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Let's start !
登場人物
et
ya
これはご本人に全く、一切関係性のないものです。 そして、ご本人様の名前を表記なしで書くのはお控えください。 あまりに多いとこちらから注意させてもらいます。 yaetが地雷の方は回れ右。 以上のことが大丈夫な人は進んでください。
第一章 出会い
第一話 雨の日、閉店間際の書店で
雨は、街の音を全て薄くしてしまう。
車の走る音も、人の足音も、遠くで溶けるみたいだった。
私、夕霧etは
書店のカウンターに肘をつき時計を見た。
et
この時間帯に客が来ることは、ほとんどない。
それでも彼女は、店の灯りを落とさず
本棚の隙間を整え続けていた。
何かを待っているわけじゃない。
ただ、
et
__ドアベルがなった。
一瞬、耳を疑った。
この雨の中、わざわざ本屋に来る人なんて。
振り向くと、濡れた髪をハンカチで拭きながら
1人の男性が立っていた。
白いシャツの肩が、雨水で少し透けている。
ya
控えめな声だった。
et
そう答えながら、etは彼から目を離した。
見てはいけない気がした。
理由はわからない。
ya
彼は、ほっと息をついて、小さく笑った。
その笑顔が、雨の日には不釣り合いなくらい柔らかかった。
彼は店の奥へ進み
文庫本の棚の前で立ち止まった。
背表紙をなぞる指が、ゆっくり動く
__この人、本を探しているというより、
ここに、"居場所"を探しにきたみたいだな。
そんなことを思った自分に
etは小さく首を振った。
数分後、彼は一冊の本を手にレジへ来た。
ya
差し出された本は、古い恋愛小説だった。
ページの端が、少しだけ丸まっている。
et
ya
気づいたらそう口にしていた。
彼は少し驚いた顔をしながら
ya
頷いた。
ya
レシートを渡す手が一瞬止まる。
ya
et
etは首を横に振った。
et
ya
すると彼はまた笑った。
今度は、少し寂しそうな笑い方だった
ya
彼がドアに向かう。
et
呼び止めた声は、自分でも驚くほど小さかった。
ya
彼は振り返る。
et
それだけだった。
名前も、理由も聞かなかった。
ya
et
ドアが閉まり、ベルがなる。
雨の音だけが,店に戻ってきた。
カウンターに戻ろうとしてetは気づいた。
彼が立っていた場所に、白い紙が落ちている。
拾い上げると、そこには1行だけ書かれていた。
__赫島ya
名前だけが、静かに残っていた。
etはその紙をポケットにしまった。
なぜか捨てられなかった。
この夜が、長く続く恋の始まりだとは
彼女はまだ知らなかった。
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