夏休みに入るなり 駅前集合!なんて哲汰からのメッセージ
それで今日が花火大会だってことに ようやく気が付いた
集合場所に指定された駅前に行けば 哲汰と浴衣を着た彩葉が待っていた
上村謙信
関哲汰
上村謙信
関哲汰
その意外な返答に いちばん楽しみにしてくれてたのかもと 少しだけ嬉しくなった
沢村玲
関哲汰
沢村玲
照れたのか挙動がおかしくなった
沢村玲
沢村玲
玲くんの言葉に 耳まで真っ赤にして照れた
草川直弥
紺色の生地に、水色や青、白の花が 描かれていて 真っ白な帯がよく映える、綺麗な浴衣
高尾颯斗
彩葉の浴衣にみんなテンション爆上げ
少し照れ臭そうに笑顔を浮かべる彩葉は 早く移動したそうにソワソワしている
上村謙信
関哲汰
屋台付近に行けば人が一気に増えた
関哲汰
沢村玲
関哲汰
じーっと屋台の文字を見上げながら 哲汰に手を引かれるまま 歩いていた彩葉がある場所で 歩みを止めた
"金魚すくい"
関哲汰
沢村玲
高尾颯斗
関哲汰
吉岡彩葉
食べ終わって金魚すくいに来た
ちびっこたちがポイで金魚を追い回す
そのせいか いくつか瀕死状態の金魚も伺える
関哲汰
自分の財布から500円を出して 哲汰に渡した
関哲汰
彩葉にポイと容器が渡された
じーっと金魚の様子を伺って 金魚が沢山集まる隅を陣取った
1匹1匹確実に掬い上げていく
関哲汰
沢村玲
高尾颯斗
容器の中の金魚が5匹に達したとき 屋台の店主からストップがかかった
それ以上は赤字になるからダメだと
受け取った袋を満足げに掲げて 嬉しそうにまた哲汰に見せつけた
関哲汰
花火の時間に合わせて 穴場スポットに行けば丁度 タイミング良く花火が上がった
その花火を目を輝かせて 食い入るように眺める彩葉の後ろ姿を こっそりカメラに収めた
それはなおくんも同じで 隣を見ると"いい写真だよね"って笑った
関哲汰
帰り道、哲汰が言った
沢村玲
さっきまでにこにこ笑っていた彩葉から 急に笑顔が消えた
上村謙信
吉岡彩葉
上村謙信
吉岡彩葉
ぎゅぅっ、っと 哲汰の腕にしがみついた
上村謙信
からかうように言えれば 少し涙目になって頷いた
沢村玲
関哲汰
彩葉の顔を覗き込んだ哲汰が 笑う玲くんを止めた
沢村玲
ずっと友だちだから 安心しなよ 大丈夫
そう、玲くんが笑った
草川直弥
高尾颯斗
彩葉の声を聞いたことがあるのは 今のところ俺もだけ
いつ雑談らしいことができるのか 今はまだわからないけど その時が来たらいっぱい話したい
彩葉ママ
家に帰って浴衣を脱ぐのを 手伝っている途中、母が聞いてきた
吉岡彩葉
彩葉ママ
思い出しては口元が緩む
特に哲汰先輩に かわいいと言われたのが嬉しかった
"花火大会"っていう 特別なイベントに便乗して 哲汰先輩と手を繋いだ
彩葉ママ
吉岡彩葉
吉岡彩葉
吉岡彩葉
彩葉ママ
吉岡彩葉
お風呂に入って 自分の部屋に戻って来てスマホを見ると 何件かLINEが入っていた
画面を開くと グループLINEに今日の写真が 何枚か送られてきていた
だから私も うまく撮れた数枚を送ってみた
そしたらすぐに既読がついて 恥ずかしくなって そのまま電源を切った
そのあと数分もたたずに "楽しかったね!"と上村くんから 返信が来た
吉岡彩葉
何気なく呟いたひとり言
誰にも拾われることなく 静かな空間へと消えていった
"花火大会"というアルバムが 草川先輩によって作られた
その中のひとつに じっと花火を見上げる私の写真があった
花火をはじめてみたのは 3歳とか4歳だったかな
その時は花火の音が怖くて "綺麗"なんて感想 ちっともわかなかったのに いつからか 花火が綺麗って言えるようになって 気が付いたら 花火が大好きだった
怖くて怖くて泣きわめく私を "花火だよ"って父と母が宥めて それでもなお花火どころじゃなくて
ただただ怖かったのにな、
またひとつ 花火を好きな理由が加わった
毎年、みんなとこの花火大会に行けたらいいのにな
先輩たちが忙しくなったら 行けなくてもいいか
"みんなと"行くから意味がある
今日のこの花火大会 ずっと覚えていたいな 忘れたくない
いつまで経ってもずっと この楽しかった記憶、覚えておこう
コメント
1件
最高!続き待ってる!