにしていた。

ムツキ

お、おい!大丈夫か!

友達

え!?ホクトくん!?どした!?

走って近寄った時、あいつは思いもよらない声を上げた。

ホクト

…っ…

ダッハハハハハ!!

ムツキ

ムツキ

は?

ホクト

おまっ…おもろすぎやっ…ブフッ…ダメやこれっ…ふぅっ…はぁっ…ンフッ…

こいつは、俺のギャグで死ぬほど笑っていたのだ。

友達

えぇ…

ホクト

ふぅ…お前、名前なんて言うん?

ムツキ

お、俺はムツキや…

ホクト

ほぉーん…なぁ、連絡先交換せん?

ムツキ

な、なんでや

ホクト

めちゃ気に入った。仲良くなりたいねん。なぁなぁ、ええやろ??

ムツキ

な…

いや、見た目とのキャラ違いすぎやろ!!!!!

ムツキ

…って感じでなぁ、思わず校舎背景に叫んでもーたわ

母親

良かったなぁ、新しいお友達できて。

ムツキ

な…あいつなんか友達やない!!

母親

もー、いつまで言っとるんよーそないなこと。
もうアンタ14やろ?

ムツキ

せやけどっ…

母親

1日しか経ってないのに、そんな風に言ったらアカンよ。仲良くせえ。

ムツキ

はぁ…

ムツキ

…あっ、せや!
嫌われればええんや!!

母親

はぁ?

June

よろ

ホクト

よろしく🤝

June

突然やけど、俺宇宙人やねん

ホクト

な、なんやて…!

June

だから、俺に近づくと解剖されるで

ホクト

ちょうど便秘やから頼むわ

June

頼むな!汚い💩💩💩

ホクト

笑笑

ムツキ

…全然上手くいかん…!

母親

なぁー、もう飯やから運ぶの手伝ってや

ムツキ

ちっ…タイムリミットか…

母親

はよせえ!

その後も、何送ってもウケ、ウケ、ウケ続け

3日後にはもう…

ホクト

ムツキー、今週末遊ぼや

ムツキ

はぁ!?なんでおまえなんかと

ホクト

なぁなぁ、ええやろ?

ムツキ

…しゃーないな…

友達

いや、仲良くなってるやんけ!!

時は過ぎて半年後、この日はホクトの家に遊びに来ていた。

ホクト

俺、彼女できたんよ

ムツキ

はぁ?

あれだけ、仲良くしたくないって思ってたのに、それを聞いた瞬間ショックで、悲しくて、泣きそうになって。

この時初めて俺は、ホクトへの恋心を自覚した。

ムツキ

…(たったの半年やぞ…俺もこいつも…)

ムツキ

あぁ…よかったな

ホクト

それが、よくないねん。別れた

ムツキ

は、はぁ?

ホクト

まぁ、俺から振ったんやけど

ムツキ

お、お前何してんねん!!

ホクト

…俺、付き合う時に、大事にしてることあってな

ムツキ

え?

ホクト

友達とは違う、”一緒にいて幸せ”ってのを感じることなんよ

ムツキ

はぁ

ホクト

あの子との幸せは友達としてだったし…

ホクト

友達だったら、お前が1番やからな

ムツキ

…え

俺が、1番?

ホクト

まぁ、付き合うも、別れるも事後報告やが、聞いてくれてありがとうな

ムツキ

ちょっ、ちょっとトイレ…

ホクト

おー

ムツキ

…んっふふ…

俺が…1番…

1番!1番!!俺が、

ムツキ

ナンバーワンやぁ~!!

この時の俺は、誰よりも浮かれてた。 ”友達として”にも関わらず。

時は流れ、高校生。 俺たちは一緒の高校に入った。

友達

なー、今日も学食行こーでー。ホクトも一緒やろ?

ムツキ

(ついでにコイツも)

友達

なんか失礼なこと思ってへん?

教師

今日は卒業後の進路考えてもらうでー

ムツキ

えぇ…早…まだ1年やろ…

教師

こらそこ!早すぎることはないねん!

教師

特に難関大学目指しとる人とかは、今のうちからでも勉強してるもんなんよ!

ムツキ

はぁ…

ムツキ

…(進路か…)

友達

なぁー先生、就職とかは?

教師

ウチは自称進やから他の教師にそないなこと言ったらシバかれるで

友達

えー

ムツキ

なー、ホクト

ホクト

なんや?

ムツキ

今日進路についてやったやん

ホクト

あーな、

ムツキ

お前どこ行くとか考えてるん?

ホクト

んー…

俺は馬鹿だから、これからもずっと同じ道進むと思ってた。 ずっと。

ホクト

やっぱ上京やろー!

ムツキ

ホクト

東京行って、キラキラ大学生や!!

いつもなら、「夢見んなアホ!」とか言うんやろうけど、動揺した俺は、

ホクト

…どうしたムツキ?

やらかした。人生で1番と言っていいほどに。

チュッ…

ホクト

ん…!?

