なあ、まろ
気づいてるよ
俺のために…
でも、もう大丈夫
腹の底から湧き上がってくるどす黒い塊が全身を蝕む
胃を、食道を、肺を、そして喉を
衝撃と共に突き抜けたそれは簡単に口から溢れ出した
「っぐ、、げぼ、、」
真っ白い布団に広がる、赤
痛くて、苦しくてたまらない
その筈なのに、少しほっとしている自分もいる
これでもう終わり
そう思えば、汚れた口元にも笑みが浮かぶ
「ごめんなぁ、まろ」
「守るって言ったのに」
「…」
血を口からとめどなく溢しながら、酸素の行き渡らない頭に浮かぶのはifの顔。
「まろ…」
苦痛に大きく歪められた顔がふと安らぐ。
幸せに…
唇が動いたが、その言葉が空気を揺らすことはなかった。
しとしとと無慈悲な雨の降る夜、小さな一軒家の主は、血の海の中で1人穏やかな笑みを浮かべていた。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
5件
好きです((((((
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