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さくら

井上さん、だよね

井上 千夏

は、はい

さくら

話しておきたいことがあって…

さくら

少しいい?

井上 千夏

ははは、はい!どうぞっ!

さくら

(こんなに緊張して…)

さくら

(きっと恋敵だと思われてる)

さくら

ハルの…長谷川くんのことだけど

さくら

本当に彼とは何もないの

さくら

ハルくんね、あなたに隠してたこと謝って全部話すつもりだって言ってた

さくら

その翌日に記事が出て

さくら

話すに話せなくなっちゃった…

さくら

私のせいなんだ

さくら

キスしてるように見えるけど、本当にしてなくて…

井上 千夏

はい、大丈夫です。わかってます

井上 千夏

頭をわしゃわしゃーって撫でられてたって

さくら

信じてくれる?

井上 千夏

もちろんです

井上 千夏

だって長谷川くんが…ハルさんがそう言ってましたし

さくら

ありがとう

さくら

私が言うのも変なんだけど

井上 千夏

はい!

さくら

よかった

さくら

さっき緊張してたから怖がらせちゃったかと思った

井上 千夏

ち、違いますよ、ただ…

井上 千夏

本物のさくらさんだー!って思って…!

さくら

ええ?

井上 千夏

ファンなんです!ドラマ、毎週楽しみに見てます…!

さくら

えっ!?

さくら

あはっ

さくら

あははは!

さくら

ありがとう

さくら

握手する?

井上 千夏

お願いしますっ!

さくら

(ハルくんが好きになっちゃうのもわかるなー)

さくらは握った手を引っ張って

千夏をぎゅっと抱きしめた

井上 千夏

わっ!

さくら

ハルくんのことよろしくね

井上 千夏

…! はいっ!

さくら

ふふ、ありがとう

さくら

ひとつ私の秘密を教えてあげる

さくら

実はねーー

井上 千夏

お疲れ様でしたー

撮影スタジオがあるビルから千夏が出てきた

少し疲れてはいるものの機嫌の良さそうな後ろ姿に安堵する

長谷川 悠

井上さん

井上 千夏

え、長谷川くん…?

千夏は目を瞬かせて驚いた

長谷川 悠

家まで送っていくよ

井上 千夏

大丈夫だよ!まだ明るいし…!

長谷川 悠

今日は慣れないことさせて疲れたと思うし…

長谷川 悠

だめかな?

長谷川 悠

少し話したくて

井上 千夏

じゃ、じゃあ、お願いします…

長谷川 悠

今日は本当にありがとう

井上 千夏

あっいや、全然…

長谷川 悠

おかげですごくいい記事になりそうだってマネージャーさんも言ってて

井上 千夏

そ、そっか…それはよかった…

長谷川 悠

大丈夫?

長谷川 悠

疲れたよね

井上 千夏

あ、うん、少し…

答えは返ってくるものの

千夏の目は地面を見ていて目が合わない

話し方も緊張している様子だ

長谷川 悠

ひとつ聞いていい?

井上 千夏

えっなんでしょう

長谷川 悠

俺、またなんかしちゃったかな…

井上 千夏

そ、そんなことは!!

千夏はバッと顔を上げて悠を見たが

すぐまた目を背けてしまった

長谷川 悠

でもなんか様子がおかしいし

井上 千夏

ううっそれは許して…

井上 千夏

だって長谷川くん、マスクしてないし…!

長谷川 悠

えっマスク?

長谷川 悠

あ、忘れてた

カバンからマスクを取り出そうとすると

千夏が慌てたように声を上げた

井上 千夏

待って!つけないで!

長谷川 悠

え?

井上 千夏

ああーでもどうしよう!直視できない!

長谷川 悠

直視…?

井上 千夏

いや今までハルさんの方とは喋ってたし?

井上 千夏

お顔が整ってるのは知ってたけどね?

井上 千夏

長谷川くんのお顔だ〜って思うだけでもやばいのに

井上 千夏

髪セットされてて混ざってる感じが…

井上 千夏

破壊力!!

長谷川 悠

そ、そうかな…

長谷川 悠

(井上さん、なんか嬉しそう?)

長谷川 悠

ハルもこれからは等身大で行こうって言われたし

長谷川 悠

今度はこんな感じにするか

井上 千夏

……いいと思う、けど…

井上 千夏

なんかちょっと残念な気もする

長谷川 悠

なんで?

千夏の様子が気になって顔を覗く

井上 千夏

ああだめ!覗き込まないで!

千夏は両手で真っ赤になった顔を覆って隠してしまった

長谷川 悠

え、ええ…?

井上 千夏

だって…

井上 千夏

この長谷川くんは私しか知らないんだって思ったから…

長谷川 悠

……

長谷川 悠

(そっか、俺も「俺の話をハルにする千夏ちゃん」も好きだったもんな)

顔を隠している手を掴むと、そっと開く

井上 千夏

ひやあああ!!ドアップ!!

長谷川 悠

顔なら今までも見てたでしょ

井上 千夏

長谷川くんのお顔は初めてですぅ…

長谷川 悠

あのさ

長谷川 悠

俺のこと、まだ好き?

井上 千夏

ーー

長谷川 悠

あ、待って

長谷川 悠

この聞き方はずるいな

長谷川 悠

(俺だとは気づいてなかったけど)

長谷川 悠

(井上さんはいつもまっすぐな気持ちを話してくれた)

長谷川 悠

(……次は、俺の番だ)

長谷川 悠

俺は、井上さんのことが好きです

長谷川 悠

いつも一生懸命で、努力家で、前向きな井上さんが大好きです

長谷川 悠

俺とーー

井上 千夏

むりむりむりむりもうむりです!!!

千夏は手を振り解いて道の端に逃げる

その顔はゆでだこのように真っ赤だった

長谷川 悠

えええ

長谷川 悠

まだ途中

井上 千夏

心拍数が!世界最高記録なので!

井上 千夏

このままだと死んじゃうから!

長谷川 悠

だめ、聞いて

長谷川 悠

話さなくて後悔はもうしたくないから

長谷川 悠

ーー付き合ってください

井上 千夏

……

長谷川 悠

あの

井上 千夏

…………

長谷川 悠

井上さん?

井上 千夏

…………

井上 千夏

失神してるから待って

長谷川 悠

いやしてないでしょ

井上 千夏

精神が失神してるの!

長谷川 悠

どういうこと

悠が笑いを押し殺していると

いきなり千夏が悠の胸に飛び込んできて抱きついた

長谷川 悠

わっ

井上 千夏

私も!大好きです!!お願いします!

顔は真っ赤なままで

信じられないほど至近距離で

聞き間違えられないくらいに大きな声で

長谷川 悠

……

井上 千夏

なんか言って〜!

長谷川 悠

精神が失神してるから待って…

井上 千夏

え?

長谷川 悠

好きな人に告白されるとやばいってわかった…

井上 千夏

ふふ

井上 千夏

だよね?

井上 千夏

だから待ってって言ったのに

長谷川 悠

…嫌だった?

問うてはみたが答えはわかっている

井上 千夏

ううん、すっごくすっごく嬉しい!!

長谷川 悠

ははっ

2人でひとしきり笑いあった

アンビバレントな僕ら

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