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コメント
6件
すっちー大丈夫か~?すっちーは優しくて少し遠慮がちな性格からなかなか言えなさそう…頑張って! 続きが楽しみです✨
しゅちくん!それはみんにゃにいったほうがいいよ!
LAN
自室のベッドで丸くなったLANの体から、甘く熱っぽいΩフェロモンがとめどなく溢れ出す。 意識は朦朧とし、頭の奥で警鐘が鳴り響いていた。抑制剤が、切れた。
いるま
ドアの外から聞こえるいるまの焦った声が、遠く響く。 全身が熱く、節々が痛む。本能が、番を求めて叫んでいた。
すち
廊下に出たすちの声が響く。彼のαフェロモンもまた、LANのフェロモンに呼応するように、微かに空気に混じり始める。 βのメンバーたちが、普段と違う重い空気に気づき、リビングのドアから顔を覗かせた。
いるま
いるまは必死にドアを叩き続ける。
いるま
すち
すちは、自身のαフェロモンが漏れ出していることに焦りを感じた。 LANが苦しんでいるのはわかる。 αとしてすぐにでも助けたい。 だが、ここで自分がαだと明かせば、これまでの関係が全て変わってしまう。 特に、LANに知られたくなかった。このままβのフリを続けるか、それとも──。
すち
バレたくないためのβの行動に見せかけるように。
いるま
いるまは、すちの言葉とそのフェロモンに、一瞬たじろいだ。 すちがここまで強いフェロモンを持っていることに驚き、その意図を図りかねる。 ただ、βの出すフェロモンにしては、あまりにも強力だった。
すち
すちは冷静な表情でポケットからヘアピンを取り出すと、 器用に鍵穴に差し込み、数秒でカチャリと音を立てて鍵を開けた。
LAN
扉が開くと、部屋の中には、ベッドの上で丸くなり、苦しそうに息をするLANの姿があった。 LANの体からは、これまでで一番強い、甘く誘うようなΩフェロモンが、部屋中に充満していた。
いるま
すち
いるまとすち、二人の視線が、同時にLANに注がれる。 すちはαとしての本能が叫ぶのを必死に抑え込み、 あくまでLANを心配するβのメンバーとしての表情を貼り付けた。しかし、その瞳の奥には、 いるまと同じ、いやそれ以上の、LANへの強い想いが宿っていた
いるま
いるま
そう言いながら、いるまはLANの部屋の棚や引き出しを、手早く探し始めた。 嗅覚を研ぎ澄ませ、薬品の匂いを辿る。 数秒もかからず、ベッドサイドの小さな引き出しから抑制剤のボトルを見つけ出した。
いるま
LANの身体をそっと起こし、震える手にペットボトルを持たせる。 LANはかろうじて錠剤を口に含み、水を流し込んだ。 抑制剤が効き始めるには、少し時間がかかる。 その間も、LANの身体はヒートの波に苛まれ続けていた。
LAN
苦しげに喘ぐLANの額に、いるまは自分の掌をそっと当てた。 冷たい手のひらが、LANの熱い肌に触れる。
いるま
いるまは、周囲にいるβのメンバーや、静かに見守るすちがいることなど気にせず、 自身のαフェロモンを意図的に、そしてLANだけに届くように放ち始めた。 それは、LANのΩフェロモンを包み込むように優しく、 しかし確実に、彼の身体と心を落ち着かせようとするフェロモンだった。
LANは、いるまのフェロモンを浴びて、わずかに身体の震えを落ち着かせた。 いるまの掌の冷たさと、αフェロモンの安定感に、本能が安堵を覚える。 その瞳が、不安げにいるまを見上げた。
いるま
という、いるまの無言の決意と覚悟が込められた行動だった。
すちは、俺よりもいるまちゃんのほうがいい番になれるのかもしれない。 と、自分の心の中で密かに思っていた。 でも、Ωのフェロモンに逆らうことはできない。 このことをメンバーに言った方がいいのか、、、、