次の日
また、会えないかな
無意識に、けれど確実に、僕はそう思っていた
ガチャリ
春川音生
…!
烏羽燐
あー…
春川音生
(昨日の…!)
烏羽燐
……疲れた
春川音生
(あれ?)
明らかに、昨日と雰囲気が違った
空っぽだった彼の色が、少し、黒く…
春川音生
…あの、
烏羽燐
っ!?
春川音生
あ、ごめ…
…まさか僕に気づいていないとは思っていなかった。
ということはつまり、
今のが、彼の素?
烏羽燐
あー…ごめんごめん、気づかなかったよ
春川音生
あぁ…うん
春川音生
…あの、さっきのって
多分、突っついちゃいけないとこ
でも、何か言わずにはいられなかった。
烏羽燐
あー…やっぱ見てたよねー…
烏羽燐
……俺、1人のほうが落ち着くんだよね
春川音生
ふぅん…
春川音生
それって、人間関係とか?
烏羽燐
そうだね。人付き合いは疲れちゃうし、いろいろと気を使うから。
多分、嘘だ。
正確には分からない。だって無色のままだったから。
でも、色は見えなくても、人の心は分かるつもりだ。
何か違う
さっき見た素の彼の色は、黒くて、深くて、悲しい色をしていたから。
春川音生
でも、昨日は話してくれたじゃん
烏羽燐
うん、君がちょっと変わってたからね
冗談めかして微笑んだその声に、わずかに青がにじんでいた
青は、警戒の解除。心がほんの少しだけ開かれた証。
春川音生
じゃあ、これからはもっとしつこくするね
烏羽燐
ふふ、それは覚悟しておくよ
彼の横顔が、ほんの少しだけ和らいで見えた。
その仮面の下に、少しずつ本音がにじんでいく――そんな予感がした。
おまけ
烏羽燐
そういえば、名前聞いてなかったね。聞いてもいいかな?
春川音生
春川、音生…二年
烏羽燐
あぁ、後輩君か。僕は烏羽燐。三年生で、生徒会に入ってるんだ。
烏羽燐
よろしくね
春川音生
…うん、よろしく