Nemuru
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フィジカル、健康管理全般、サッカー技術、メンタル、サッカー戦術…… 各分野の専門家の招集
会社の最新鋭VR技術の開発チームへの協力依頼 サッカー部の買収、そしてテコ入れ。
3億以上もの資産を動かし、これまで推し進めて来た 「御影玲王W杯優勝計画(レオ・ワールドカップ・プラン)」は…
玲王
現在、見事なまでに行き詰まっていた。
そもそも俺の通っている高校:白宝は、国内屈指の超進学校だ。 その生徒の大半は W杯を目指すなど夢に見たことすらもない。 そんな学校のサッカー部の実力は 勿論大した事はなく、 地区予選ベスト8が関の山といったところ。 全国制覇なんて、夢のまた夢。
そんな八方塞がりの状況に置かれた俺は、何をしていたかというと…
玲王
『 天才 』を探していた。
けれど 幾ら白宝内を駆け回っても、そんな人材は居らず。
玲王
そんなふつふつと湧き上がる焦りと苛立ちの感情を抑えながら、 階段をカッ、カッ、と降りる。
そんな時、『 あいつ 』に出会ったんだ。
???
玲王
一人で階段に腰掛けていた、白髪の ゲーオタ。 そいつに俺の足が当たり、 持っていたスマホが彼の手をすり抜けて落ちていく。
玲王
そう思った瞬間。 その男の姿が隣から消えて、
玲王
ふわり、とその身体は階段の最上段から、踊り場まで。
その上 スマホを革靴の上で軽く受け止めて、 タン、という軽い音と共に着地する様子が スローモーションで俺の目に映る。
玲王
玲王
凪
そう呟いて 何もなかったかのように 再びスマホの画面に目を向ける彼に、目が釘付けになる。
玲王
…見つけた。
俺の探していた、真の『 天才 』 。
凪
玲王
階段を駆け下り、そんな言葉を投げかけて始まった 俺たちの関係。
何ヶ月も説得を重ねて、遂に心を許してくれた、 何に対しても興味の薄い、めんどくさがりやの、 俺が見つけ出した『 天才 』 。
数々の敵と対峙し、全試合無敗の記録を共に創り出した『相棒』 。
俺だけの大事な……何者にも代えがたい『 宝物 』 。
玲王
玲王
玲王
そう、信じていたのに。
玲王
背中を見せ、潔と蜂楽と共に離れていく凪を、俺はただ見つめていた。
人生初の、敗北。
それによってサッカーの楽しさに気づいた凪は、 俺を捨てて、潔達の元へ行った。
…俺の実力が足りないから。
玲王
玲王
誰に言うともなく ぽそりと呟くと、 それを合図に胸の奥が 締め付けられるように痛み出した。
玲王
小説なんかで書かれるより よっぽど酷い、息が詰まるような、圧迫感。 同時に脳内が後悔と絶望で埋め尽くされる。
玲王
玲王
それは 俺が人生で初めて感じた、恋の痛みだった。
玲王
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Nemuru
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