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#11 色の揺らぎ、夜に沈む輪郭
夜明け前の都会は、まるで眠ったふりをしているようだった。
明滅を止めたビルの灯り、動きのない交差点、息を潜めたような街の気配。
その静けさの中を、6つの影が、それぞれに揺らぎながら通り過ぎていく。
なつは、いつものようにカフェの厨房に立っていた。
エスプレッソマシンの蒸気が立ち昇り、ミルクを泡立てる音が低く響く。
なつの手は迷いなく動いていたが、胸の奥では、昨夜の“再会”がまだ残響のように波打っていた。
──こさめ。
いや、瑞。
かつて信頼し、肩を並べた日々。
その記憶は、裏切りよりも強く残っていた。
# 赫
誰にともなく零れた呟き。
だがその声に応える者はいない。
カフェの扉が開き、早朝の客がひとり入ってきた。
なつはすぐに表情を整え、いつもの接客スマイルを浮かべる。
# 赫
# 赫
けれどその笑顔の奥には、鈍い曇りが宿っていた。
平穏な朝の風景に溶け込みながらも、なつは知っている。
自分の手が血に染まったとき、このミルクの白すらも遠くなることを。
この温かさに触れるたび、自分の“赫”が滲んでしまいそうになるのだ。
こさめは書斎の机に向かい、淡々と資料を並べていた。
教育用のノート、教え子の成績表、医療カルテ、薬品リスト、そして――ある男の生活記録と診療履歴。
こさめの奥に宿るのは、冷徹な観察者の目。
だが、今その視線の先には、記憶にしか存在しない赫――なつの姿があった。
# 瑞
ペンを置き、椅子に深くもたれかかる。
指先が、ほんのわずかに震えていた。
# 瑞
# 瑞
赫の瞳に映る自分は、いまも“裏切り者”だったのか。
それとも、“未練”の対象だったのか。
どちらにせよ、あの夜の視線は、確かに瑞の奥を揺らしていた。
机の隅、黒いUSBメモリがひとつ、無機質に光を反射していた。
過去と現在、そして未来の情報が、すべてそこに詰まっている。
だが、それを読み解く鍵が「情」である限り、瑞の計算は狂う。
そしてそれが、赫の“存在する意味”でもあった。
らんはオフィスの会議室で、山のような資料を前に項垂れていた。
取引先の報告書、決裁書、請求書。
一枚一枚に目を通しながら、気だるげにペンを走らせる。
# 桃
誰もいない室内。
彼のぼやきだけが、紙の上でかすれていく。
ふと、いるま――茈と交わした視線が頭をよぎる。
無言のまま、ただ目を合わせただけ。
けれどそこには、どんな言葉よりも深い意味があった。
# 桃
それに気づいたとき、自分の胸の奥にも似たような亀裂があることに、らんは気づく。
立ち上がりながら、ポケットの奥に指を差し込む。
その先にあるのは、仕込み銃。
けれどそれを使うのは、いつだって――「必要なとき」だけ。
# 桃
撃たない理由。
それは、躊躇ではなく、選択だった。
いるまは、小さな保育園で絵本を読んでいた。
子どもたちの笑い声に囲まれながらも、どこか遠くを見るような目をしていた。
# 茈
読み聞かせのページが、ゆっくりとめくられるたびに、思考は夜へと戻っていく。
──屋上で交わした、らんとの視線。
あれは殺意ではなかった。
ただ、確かに何かが通った。
壊すためでも、許すためでもなく――“残したい”という何か。
目の前で、園児がひとり手を挙げた。
もぶ
# 茈
# 茈
それは、子どもへの言葉。
けれど、それはそのまま、自分自身への応答でもあった。
選び続けること。
その苦しみを知っているのは、“茈”であるいるまだけだった。
すちは、静かなアトリエでスケッチを続けていた。
鉛筆の芯が紙を擦る音。
その単調な響きの中で、昨夜のみこと――黈の言葉が何度も再生される。
# 黈
すちは笑う。
# 翠
けれど、わかっていた。
すちの中には、未完成な感情がある。
それが何かを探すために、すちは今も描いているのだと。
死は形として描ける。
けれど、そこに“意味”を乗せるのは、自分ではない他者。
だからこそ、すちはまだ描き続けている。
黈に何かを見せるために。
みことは、翻訳原稿の前で手を止めていた。
昼と夜の間を生きるようなみことにとって、静寂は最も集中できる時間だった。
ふと、机の隅に置かれたノートを手に取る。
誰にも見せたことのない、“自分の言葉”が詰まったノート。
言葉は世界を殺す。 だが、世界はそれでも言葉で語られる。
みことは立ち上がり、窓を開ける。
夏の夜明け前、遠くの車の音が、風に乗って届いた。
あの言葉は、すちの表情を揺らした。
だが揺れたのは、むしろ自分の方だったのかもしれない。
言葉を操る者が、言葉で誰かを壊す。
それは、誰よりも孤独な技術だった。
そして、夜が明けた。
6人はそれぞれの場所で、まだ撃っていない銃を握りしめながら、撃てない理由を、少しずつ言葉にし始めていた。
誰もが、まだ止まっている。
だがその沈黙は、次に来る爆発の予兆だった。
色が揺れる。
その揺らぎが、夜を破り、輪郭を壊すとき――またひとつ、彼らの世界が動き出す。
#11・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡120
rara🎼
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コメント
2件
タイトルにある「夜に沈む輪郭」っていうのが、伏線対象になるのかな…?考察するの楽しそう…(できないけど) 全然先が見えない…何が待っているんだ…でも面白そう…() 毎回飛び抜けた語彙力と文字だけで伝わる静けさが羨ましすぎる 最高です👍