寂しかった

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冷えた体が芯から温まっていく。今日はないこに誘われてランニングに行ったから汗は出るし体は冷える。けれどいい運動だった

最近ずっとまろに会えていない。彼が忙しいのも分かってるし、まずこの界隈と社会人を両立してる時点でだいぶ大変なのに彼女の相手なんてしてる暇じゃないだろう…けれど…

俺はまろの恋人で、その関係でいられるだけで充分なはずなのに…それ以上の関係を求めている

口に出して言ってみる。言ってみて我ながら恥ずかしくて体が急に暑くなる。恥ずかしくなってお湯に隠れる。水中で大きなため息を着いて、自業自得ながら苦しくなって顔を出す。何をしているんだ俺は…ただ、このどうしようもない感情をどうにかしたかった

次の日、なんだか落ち着かない様子の最年長から連絡があった。どうせまろのことだろうと思っていたらドンピシャだった

すると顔真っ赤にしてリアクションする最年長。ウブ過ぎてかわちいかよ。いやかわちいわ。いや、こんなこと言ったらまろに怒られる

この感じだとまろが好きだけどそれを言うのは恥ずかしくてその気持ちの葛藤の末路があのリアクションなのだろう…

また耳まで真っ赤真っ赤にして〜…あにきなりに余程まろのことが好きなんだろうな。愛情表現は人それぞれで、気付きにくいものだってある。あにきもそんな感じなのだろう

送ってしまった…。別に会うだけで告白するわけじゃない。わかってるけどなんかドキドキする

あっ…既読が着いた。やばい…なんて返信来るんやろ…忙しいって断られるかもな…怖いな…

さっきの心配はどこへやら。杞憂に過ぎなかったな

バレンタイン当日

仕事が終わらないから仕事場に来れるかと言われ、集合場所はまろの職場になったになった。しかし約束の時間よりも遅れている

不安と焦りで手が湿っぽくなる。けれど多分仕事が押してしまっているのだろう。最近会えていなかった理由もそれだからこそ…

そう思って上着を羽織って紙袋にチョコを入れる。外は寒いから溶けることは無いだろう

すると軽く小走りしてくるまろがいた。少し痩せたか…？軽く青冷めた疲れた顔をしている

嬉しそうにえへへと笑うまろ。あぁ…君のそういうところ好きだなぁ…優しく笑ったり、優しく声掛けたり…

チョコ1つにこんなにも悶絶する社畜がいるだろうか。ホンマに好きやなぁ…

その後少し話していたが終始チラチラと時計を見ている。そろそろ戻らないといけないのだろうか…

遠ざかっていく彼の姿。彼はゆっくり歩いているはずなのに、行かないでほしくて…

後ろから抱きつく。もういい。どうなってもいい。こんなのわがままなのもわかってる。けれど…寂しいって気持ちが勝ってしまった

するとくるっと向きを変えられてまろと向き合う。そしてそのまま抱きしめられてまろの香りに包まれる

まろが走ってエレベーターに乗って戻っていく。今となってあんなことしたのが体が熱い。けれど…後悔はない…抱きしめてもらえてすごく嬉しかった…人がいなかったから良かったけど…

オフィスの入口はガラス張りで、外が見えるようにベンチがあった。この時間帯は何故か全然人がいないくて静かだ。椅子に座って一息つく。すると…

まろを見るとコートを着ていて会社用のバックを持っている

胸が締め付けられるようにきゅぅっと嬉しい気持ちが溢れる。嬉しくてまろの腕に手を添える

するとバックから綺麗に包装された箱が出てきた。中は見えないが、すぐ分かる

あんまり持っていると溶けてしまうだろうけど、どうしても手放したくなくて軽くチョコを抱きしめる

風が冷たかったけど、握った手はチョコも俺の心も溶かすほど暖かかった