満月の夜に。

また今日も話す。夜に。

たわいのない話でも嬉しかった。

大好きなキミと話せるだけで楽しかった。

電話越しだけど、それでもいいんだ。

顔が見れなくたって、キミはいなくならないもん。

……約束したもん。

6月。

君の誕生日まであと2日！

カレンダーに書いてる字をなぞる。

外は雨。

少し肌寒い。

あと2日。

されど……ふつか？……。

君の誕生日！

私は君に電話する何度も。何度も。

…………出ない。

嫌気が指すのは気の所為？

ねぇ、電話して？

かすれた声で君が電話する。

変な声がする。君以外の誰かの声。

キミは黙る。

そして言う。

あぁ……そういう事だったんだ……。

私は電話を切り携帯を落とす。

画面が割れる。

雨が酷くなる。

まるで、私の悲しみまで流してくれるようで

少し、好きになった。

7月。

猛暑日。

夏休み。

君から連絡は一切来ない。

…………別に……待ってるわけじゃないけど。

待ってあげてる…………。

だけ、

妹が1階から叫ぶ。

………使えない妹だ。

……………使ってやってるのに…………。

…………会いたくないな………。

でも会わなきゃな…………。

考えてるうちに部屋に帰っていた。

このままでいっか。

聞いてほしいことねぇ………。

大根がお買い得なのかな。

それだったらちゃんと聞こうかな。

どうやらキミは私を置いてどこかに行ってしまったよう。

手紙の1つも残さないで、

消えちゃったらしい。

私は自分しか信じないから、

信じないけど。

………信じてないのに涙がでるんだ。

なんでだろ。

どこにいるの？

ねぇ…………裕也……。

8月。

私は君の墓の前でうずくまる。

無様な姿でしょ？

笑って？

怒って？

泣いて？

楽しいって大好きだよって言って？

最後だから。

………最後じゃないか。

私が行けばいいんだよね……。

行くよ…………ずっと傍にいよ。

屋上から下を見る。

おぉー、いい眺め。

じゃ、飛び降りようかな。

誰もいないはずの屋上。

誰も見てないはずなのに。

体が言うことを聞かない。

名前を呼ぶと体が軽くなる。

多分、離してくれたんだ。

なにも答えない。

答えてくれない。

確かにそう聞こえたんだ。

愛しい君。

こんな私だけどずっと傍にいてよ？

裕也。

サヨナラ。

お月様。