ナチュラルにいけ…!
ナチュラルに…!
夏休みが終わったと言え8月下旬の空はまだまだ夏空だ
彼の黒いTシャツが日向を吸収してどんどん熱くなってゆく
そして——第三体育館で活動中の青葉城西バレーボール部の部員は
まだ影山飛雄の侵入に気づいていない——
用具室からスコアボードを運んできた
——金田一勇太郎は
少し緊張していた
いつもバレー部が単独専用していた体育館は
いつもより頭数が多い
今日は大学のOBと練習試合の日だった
でけー、強そー、てかまだ夏休みなのか、羨ましー
と他愛のないことを考えやることを探していたら
金田一の背中にゾクリと寒気が走った
金田一勇太郎
女監督
寒気が走った先にはいつもの女子大生がいた
女子にしては大きすぎる身長に短めの髪を結っている
その透き通るような目
なにかゾッとする物の感じがする
彼女がこちらの心情を読み取るようにして、後ろに立っていた
国見英
国見英
キュッと肩をあげた中途半端な姿勢で固まっている金田一に声をかけたのは
ボールの入ってるカゴを、運んできた国見英だった
金田一勇太郎
女監督
金田一勇太郎
素直にそう告げた金田一だったが
国見の冷たい視線に気づくとバカなこと言った自分が恥ずかしくなった
そして普段通り開いた窓を確認すると
国見英
金田一勇太郎
金田一勇太郎
国見英
金田一勇太郎
金田一勇太郎
女監督
女監督
女監督
国見英
女監督
女監督
国見英
女監督
彼女と国見の他愛のない話に金田一は苦笑いを浮かばせる
まあ、この人なりに頑張ってはいるんだろう…と
金田一勇太郎
金田一勇太郎
金田一勇太郎
国見英
国見英
金田一勇太郎
国見英
金田一勇太郎
金田一勇太郎
そう言って異常なことに気づいたのが、用具室の扉だった
金田一勇太郎
国見がなにバカなことを…
と言いたげな表情だったが、金田一は至って真剣だった
引き戸の取手を開け威嚇するように言葉を放った
女監督
彼女がそう言いながら遠くから彼を見守る
女監督
国見英
女監督
女監督
国見英
地味な言い合いをしている2人に代わって金田一が用具室を見渡す
金田一勇太郎
しかし、薄暗い部屋にいつもの用具が並ぶだけで
人の気配は感じられなかった
金田一は扉に手をかけたまま呟く
金田一勇太郎
国見英
薄笑いで近づいてきた国見に気づいて金田一は扉を静かに閉めた
金田一勇太郎
国見英
金田一勇太郎
国見英
金田一勇太郎
金田一勇太郎
金田一勇太郎
苛立ったように睨む金田一に気付き、国見が薄く笑った
国見英
国見英
金田一勇太郎
金田一勇太郎
国見英
国見英
国見英
金田一勇太郎
と、金田一が言い返そうとすると
ちょうど2人を呼ぶ声がした
2年の矢巾秀が急かすように手を振っている
国見英
国見が駆け出す
それに続いて金田一も走り出したが
もう1度用具室をチラリと見た
女監督
なにもなかったのはいいが
彼女も少し用具室を気にしていた
自分のメンテナンス道具がもし荒らされているのもイヤだし
これだと2人が試合に集中出来ないとも思ったし
女監督
彼女は1人用具室の扉を開けた
影山飛雄
金田一がこちらにやってきた時は焦ったが
なんとかマットの近くに隠れ、やり過ごした
ほっと、息を吐いた時だった
??
すぐ耳元で、囁かれるような
冷たい声がした
影山飛雄
やばい、見つかったか…!
と思い声の先を振り返ると
そこには1人の女が立っていた
女監督
見抜かれるような、冷たい顔つき
影山飛雄
影山飛雄
彼女が静かに腕を組み、こちらを睨む
女監督
女監督
影山飛雄
俺がそう言うと彼女がニッと笑う
女監督
女監督
女監督
影山飛雄
さっきとは打って変わっての態度だ
誰だこいつは…?
女監督
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
女監督
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
女監督
女監督
女監督
女監督
女監督
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
女監督
わからなそうに彼女が首を傾ける
この人に話しても意味がない
だけど、聞いて欲しかった
俺はしゃがみ、ゆっくりと口を開いた
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
影山飛雄
しばらく彼女は俯いていた
下唇をキュッと噛み
頬にかかっている触覚を耳にかけた
女監督
女監督
女監督
女監督
彼女は俯いたまま、薄く笑った
彼女の顔は……
影山飛雄
影山飛雄
俺が言いかけた途端
金田一勇太郎
体育館側から誰かの声がした
見てくるってまさかこっちに来るのか…?
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
彼女は少し考え
ぴっと窓の方向に親指を立てた
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
女監督
影山飛雄
影山飛雄
俺は外の光が刺している窓に飛び乗り
きゅっと後ろを向く
影山飛雄
女監督
女監督
影山飛雄
女監督
影山飛雄
女監督
女監督
女監督
彼女は最後に誇らしげなVサインを送った
影山飛雄
影山飛雄
そう言って俺は用具室を出て行った
出てから思った
あの人は一体
誰だったんだろう
コメント
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待って物語の作り方うますぎますよ!真剣に見ちゃってた…流石です!