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夢に煙る、夜の果て

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夢に煙る、夜の果て

4 - 4:君とふたりで。

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2025年06月07日

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公園を出たあと、俺は夢と歩いていた。

時雨 澪

…なァ、家どこなんだよ、お前。

不意にでた、言葉。

夜宵 夢

さあ。私にも、わかんない

時雨 澪

は、?

夜宵 夢

家、って何。帰る場所?眠る場所?誰かが待ってる場所?

時雨 澪

全部じゃねーの。普通は。

ああ、俺は普通じゃないけど。

誰も待ってないし

眠れないし。

夜宵 夢

…普通?

そいつが、ぽつり、呟いた。

夜宵 夢

…それ、君にとっての普通でしょ。
私は、そういうの全部、遠いものだと思ってた。

言葉の意味が分からなくて、混乱した。 でも、夢の表情は笑っていた。 ──いや、目は笑っていなかった。

夜宵 夢

私ね、君のことちゃんと確かめたかったの。
この手で、確かめたかった。

時雨 澪

…は?

夜宵 夢

本当に、あのとき君が泣いていたのか。
本当に、あのとき君が壊れそうだったのか。

夜宵 夢

私、知ってるよ。
君が1人きりで泣いてた夜のことも。
誰にも見せられないくらいに苦しくて、
名前を呼ばれたくなかった時期のことも。

時雨 澪

なんで、知ってんの。

知ってることは不思議と"嫌"ではなかった。

夜宵 夢

だって、ずっと見てたから。

夢の手に触れた。

風が通り抜ける。 季節が変わりかけていても、夢の手は冷たかった。

夜宵 夢

私ね、"澪"って名前好き。

時雨 澪

ふーん、そう。

夜宵 夢

水の流れのように、静かで、儚くて─でも、冷たい。

時雨 澪

俺は、そんなふうに思ったこと、無い。

夢が、少しだけ俺の手を握った。 酷く細くて、弱い手だった。 でも、なぜか逃げられなかった。

夜宵 夢

…あ、ごめん。じゃあ、またね。

夢は崩れそうなその顔で、ふにゃっと笑った。 ──その笑顔は、前に見た自然な笑顔じゃなかった。

夜宵 夢

また、"夜"に会おうね。

時雨 澪

…うん。

不思議と、返事をしていた。

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