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4 - 自分が嫌い【🐤視点】

♥

412

2023年08月13日

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初兎 が りうら をグループに招待しました

俺はグルラに入ってみて驚いた。 だってそこは、ほとけっちがいなかったから。

🐤

…え、何このグループ

🐇

いむくん抜きで話したいことがあってん

🍸

…間違ってもいじめとかじゃないよな?

🍣

そうじゃないよ。でも大事な話

🦁

あの動画の件か?

その話が出て、ビクッとする俺。 ほとけっちが燃えた原因であるあの動画。 …あの企画を考えたのは俺だった。 俺のせいで、ほとけっちが炎上したんだ。 ずっとそう思ってしまう。

🐇

…まぁ、そうっちゃそう。

🐇

昨日、いむくんの家に行ったんやけど、

🐇

キッチンとかバリ綺麗でさ、ああ食べてないんやろなって

🐇

それに、隈もすごかったし

🍸

…だよな、あいつ最近ヤバいよな

🍣

まろも気付いてたの?

🦁

俺も、感じてはいたで

🐤

りうらも。

🐇

それ、昨日ないちゃんに話して、とりあえず様子を見ようって結論になったんよ

🍣

だから、おまえらもいむの様子を気にかけてほしい

🍸

…俺、ビジネス不仲やめた方がええよな?

🦁

んー、微妙やなぁ。

🍣

やめても続けてもいむを傷つける可能性があるもんね

🐤

…じゃあ、ちょっと距離をおけば?

無意識に口から出た言葉。 もちろん本気じゃなかった。 言った瞬間、あ、ヤバい、と後悔もした。 ……けれど。

🍸

そうするしかない、かもな

🐇

せやな

🦁

けど、さりげなくしたってや

🍣

だね、もっと傷つけちゃう可能性もあるし

……え? 自分から言ってなんだけど、そんなことしたら絶対傷つく。 でも、撤回するにはもう遅い。 皆は安心したかのようにチャットを抜けていった。 最後に残ったのは俺だけ。 ……仕方がない、か。

そう思ったのが間違いだった。

スタジオ

あれから数日たった今日。 ダンス練の日、だが…。

🍣

…いむ、遅すぎない?

🐇

それな。なんかあったんかな?

約束した時間から二時間。 ほとけっちはまだ来ない。 あの炎上の件もあるし、すごく心配。

「ホんとウ二…?」

脳内に声が響く。 …は? これ、誰の声…?

「ミンなニしンぱいサれてるノがうラやまシイだけジゃないノ…?」

違う。違う違う! 俺は…俺は…。

「ホら、すなオにナりなよ…」

「おマえハ…シっとするダけのミにくイいキもノ…」

違う!! 醜くなんてない…!!

「ミとメろ…ミとメろ…」

違う!違う違う違う……!!

🦁

…りうら、大丈夫か?

🐤

……え、なんで

気づけば、皆が俺を見ていた。 …どうして気づいたんだろう。 口に出していないのに。

🍸

頼ってええんやで…?

そう言ったまろも、ないくんも、初兎ちゃんも、アニキも。 皆目の下に濃い隈を作っていて、見るからに疲れていた。 …頼れない。 こんな懸命にほとけっちを心配してる人たちに、醜い俺が、頼れない。 ……あれ? 今、俺、醜いって……

「ヤっとミとメたか…」

「オまえは…アいツのこトをネたんでいるノだロう…?」

俺が、ほとけっちを?妬む? あり得ない。そう思うはずなのに。

”いむってほんと可愛いよね”

”まぁほとけにしてはええんちゃう?はいはい、えらいえらい”

”いむくーん!!遊ぼ!”

”ほとけ、大丈夫か?”

誰にでも好かれて、明るくて、心配してくれる人がいる彼がうらやましい。 何もしないでも好かれるのがうらやましい。 …ああ、ほとけっち、ずるい。 …これが、妬む、ってこと?

「ソうダ…オまえは、アいツをネたんでイる…」

「オまえは、アいツがキらイなんダろ…?」

嫌い? 何しないでも好かれて、なのに努力してる俺は評価されなくて。 ……あぁ、そうかもしれない。

🐤

……嫌い

🍸

…ん?りうらなんか言った?

🐤

ううん、何も!

俺は…ほとけっちを妬んでいる。

バンッ!

💎

ごめん皆!!寝坊しちゃて…

ほら、今だって。 寝坊なんてあり得ない時刻なのに…、

🍣

もう何度目ー?w

🐇

僕朝百回くらい電話かけてやろうか?w

🍸

しゃーなしな

🦁

気をつけろよ、ほんまw

皆次々許していく。 意味わかんない。 りうらが同じ事したら、怒るのに…?

