途中で機材トラブルがあり、ロケ車で待機することに。
謙信
…はぁ

スマホを開き、永玖からのメールに既読つけてないことを思い出し肩を落とす。
颯斗
謙信?

謙信
っ、なに?

颯斗
いや、ボーッとしてたからさ。
体調悪い?大丈夫か?

謙信
(なんでそんな心配そうな顔するんだよ)

謙信
(優しくしないでよ)

謙信
(その優しさが辛い)

颯斗
謙信? どっか痛いの?

俺が顔を歪めたことで、颯斗がもっと心配な顔をした。
謙信
……ここ、痛い

颯斗
え、心臓、?

謙信
心、かな

謙信
(何言ってんだろ、)

謙信
(分かってるのに、颯斗には好きな人がいるって)

謙信
(俺じゃないって)

謙信
(好きって言ったところで、振られるのは分かってる)

颯斗
なにか悩んでることあんの?

謙信
……颯斗さ、永玖のこと好きなの?

謙信
(何聞いてんだろ、俺)

颯斗
っなんで?

謙信
(わかりやすいなー)

謙信
見てたら分かるよ。
いつも永玖のこと見てるでしょ?

謙信
(見てたら分かるって)

謙信
(俺がいつも颯斗の事見てるって言ってるようなもんじゃん)

颯斗
そっかー、、
え………もしかしてさ、

謙信
(きづかれ、た、?)

颯斗
謙信も、永玖のこと、、
好きなの?

謙信
(……なんだ、)

謙信
いや、好きじゃないよ

謙信
(俺が好きなのは、)

颯斗
本当に?

謙信
本当に

謙信
(颯斗だもん)

颯斗
そっか、よかった

謙信
……っ。

謙信
相当好きなんだね、永玖のこと

颯斗
まぁね、

謙信
振り向いて貰えたらいいね、応援してる

謙信
(なんで)

謙信
(なんで俺、こういう嘘は上手いんだろ)

謙信
(こんな才能、要らない)