キスした、何故か、よく分からないが、俺はそのまま、まぁまぁの声量で、吃りながら、泣きながら、相手の声も聞かずに話しまくった。

ムツキ

好きや、お、お前が…ずっと…す、好き、やから…

ムツキ

ふ、ふざけんな、東京とか、きゅ、急に…

ホクト

お、落ち着けって…!

その後のことはよく覚えてない。 気づいたら家に帰ってて、食欲も湧かないから晩飯も食わなかった。

ムツキ

…誤字っとるし

ホクト

不在着信

不在着信

ホクト

不在着信

不在着信

ホクト

不在着信

不在着信

ムツキ

ッチ…

ムツキ

うっさいな!!

ホクトの連絡先をブロックして、勢いのままベッドに叩きつけた。

…なぁ、もう夜中やで?まだ起きとるん? 静かにしてや

ムツキ

…っさい…

何があったんよ、ホンマに

ムツキ

…母ちゃんには関係ないやろ…!!

…あそ

冷蔵庫にアンタの分の飯入っとるから、お腹すいたら食べるんよ、おやすみ。

学校に行きたくないなんて、この時初めて思った。 でも、これ以上母ちゃんに心配かけたくなかった。

学校に行ったら、クラス中に知れ渡ってて、みんなから軽蔑されるって、思っていた。

実際には、違った

友達

おー、おはよ

ムツキ

友達

おい、シカトすんなや

ムツキ

お、おぉ…はよ

周りはいつもと変わらず同じで、昨日何事も無かったみたいだ。

ホクト

おはよ

ムツキ

ホクト

…今日もウチ来るよな?

ムツキ

…は?

ムツキ

いや…行かんて…

ホクト

来なかったら、全部ばらすで

ムツキ

っ…!

ムツキ

ムツキ

…なんの用

ホクト

携帯見せろ

ムツキ

は?なんでお前なんかに

ホクト

いいから見せろって言ってるやろ

いつもの穏やかな顔じゃない。イケメンフェイスが、怒り顔の怖さを増幅させていた。

ムツキ

…はい…

ホクト

…やっぱブロックしとる…外しとくな

ムツキ

なっ、何勝手に…!

ホクト

ムツキ

何が目的なんや!?金か!?

ホクト

…俺は…

ホクト

俺は、付き合うのも、キスも、初めてやない。

ムツキ

ホクト

手を繋いだこともあるし、ハグもあるし、お泊まりもある。

ムツキ

…だから…なんや…

ホクト

でも…

ホクト

恋は、初めてや

ムツキ

だから、なんなんやって!

ホクト

…おまえなんか…友達やなかった…

ムツキ

…っ…!!

ムツキ

だったらなんで今、

好きや

ムツキ

…え

これからの、俺の初めては全部お前がいい。お前の初めても俺がいい。俺じゃなきゃ嫌や。耐えられん。

ホクト

お前が…

ホクト

好きや…

ムツキ

か、感化されすぎやろ、ちゅーしたぐらいでそんな

ホクト

だからさっき言ったやろ!キスは初めてやないって。そんなんで自分の心が勘違いするかボケ

ムツキ

だからってそんな

ホクト

わかんないなら

ドサッ

ホクト

これで分かるかよ

ムツキ

っ…!

ムツキ

お前…本気か…?

ホクト

さっきからそうやって言ってる

ムツキ

言ってないやろ、だって、だって

ホクト

あー、うっさいわ、

ホクト

黙れ…

ムツキ

んぐっ…!?

今度は、ホクトからのキスだった。 ほぼ無理やりみたいなもんなのに、これ以上先には進まない。 まるで、俺の心の準備ができるまで待つみたいな感じで。

ムツキ

…っは…

ホクト

…分かった?

ムツキ

…うん

ホクト

…よかった…はぁ…よかった…

ムツキ

…キス長いねん、窒息するかと思ったわ

ホクト

させんわ、そんなこと。

ムツキ

…あっそ…

この日から、俺たちは、晴れて付き合い始めた。

付き合った後の周りの反応は、思っていたものと違った。

友達

ホクトと付き合っとるやろ、お前

ムツキ

…は!?どこからそれを

友達

なんとなくや!雰囲気的にな!いつからや!!

ムツキ

さ、3ヶ月前…?

友達

は???言えや

ムツキ

な…

ムツキ

引かんの…?

友達

ダチのこと誰が笑うねん!!言ってくれないことの方がショックやわ!

友達

悪かったなぁ!3ヶ月間おふたりのお食事邪魔しちゃって!!

ムツキ

い、いやそんな…

友達

幸せにならんとどつくからなホンマ!

ムツキ

お、おう…

ムツキ

…なぁ、母ちゃん…

母親

んー?

ムツキ

…俺…男が好きやねん…

母親

もしかしてホクトくん?

ムツキ

ゴハッ

ムツキ

え???なに???

母親

アンタにもついに恋人が…

ムツキ

ちょっ、なんでそんな冷静なん!?

