若井滉斗
涼ちゃん!

若井滉斗
…嘘だ…

若井滉斗
そん…な…

若井滉斗
死ん…だ…?

若井滉斗
嫌だ…目…開けてよ…!泣

若井滉斗
ねぇ!泣

藤澤涼架
………ぁぅ…

藤澤涼架
ぉ゙あゲホッガハっかはっ!

大森元貴
涼ちゃん!?

大森元貴
大丈夫?

若井滉斗
よかっ…た…生きてたぁ…泣

藤澤涼架
ぅえ?ふたり…とも?

藤澤涼架
生き…てる?

藤澤涼架
ガラス…ささってるよ?

大森元貴
生きてるよ…クリアしたよ

大森元貴
あの狂ったゲームを…

藤澤涼架
良かったぁ(ニコッ)

大森元貴
良くないよ…血ダラダラじゃんか…

藤澤涼架
二人が助かったんならいいよ…

藤澤涼架
どうせ…もう

藤澤涼架
僕は長くはないからさ…

大森元貴
え?何言って…?

藤澤涼架
本当なら僕もう死んでるんだ

若井滉斗
…なんで?

藤澤涼架
僕思ったんだ

藤澤涼架
どうせ生きててもこの足と腕じゃ何もできない

藤澤涼架
だから僕はクリアってあいつから聞いた瞬間に

藤澤涼架
足掻くのをやめて意識を手放して死のうとした

藤澤涼架
本来ならそこで終わりだった…

藤澤涼架
でもね…なんかもう一回起きちゃった

藤澤涼架
意味分かんないよね…

藤澤涼架
神様が助けてくれたのかな?

藤澤涼架
でも…もうすぐそれも終わりが来る…

藤澤涼架
だってさっきからクラクラするんだよ…

藤澤涼架
二人のことだけが心残りだったから

藤澤涼架
二人が生きてるのを確認できてよかった…

藤澤涼架
元貴はその傷手当てしなよ?

藤澤涼架
若井…元貴のこと任せたよ

若井滉斗
なん…で

若井滉斗
まだ死んじゃだめだよ

若井滉斗
救急車呼んで助けてもらおう?

若井滉斗
輸血とかしてもらってさ

若井滉斗
生きようよ…そんな簡単に諦めないでよ…

若井滉斗
……置いてかないでよっ泣

藤澤涼架
僕だって…

藤澤涼架
僕だって置いてきたくなんかないよ!

藤澤涼架
でも…体が許してくんないんだ…

藤澤涼架
生きたいよ…

藤澤涼架
もっと…バンド続けたいよ…

藤澤涼架
二人と色んなとこ行きたいよ…

藤澤涼架
…二人の側にもっといたいよ

藤澤涼架
でも…無理なんだ…

藤澤涼架
この望みは叶わないんだよ…

大森元貴
叶わせようよ…まだ間に合うよ

大森元貴
諦めないでよ…

藤澤涼架
…もう僕のことなんて諦めればいいのに…

藤澤涼架
諦めたほうが悲しくないでしょ?

大森元貴
そういう問題じゃ…

大森元貴
なにこれ…冷たっ

大森元貴
こんなの人間の体温じゃないよ…

藤澤涼架
言ったでしょ?もう限界なんだよ

藤澤涼架
ほとんど血が回ってない

藤澤涼架
喋ることもそろそろ難しくなるだろうから今のうちに話しておきたかった

藤澤涼架
ゲホッゲホッ

藤澤涼架
やっば…

若井滉斗
涼ちゃん…大丈夫?

藤澤涼架
くれぐれも体調には気をつけてね

藤澤涼架
そうじゃないと僕みたいになっちゃうから

大森元貴
どういうこと?

藤澤涼架
僕…癌だったんだ

大森元貴
…え!?

藤澤涼架
初期だったから手術で取り除けたんだけど僕は断った

藤澤涼架
手術したあとしばらく入院しないとだからね

藤澤涼架
周りに迷惑をかけたくなかった

藤澤涼架
だから最期まで隠し通したかった

俺の目に映る涼ちゃん…いや藤澤涼架という一人の人間は最期まで大切な人を気にかける
優しくて、他の人とは違くて、かけがえのない存在だった
もっと自分が早く気づけていれば、出会えていれば、そんな後悔は何の役にも立たない
藤澤涼架
2人に出会えて、最期まで二人の側に居れてよかった

藤澤涼架
僕はあっちで待ってるから

藤澤涼架
お土産話たくさん聞かせてね?

大森元貴
…ヒグッグスッ泣

藤澤涼架
もう、涙でぐちゃぐちゃじゃんか…

藤澤涼架
もうそろそろかな…

藤澤涼架
「二人とも、大好き、愛してる」

大森元貴
…っ僕も泣

若井滉斗
俺も…泣

藤澤涼架
「またね」

そう言って藤澤涼架は僕らの腕の中で永遠の眠りについた