🐤

…ちゃんとしなよ

自分から、おそろしく低い、醜い声が出た。

💎

…え?

🐤

ほとけっちが遅れたせいで、できるはずだった練習、二時間分できなくなってんじゃん!

🐤

炎上とかでつらいのはわかるけどさ、メンバーに迷惑かけるのは違くない?

💎

~~っっ!!

🐇

…ちょ、言いすぎや、りうちゃん

🐤

だってほんとの事じゃん

🍣

…りうら?どうしたの?

💎

…そう、だよね。ごめんなさい

泣きそうな顔でそう言ったほとけっちを見て、我に返る。

🐤

…っごめん!!

🐤

今の、ちょっと疲れてただけで、

🐤

その、本心じゃないから!

🐤

マジでごめん

俺が必死な勢いで謝ると、ほとけっちはふにゃっと笑った。 …ううん、よく見れば全然笑えてない。 何度も練習したような笑顔。

💎

…あはっ、大丈夫だよ~

💎

僕、そーゆーの慣れてるしw

🐇

…っ!!

🍸

…ほとけ…

しばらくの沈黙の末、ないくんが言った。

🍣

…じゃ、始めよっか

…うん、と俺たちは何かを隠すように返事をした。

会議室前

数日後、いれいすの会議で俺はここにいた。 俺は時間の少し前に着いたから皆まだかな。 …そう思っていると。

💎

_____!!

ほとけっちの声がかすかに聞こえた。 …何か、怒ってる? ほとけっちが怒るのはかなり珍しい。 …誰に怒っているんだろう? 思わず聞き耳を立てた。

🐇

___!_____

…え、相手初兎ちゃんなの? 初兎ちゃんも怒ってるみたいだし。 いつも仲のいいいむしょーなのに。 そう思っていると、会話が終わり、ドアが開いた。

🐇

…チッ…って、あれ、りうちゃん?

🐤

…あ、初兎ちゃん。

🐇

…今の、聞いてたん?

🐤

え?

🐇

だから、会話の内容聞いてたかって聞いてんの!

いつもは温和な初兎ちゃんの、荒い声。

🐤

…話してるのはわかったけど、内容はわかんなかったよ

🐇

…ほんまに?

🐤

ほんとだよ

🐇

…なら、良かった。俺、時間になったら戻るわ

いつもは「僕」という彼の、「俺」という一人称。 いつも笑顔な彼の、哀しそうな顔。

…おかしい。 今日の初兎ちゃんは、何かおかしい。

🐤

…ん、わかった。

…けれど、俺はそこには触れず、ドアを開けた。

会議室

ドアを開けると、いすに座って泣いている彼がいた。 …どうして泣いているのだろう。

🐤

ほとけっち、どうしたの?

💎

…っりうちゃん!

💎

…何が?

🐤

…泣いてるじゃん。

🐤

さっき初兎ちゃんとも何か話してたでしょ

💎

…え。

💎

…っその話の内容聞いた!?

ほとけっちが涙を止めてこちらを見てくる。 …初兎ちゃんと同じ問いかけ。

🐤

…内容は聞こえなかったよ。

初兎ちゃんの時と同じように返す。 …けれど。

「どうして?」という問いかけが、喉まで出かかったけれど、出なかった。 ……ううん、出さなかった。

だって俺は、ほとけっちを妬んで、いるから。

🐤

……~~っ!!

自分が嫌になってしまう。 どうして彼を好きになれないのか。 …いや、純粋に「すごいね」って笑えないのか。

悔しく思う一方で、けれど「当たり前だよ」と思う俺もいる。 …皆がほとけっちの方ばっかり見るから。 俺を、見てくれないから。

💎

りう、ちゃん…?

🍣

……あれ、二人早いね。

ほとけっちが何かを言いかけたところで、ドアが開き、ないくんが入ってきた。

🐤

…ないくん。

🍸

俺もいるで

🦁

俺もいるから、…あとは初兎だけか

💎

……っ!

🐤

……うん。

初兎ちゃんの名前が出て、ほとけっちが息をのむ。 気にかければ良かったのに。 一言、「どうしたの?」って聞ければよかったのに。

思えばこの時から、俺たちは崩壊し始めた。

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コメント

5

ユーザー
ユーザー

続きみた過ぎます!

ユーザー

続き楽しみです!!

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