母親

…親を舐めたらアカンで、てか、男好きなのはちっさい頃からなんとなく勘づいとったしな~

ムツキ

な…な…

母親

今度家に呼んでや~

ムツキ

ぜ、ぜ、絶対呼ばんからな!!!

そこからなんやかんやあって、芸人を目指し始め、今に至る。

…は置いといて… にしても…なんっか最近…

マンネリ化しとるんよなぁ…

ムツキ

…はぁ…

ホクト

うっわ、おっきなため息、幸せ逃げてくで

ムツキ

うっさいわ…

先週俺は誕生日を迎え、25歳になった。

あと5年で30歳になり…その後は…

ムツキ

はぁぁぁ…

ホクト

なんや!ハァハァハァハァ、発情期か!

ムツキ

なんやねん!!うっさいわ!!

こいつとの事も考えなきゃいけない。

このまま一緒にいていいのだろうか

その不安が、押し寄せてくる。

というか、最近はあまりアッチもできてないし

もしかして…

ムツキ

(冷められた…?)

ムツキ

いやいやいや、ダメや、こんなこと考えたらアカン

ホクト

なんて思ってた時から1ヶ月経った。

相変わらず俺はあいつとシていない。

今日は休日だが、早く起きてしまった。

ムツキ

…ホクト、早いやん

ホクト

お、おお…

ホクト

…なぁ…

ムツキ

!!

この真剣な表情、もしかして…

ムツキ

(わ、別れ話…!?!?)

ホクト

あの

ムツキ

いやや、聞きたない…

ホクト

いや、あの

ムツキ

ま、待ってくれ!心の準備が…!

いや、聞けや!!!

ムツキ

ホクト

ホクト

…ペアリング、買いたいんやけど

ムツキ

え、

ムツキ

ペ?

ホクト

なんやペって、ペアリングや、

ムツキ

な、なんで…?

ホクト

いや…オソロのものあんま無かったなって

ホクト

だから買いに行こ、今日

ムツキ

お、おう…

ムツキ

…ん?

ムツキ

ネットではなく?

ホクト

店でや

ムツキ

…いや、

ムツキ

いやや!ファンにバレたらなんて思われるか…

ホクト

そこは安心してええ!俺に考えがある

ムツキ

…?

ムツキ

なんで俺が女装せなあかんねん!!!

ホクト

嫌がることは予想済みやからな

ムツキ

いや、でももっとこうなんか、あるやろ!

ホクト

もー、そんな怒んなって、声でバレるで

ムツキ

はっ…

ホクト

俺はバレてもええけど、嫌なら喋らん方がええで

ムツキ

…う、うぅ…

ホクト

…色々あり過ぎて分からんな

ムツキ

(それは俺もや)

店員

お客様!なにかお探しですか?

ホクト

…実はペアリング買いたくて…

店員

なるほど!なにか記念日で?

ホクト

ま、まぁそんな感じっす

店員

こちらはいかがでしょうか?とても人気でして…

ホクト

ほー…

ムツキ

(めっちゃ高ぇけどな…)

ムツキ

…!

ムツキ

(こっちのやつめっちゃええな、俺たちって感じ)

ムツキ

(いや、なんやそれ)

ホクト

店員

あ、そちらの商品は~…

ホクト

…これがいいです

ムツキ

ホクト

(いい?)

ムツキ

(うん、俺もこれがいい)

店員

かしこまりました!あ、少しお金かかりますが、名入れできますが…~

ムツキ

いやー、いい買い物したなぁ

ホクト

うん…

ムツキ

名前も入れてもらったしな、結構な値段したけど

ホクト

うん…

ムツキ

…なんや、えらいローテンションやな

ホクト

ホクト

ムツキ、さっきの指輪出して

ムツキ

え?は、はい

ホクト

俺、お前のことがめっちゃ好きで、これからもその気持ちは変わらん。

ずっと一緒にいたい、ずっとずっと一緒に。

戸籍とか、性別とか、どうでもいい。周りも、どうでもいい。だから…

ホクト

俺と結婚してください

ムツキ

…え

ホクト

っ…!?な、何泣いてんねん!?

ムツキ

だ、だって…

ムツキ

冷められてると思ってて…俺…

ホクト

そんなわけないやろ!ずっとお前が大好きや

ムツキ

…俺でええの?

ホクト

お前じゃなきゃ嫌や

ムツキ

…あっそ…

その日から、俺らの左薬指はお揃いになった

いつか、恥ずかしがらずに言うよ

俺も、お前じゃなきゃ嫌や って

終わり

おまけ

ムツキ

今日はありがとな!幸せやわ!!おやすみ!!

ホクト

ま、まて…

ホクト

今日は元気か…

ムツキ

ホクトが元気じゃなさそうやんけ

ホクト

疲れより性欲が勝っとる、やろや

ムツキ

誘い方直球すぎるやろ!!

ホクト

もう待てんのよ!!俺…

ホクト

ムツキにプロポーズするまで禁欲するって決めてたんやから!

ホクト

気づいたら数ヶ月経ってたけど!!!

ムツキ

…このっ…

ヘタレがァァ!!

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