痛無 鈴
…
爆豪 勝己
落ち着いたかよ
痛無 鈴
…はい
どのくらい泣いただろうか
全身の水分が無くなったかのように
涙はもう枯れている
爆豪 勝己
ハッ
爆豪 勝己
ひでぇ顔
痛無 鈴
な…っ
痛無 鈴
傷心中の人に言うセリフじゃないです!!
爆豪 勝己
へいへい
爆豪 勝己
皿貸せや
痛無 鈴
あっ
いつの間にか綺麗になっているお皿に目を向ける
痛無 鈴
爆豪さん
爆豪 勝己
ンだよ
痛無 鈴
…美味しかったです
痛無 鈴
ありがとうございました
爆豪 勝己
ア?
爆豪 勝己
俺のメシが不味いわけねェだろ
痛無 鈴
ふふ
痛無 鈴
そうですね
お皿を受け取った彼は、 そのままキッチンへと足を運び
手際良く洗い流す
痛無 鈴
あの…
痛無 鈴
そこまでして頂かなくてもっ
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
いンだよ
爆豪 勝己
俺がしたくてやってんだわ
痛無 鈴
…
痛無 鈴
そうですか
少し言葉が強い彼とは見合わない行動に
頬の緊張が和らいだ
痛無 鈴
デクさん
痛無 鈴
長いお休み頂いちゃって、すみませんでした
痛無 鈴
明日、事務所に行きます
緑谷 出久
緑谷 出久
りんさん!
緑谷 出久
心配したよ
緑谷 出久
もう平気?…じゃないよね
緑谷 出久
でも、うん
緑谷 出久
良かった
緑谷 出久
皆、待ってるよ!また明日
痛無 鈴
はい!
痛無 鈴
また明日
痛無 鈴
爆豪さん
爆豪 勝己
ン
乱雑に置かれた服を 2人で畳みながら話す
痛無 鈴
そういえば、お仕事は…?
爆豪 勝己
あー
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
休み
痛無 鈴
ええっ
痛無 鈴
貴重なお休みを…私なんかに、
爆豪 勝己
違ぇわ
痛無 鈴
…?
痛無 鈴
どういう
爆豪 勝己
取ったんだわ
爆豪 勝己
無理矢理
痛無 鈴
尚更ごめんなさい!!
両人差し指にかけた服を握りしめ
勢いよく土下座をする
爆豪 勝己
…
爆豪 勝己
なァ
痛無 鈴
はいっ
爆豪 勝己
俺ァ、良い奴なんかじゃねぇ
何を言い出すかと思うと
1ミリも彼らしくない話をされる
痛無 鈴
ば、爆豪さんは
痛無 鈴
良い人です
爆豪 勝己
…
痛無 鈴
全然、知り合ったばかりですけど
痛無 鈴
私にとってのヒーローです
爆豪 勝己
…純粋かよ
痛無 鈴
え
爆豪 勝己
弱みに漬け込んでンだわ
痛無 鈴
弱み、
爆豪 勝己
男でついた傷は男でしか癒せねェ
爆豪 勝己
知ってっか
痛無 鈴
何、ですかそれ
気付くのが遅かった
今は男女、2人きりの部屋
爆豪 勝己
…
痛無 鈴
…っ
微動だにせず淡々と話す 彼とは裏腹に
少し身構える
爆豪 勝己
…そんな顔させに来たんじゃねェわ
痛無 鈴
…
痛無 鈴
爆豪さ
爆豪 勝己
じゃァな
痛無 鈴
あぇっ
私の頭をポンっと優しく叩くと
柔らかい表情をしたまま、 彼は家から出ていった
痛無 鈴
…
痛無 鈴
はぁぁ…
身構えた緊張が一気に解れる
痛無 鈴
何だ、今の、
両手で顔を覆うと、僅かに熱を感じる
痛無 鈴
(これはきっと)
痛無 鈴
(疲れのせいだ…)