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創造神と行く新生異世界

第7話 - 【第７話】『初仕事（後編）』

2025年03月19日

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#のんびり

青月こおり

レイ

アルティマ、あの依頼勢いで受けたけど、何か策があるのか？

アルティマ

ええ。
レイなら解決できるはずよ。

レイ

俺？

アルティマ

一般的な魔力の器がラーメン一杯くらいだとすると、レイはヤサイマシマシニンニクアブラカラメくらいの量があるわ。

レイ

すまん。例えが良く分からん。

レイ

（二郎知ってるのか…）

アルティマ

要は他の人よりも器が大きいから魔力を溜め込めるってこと。

アルティマ

レイの器は、ダンジョンに行った時に吸収した魔素と空気中にある魔素だけじゃ埋まらない。

アルティマ

だからダンジョン化する前の湧き出た魔素を丁度いい空きがあるから吸収しましょって話よ。

レイ

役に立てるのは嬉しいけど
その言い方だとなんか複雑

レイ

あそこがルミエール村か。

ルミエール村に着いたのは夕方だった。

道中魔素に釣られたモンスターを倒しながら来たので、俺の魔力はすっからかんになった。

アルティマ

いい具合に空っぽね。

アルティマ

これなら充分吸収できるわ。

レイ

けど、この村に来てから回復しつつあるぞ。

ダンジョン化する前の状態に遭遇するのは初めてだが、思っていたより魔素の量が多い。

空っぽだったはずの器は、徐々に回復してきていた。

？？？

君達、ギルドの人かい？！

レイ

はい、そうですけど…

レイ

もしかして、村長さんですか？

アレックス

はい。
村長のアレックスといいます。

アレックス

この度は依頼を引き受けて下さってありがとうございます。

レイ

いえ、それより、現在の状況を教えてください。

アレックス

はい。魔力過多が数十名…耐えている者もいますが、危うい状況です。

アレックス

士気もすっかり落ちてモンスターと戦う気力も…

アルティマ

村長、詳しい話は後で……
レイ、急ぐわよ。

レイ

やばいのか？

アルティマ

想定していたより量が多い。
早く吸収してあげないと貴方でも間に合わなくなるわ。

レイ

分かった！取り敢えず村長さん、危険かもしれないので村人を離れたところに避難させてください！

アレックス

分かりました。お気をつけて！

村のはずれに来ると、魔素が絶え間なく湧き出ている場所があった。

魔素が吸収される時、普段は何も感じないが、ここまで濃度が高いと嫌でも感じる。

レイ

すごいな、魔素の濃度が高いとこうなるのか…

魔素は通常目に見えないが、光脈から溢れ出た魔素は、青白く光り輝いていた。

アルティマ

レイが魔素を吸収している間、
邪魔が入らないように村の周囲に結界を張ったわ。

アルティマ

後は貴方の仕事よ。

レイ

ああ。

魔素は体が吸収して魔力に変換される。そして魔力は魔法を使う際に消費する。

つまり魔法を使えば器に空きができ、体は自動的に空気中の魔素を吸収するから、溢れた魔素を吸収して鎮静化できる。

ただし、光脈から湧き出た魔素は、一般的な器の許容量を軽く超えるため、本来一人でどうにかできるものじゃない。

レイ

くっ、量が…

アルティマ

定期的に魔法を空に向かって撃ち続けなさい。身体の負担も少なくなるはずよ。

レイ

分かった。
フレイムアロー、連発ッ！

ここに来てから、とんでもないスピードで魔素が魔力に変換されている。

空きを作り続けないと、俺の身体がもたない。

アルティマ

魔素が減ってきている…
いいわよ、その調子。

レイ

うっ

レイ

（頭がクラクラしてきた…）

アルティマ

レイ、気をしっかり保ちなさい
あと少しの辛抱よ。

レイ

あ、ああ…

アルティマ

あともう少し…

レイ

ぐぁあ…！！

魔素を吸収しすぎて目眩がしてきた時、周囲に見えていた青白い光はゆっくりと消えていった。

レイ

お、終わった……のか？

アルティマ

ええ。

アルティマ

魔素の滞留も落ち着いてるわ。
鎮静化成功よ！

レイ

はぁ…

俺は思わず座り込んでしまった。ただ魔素を吸収していただけなのに、体がだるく感じる。

アルティマ

お疲れ様。
後のことは任せて寝てなさい。

アルティマにそう言われ、俺は目を閉じて眠りについた。

翌日

レイ

ん…俺、寝てたのか。

アルティマ

起きたかしら？村長と私で朝ご飯を作っておいたから、食べちゃいなさい。

俺が目を覚ました時にはもうアルティマは起きていて、村長と一緒にご飯を作ってくれていた。

アレックス

改めて、村の為に頑張ってくれてありがとう。

アルティマ

光脈は一度滞留した場所で再び滞留することは滅多に無いわ。

アルティマ

少なくとも数十年は何も起こらないはずよ。

アレックス

本当にありがとう。
もう諦めかけていたんだ。

アレックス

魔素が溢れ出したあの日、私達はダンジョン化を覚悟した。

アレックス

村人は１２０人あまり。
村人全員を受け入れてくれる街も無く、私達は戦いを余儀なくされた。

アレックス

最初のうちは村人総出でモンスターと戦った。幸い魔素は有り余っていたからね。我々でもモンスターと戦えたさ。

アレックス

ただ、溢れ出る魔素量があまりにも多すぎた。日が経つにつれ、魔力過多で倒れる者も出てきたんだ。

アレックス

そんな時、
貴方達が来てくれた。

アレックス

二人だけで何が出来るとも思ったが、本気で解決しようとした姿を見て、この二人に任せてみようと。そう思ったんだ。

アレックス

結果は見ての通り。私の判断は間違っていなかった。

レイ

あはは…これが初めての依頼だったので、解決出来て良かったです。

アレックス

初めてだって？！？！

レイ

はい。Ｆ級で報酬も良かったから受けただけなんです…大した理由じゃなくてすみません。

アルティマ

それでもテキトーに受けたんじゃないわよ？レイなら解決できると思ったから受けたの。

アルティマ

思った通り魔素を全部吸収してくれたわ。まあ軽く魔力過多になってるけど。

アレックス

（言われてみれば…この子に内包されている魔力はとんでもない量だ。光脈の魔素を吸収できるほどの器を持っているということか。なんて子だ…！）

アレックス

……いや、いいんだ。
どんな理由だろうと、我々を救ってくれたことに変わりはない。本当に感謝しているよ。

アレックス

さ、今宵は村の皆で宴を開こうじゃないか。二人とも楽しんで行ってくれ！

こうして、ルミエール村の問題は無事に解決した。

村の皆と一緒に宴をして盛り上がり、ギルドへ帰るのが遅くなってしまったためシンシアさんにめちゃくちゃ心配された。

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